JRの特急電車のほとんどが先頭車にヘッドマークを掲げている。ヘッドマークは列車名や運行地域にちなんだデザインになっているが、特急「かもしか」のヘッドマークに採用された鹿のイラストが「えぞしか」ではないか、という疑惑がある。

特急「かもしか」は1997年に誕生した特急列車。秋田新幹線の開業に合わせて運行が始まり、秋田駅 - 青森駅を1日3往復している。途中の停車駅は八郎潟・乗岳・東能代・二つ井・鷹ノ巣・大館・碇ヶ関・大鰐温泉・弘前。秋田県と青森県の主要駅を結ぶ。それだけではなく、秋田で新幹線「こまち」と新潟からの特急「いなほ」に接続。また、青森では函館行き特急「白鳥」に接続するとても便利な列車である。

そんな特急「かもしか」は、国鉄時代に製造された485系電車で運行されている。ご覧いただこう。これが特急「かもしか」とヘッドマークだ。

特急「かもしか」

「かもしか」ヘッドマークの絵は……?

デザインの変更予定無し……列車自体も絶滅の危機?

「かもしか」のヘッドマークが「えぞしか」ではないか。そんな疑惑が持ち上がったきっかけは新聞報道だ。2007年に札幌在住の鉄道ファンが新聞社に問い合わせ、同年12月12日に新聞紙面とWebサイトに掲載された。その疑惑の根拠は「かもしかにはこんなに立派なツノはない」というもの。そこで、Google画像検索で「かもしか」を調べると、「かもしか」のツノは小さい。アイスクリームのコーンをひっくり返したような形である。次に「えぞしか」を検索してみると、確かにヘッドマークのイラストによく似た立派なツノが生えていた!

Google画像検索の結果「かもしか」(左)と「えぞしか」(右)

当時の新聞社の指摘に対して、JR東日本は「一般的な鹿のイメージを採用した」とし、「今後も変更するつもりはない」と回答している。なにしろ運行開始から10年間もこのヘッドマークを掲げているわけで、このイラストのほうが定着している。いまさら変更できないというJR東日本の気持ちもわかる。この騒動? から3年経った現在も、ヘッドマークは変更されていない。

登場時から10年間も、関係者が気づかなかった(?)ところが面白い。ちなみに実際の「かもしか」はウシ目ウシ科、「えぞしか」はニホンジカ科で生物学的な分類も異なるとのこと。「かもしか」は本州に生息しているが、「えぞしか」は北海道のみ生息するという。

なお、12月4日に東北新幹線が新青森駅へ延伸開業する予定となっている。これに伴って青森地域の在来線特急列車が再編される予定だ。青森と八戸を結ぶ特急「つがる」の廃止は確定的といわれており、「かもしか」の動向も気になるところだ。廃止や他の特急列車との統合があるかもしれないし、存続した場合も「つがる」用のE751系が流用された場合は、この車両にヘッドマーク表示設備が無いため「えぞしか(?)」のイラストも見られなくなってしまうだろう。