列車の進路を変更するための線路を分岐器、またはポイントという。分岐器には稼働するレールがあって、車輪はそのレールに導かれて進路を変更する。しかしケーブルカーの分岐器は動かないし、よく見ると隙間だらけだ。こんな分岐器で脱線しないのはなぜか。そして、どんな仕組みで進路を変更しているのだろうか。

普通の鉄道の分岐器

ケーブルカーの分岐器

普通の鉄道の場合、車輪にフランジという出っ張りがある。線路の内側でフランジがひっかかるおかげで列車は脱線しない。また、フランジが分岐器の内側レールに沿って誘導されるため、進路を変更できる。

普通の鉄道の車輪。線路の内側にフランジがある

普通の鉄道の進路変更の仕組み

しかし、この車輪をケーブルカーの分岐器で使用すると脱線してしまう。分岐器の内側が外側のレールと接しないからだ。

ケーブルカーの車輪に工夫がある

ケーブルカーの場合は、左右どちらかの車輪の片側にフランジがあり、反対側の車輪にフランジが無い。そして、フランジは車輪の表と裏にあって、レールを抱える仕組みになっている。だから常にフランジ付き車輪側に進路を取る。行き交う2つの車両はフランジ付き車輪の取り付け側が逆になっているため、すれ違いが可能になっている。ケーブルカーならではの仕組みだ。

ケーブルカーの車輪。よく見るとフランジが外側にもある(クリックで拡大)

ケーブルカーの進路変更の仕組み

ケーブルカーの仕組み。2つのケーブルでそれぞれの車両を動かす。したがって車両Aは常に右側、車両Bは常に左側を通る。ゆえにポイント操作で進路を変更する必要がない