残念ながら「トラブルによる電車の遅れ」はよくあるニュースになってしまった。人身事故、急病人介護、車両故障……。そんなときはじっと待つか、他の路線に乗り換えるしかない。しかし、案内放送をよく聞いてみると首をかしげたくなることもある。例えば、千葉駅で「高崎線の人身事故で総武線快速が遅れています」と聞いた場合だ。高崎線も総武線も離れているのに、なぜ総武線の電車まで遅れるのだろうか。今回はその解説に、線路配置は写真ではなかなか分かりにくい部分があるので、線路配置の説明図として2010年2月11日に発売された鉄道経営シミュレーションゲーム『A列車で行こう9』の画面を使ってみた。

『A列車で行こう9』とは

『A列車で行こう9』はアートディンクが企画・開発し、サイバーフロントが販売する鉄道会社経営・都市開発シミュレーションゲーム。線路を敷き、列車を走らせ、駅に列車が発着すると都市が発展していく。
シリーズ最新となる本作は、線路の形状やポイントの角度が増えて、実際の線路を再現しやすくなっている。
Windows 7 / Vista / XP 対応。価格は12,390円。
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原因は「湘南新宿ライン」と「横須賀線」の平面交差

高崎線は大宮駅と高崎駅を結び、総武線快速は東京駅と千葉駅を結んでいる。路線図を見てもこれらの路線は接していないから、互いに影響はないように見える。しかし、それぞれの路線に乗り入れる列車が原因となるのだ。「湘南新宿ライン」と「横須賀線」である。「湘南新宿ライン」は大崎から短絡線を経由して、「横須賀線」に乗り入れる。総武線の快速のほとんどは「横須賀線直通」だ。その合流ポイントが「平面交差」になっているため、片方の列車の遅れが別の路線の列車に影響するのだ。

湘南新宿ラインと総武線快速、横須賀線の関係(クリックで拡大)

蛇窪信号場 地図

この平面交差となっている分岐点は、「蛇窪信号場」と呼ばれている。実際の写真と『A列車で行こう9』で再現した画像も載せてみよう。

実際の蛇窪信号場(写真左)を『A列車で行こう9』で再現

列車の運行頻度が高い路線では、分岐や合流は立体交差になっている。ところがこの部分は平面交差になっていて、横須賀線の下り線路と湘南新宿ラインの北行き線路が同時に通行できない。片方が通過中は、もう片方は待っていなくてはいけないのだ。もちろん、あらかじめ両者がスムーズに通過できるようにダイヤを設定しているのだが、トラブルが起きると頻繁に「譲り合い」の回数が増える。遅れ気味の列車はますます遅れてしまう。高崎線からの直通列車が遅れると、蛇窪信号場の譲り合いの影響で横須賀線も遅れる。横須賀線が乗り入れると総武線快速も遅れてしまう、といった具合だ。

平面交差なので、列車は譲り合って進行する

なぜ蛇窪信号場が今まで平面交差だったかというと、合流する路線がどちらも貨物専用線だったからだ。品川から西大井、新川崎経由の路線は、「東海道貨物支線」または「品鶴線」と呼ばれていた。また、大崎から蛇窪信号場までは「山手貨物線」と呼ばれていた。貨物列車は旅客列車よりも運行頻度が少なかったため、平面交差でも問題がなかった。

ところが、首都圏の人口増大を受けて、東京 - 横浜を東海道線と共用していた横須賀線電車を分離して品鶴線経由とし、新横須賀線となった。次に、山手貨物線を旅客線化して「埼京線」とした。その次の段階として、埼玉と神奈川を新宿経由で直通する「湘南新宿ライン」を設定し、本数を増やしていった。そのためこの付近の線路は飽和状態となり、トラブルの影響が出やすくなってしまった。

現在は関連する経路でトラブルが発生した場合、列車ダイヤの影響が広範囲にわたらないように、湘南新宿ラインを運休したり、総武線と横須賀線の直通を中止して東京駅で折り返すなどの対策がとられている。

『A列車で行こう9』を楽しむ推奨環境

『A列車で行こう9』に必要なパソコンの性能は下記の通り。高解像度でプレイするには高性能ビデオカードが必要だ。今回使用したビデオカードはATI(AMD)の「RADEON HD 5870」で、VRAM搭載量は1GB。市場価格は45,000円前後。なお、線路建設時などの操作性を向上するには、オプションメニューで「水面の表示」「影の表示」「アンチエイリアス」などをオフにし、「描画クリップ設定」で遠景をカットするとよい。

「RADEON HD 5870」。筆者はネット通販で44,980円で購入

OS Windows 7 / Vista / XP(64bit版OSは未対応)
DirectX DirectX9.0c以上
CPU Core 2 Duo
メモリ [XP]1GB以上 [VISTA/7]2GB以上
HDD空容量 1.2GB以上
ビデオカード GeForce 6シリーズ以降、RADEON X1000シリーズ以降のビデオカード
VRAM 512MB以上
ディスプレイ 1024×768ピクセル以上
サウンド Direct Sound対応
入力機器 キーボードおよびホイール付マウス
その他 インストール時にDVD-ROMドライブ必須、インストール時にインターネット環境が必須