機関車に牽引される客車、電車、ディーゼルカーなど、お客さんが利用する車両には必ず乗降用の扉が設置されている。特急電車なら片側に1つまたは2つ。通勤電車なら3つ、4つ、中には6つも扉を設置して、ラッシュ時にスムーズに乗降できる電車もある。ところが、東武鉄道には「扉がない電車」が毎日走っているという。一体どういうことだろう。

実際に見てみよう。扉のない電車は、東武鉄道の伊勢崎線を走る特急「りょうもう号」に使われている。200系または250系に組み込まれた4号車だ。

東武特急「りょうもう」4号車には扉がない

隣の車両に扉があるから大丈夫

確かに乗降用の扉がない。しかし、両隣の3号車と5号車に扉があるので、4号車の乗客は両隣の車両に入り、連結部分の通路を利用する。だから扉がなくても大丈夫というわけだが、やはり扉のない電車は珍しい。実際の利用には差し支えないだけに、気づいていない人も多いかもしれない。

扉のない電車が誕生した理由は、座席数を多くするためだといわれている。また、扉を作る加工コストを下げるためという説もあるが、詳細な理由は不明という。

両隣の車両にはちゃんと扉がある

東武鉄道特急「りょうもう」号

東武鉄道の特急「りょうもう」は、東武浅草駅と、群馬県の太田駅や赤城駅を結ぶ列車だ。毎日49本が設定されており、日中ではほぼ1時間に1本程度の間隔で走っている。扉のない電車は珍しいが、東武鉄道沿線では毎日誰でも目撃できる。