JR東日本の浜松町駅にいるアイドルをご存じだろうか。京浜東北線の南行き、山手線の外回りの電車が発着する3番・4番ホームの横浜寄りで、勢いよく放水している「小便小僧」だ。実は彼、1952年10月14日の鉄道記念日に寄贈されて以来、57年も頑張っている。そして現在は毎月、オリジナルな衣装に着替えている。浜松町にやってきた経緯は? 一体、誰が着替えさせているの??

浜松町駅の小便小僧。上が2009年8月、右が同年9月

小便小僧像に近づくと、"小便"の着地地点に由来を記した石碑がある。それを要約すると、「昭和27年(1952年)の鉄道記念日に歯科医の小林光氏より寄贈された。平和と愛のシンボルとして、全国の人々や小便小僧友の会から服を贈られている」とのこと。石碑は昭和30年(1955年)5月に建てられている。小便小僧の建立から約2年半経ち、駅長室などへの問い合わせが増えたことが石碑が建てられた理由だろう。ちなみに歯科医の小林光氏は、当時の国鉄の嘱託医だったという。

着替えは地元の手芸グループ「あじさい」が担当

世界に存在する小便小僧像。しかし服を着せるというのは珍しいらしい。しかし石碑にあるように、浜松町駅の小便小僧は建立からすぐに服が着せられていたようだ。過去の新聞記事や文献によると、寒い日の朝に子供が毛糸の帽子を被せたことがきっかけだという。傘地蔵の民話から連想したのかもしれない。その後は、大田区在住の主婦が着替えさせていたようだ。石碑の「小便小僧友の会」は、小便小僧伝説の本拠ベルギーにある団体らしい。

その後、小便小僧の月ごとの着せ替えは1986年から続いている。芝消防署から地元のボランティアグループに、火災予防運動のPR用の衣装を作ってほしいという依頼があったという。現在は「社会福祉法人 港区社会福祉協議会」の手芸グループ「あじさい」が担当し、毎月26日に着替えさせているとのこと。同法人のWebサイトで、2001年5月からの衣装を閲覧できる。

東海道新幹線の車内からも見物できる