業界唯一の仮想化専用ストレージとして、仮想化基盤にまつわるさまざまな課題にこたえる「Tintri VMstore」(以下、Tintri)。特に、仮想マシン1台1台を認識できることは、従来型のSANストレージのようなボリュームやLUN単位での管理にはないさまざまな機能を提供することができます。

前回は、そうした機能のなかから「スナップショット」を応用して遠隔地バックアップや災害対策(DR)を簡単に行う「レプリケーション」の機能を見てきました。今回は、スナップショットのもうひとつの応用例で、簡単・迅速なデータリストアを実現する「タイムトラベルリカバリー」を紹介します。

>>仮想化専用フラッシュ・ストレージTintri<<

プロフィール

悩味 杉夫(なやみ すぎお)
4月に社内異動してきた情シス運用の新米担当。日々、ストレージの運用に悩みが尽きない。

碓氷 晃央(うすい てるお)
CIO。たびたび寒いおやじギャグを披露する。


天鳥 間仁阿(てんとり まにあ)
隣の部署のサービス運用担当。Tintriについてやけに詳しい。自称「スーパーTintriマン」。


仮想マシンやファイル単位でデータをリストアできないの?

悩味 杉夫
Tintriのレプリケーションを使うと、仮想マシンの遠隔地バックアップや災害対策(DR)があんなに簡単にできるんだな~。うちの部署でもそろそろ本格的にTintriを導入してほしいよ。

それより、今日は、碓氷CIOが間違って消しちゃったファイルのリストア作業をしなくちゃいけなくて…… え~と、消したのは昨日の夕方で、ファイルサーバにコピーしたのが1週間前の朝だったって言うから、とりあえず2日前のスナップショットを探して、いったんこっちのシステムにボリュームごとマウントして、碓氷CIOのフォルダは…… あれ、ないな。う~ん。



天鳥 間仁阿
悩味さん、独り言多くないっすか。



悩味 杉夫
あ、天鳥くん。ちょうどよかった、ちょっと教えてほしいことがあるんだ。このストレージからファイルを1つだけ戻したいんだけど、どうすればいいかな。朝からずっと作業してるんだけど全然見つからなくて。



天鳥 間仁阿
え、もうおやつの時間っすよ? そんなに悩むんなら、Tintriにすればいいんすよ。Tintriはタイムトラベルのようにファイルをリカバリーできるタイムトラベルリカバリー機能が使えるので、ファイル単位のリストアなんて、朝飯前っすよ。


悩味 杉夫
タイムトラベルリカバリー!?



タイムトラベルリカバリーってどんな機能なの?

天鳥 間仁阿
タイムトラベルリカバリーは、スナップショットから仮想マシン単位やファイル単位でデータを戻す機能っす。Tintriは128世代スナップショットを取れるんですが、その戻したいスナップショットを指定してやるだけで、いつでも好きな時間に戻れるんです。そう、まるでタイムトラベルするみたいにね!


悩味 杉夫
そうか! Tintriは仮想マシン単位でスナップショットが取れるから、ボリュームごと戻したりしなくてもいいんだね。どうやって戻すのか、詳しく教えてくれないかな。



天鳥 間仁阿
もちろんっす! まず、これを見てください。Tintriの管理画面の仮想マシン一覧の中から1台を選んで右クリックしたところです。


メニューに「Synchronize - Restore VM/files」ってありますよね。ここを選ぶと、次のような画面がでてきます!

画面に「Restore type」として「VM」と「Guest OS File」とありますね。仮想マシンを戻したかったらVMを、ファイルを戻したかったらGuest OS Fileを選択して、あとは、その下の戻したいスナップショットを選んで「Restore」を押すだけです!


悩味 杉夫
え! こんなに簡単なの!?



天鳥 間仁阿
そうなんです! たとえば、Guest OS Fileを選択すると、対象仮想マシン上にスナップショット上のデータを含むディスクが出現します。あとは、WindowsならD: のようなドライブ文字を割り当てれば操作完了。ここまで来れば、あとはユーザーに好きなファイルを戻してもらうだけです。


悩味 杉夫
仮想マシン単位の場合も同じようにすればいいんだね。



天鳥 間仁阿
はい。管理画面で「VM」を選んで「Restore」すると、ユーザーのマシン全体がスナップショットの状態に戻ります。細かい設定を加えたりする必要は全くありません。



タイムトラベルリカバリーは何が便利なの?

悩味 杉夫
ユーザーからいついつまでに戻りたいと言われたら、その時間のスナップショットを選んで渡してあげればいいんだね。これは管理者にとってはすごく便利だよ。何時間もかけてファイルを探していたのが嘘みたいだ。



天鳥 間仁阿
リストアの作業自体は、数分ですね。もし探したいファイルがスナップショットにないというときでも、ロールバックやロールフォワードは自由自在ですから、何回か繰り返しても、30分くらいで終わるんじゃないですかね。そもそも誰かに探してもらうより、自分で探したほうが早いことが多いですし。


悩味 杉夫
取得できるスナップショットが128世代っていうのは、期間があったりするのかな?



天鳥 間仁阿
いつでも好きなときに戻れます。デイリーでスナップショットを取得する設定だったら、128日前まで戻れます。マンスリーなら10年前までさかのぼれる感じっすね。


悩味 杉夫
(10年前の自分を想像して)いいなあ、10年前に戻りたい…… ところで、データをコピーする時間はどのくらいかかるんだい?



天鳥 間仁阿
あ、いいところに気づきましたね。Tintriのタイムトラベルリカバリーは、仮想マシン単位であれ、ファイル単位であれ、実データの移動やコピーは発生しないんです。データの参照先だけ変えるような仕組み。だから、データサイズにかかわらず高速に処理できます。25GBの仮想マシンでも500GBの仮想マシンでもほぼ同じ時間で戻りますね。


悩味 杉夫
データ用の仮想マシンディスクになると数TB超えるケースもあるよね。



天鳥 間仁阿
数TBの仮想ディスクですら、あっと言う間に戻ります。それがタイムトラベルリカバリーの便利なところなんです!



他社のリカバリー機能と何が違うの?

悩味 杉夫
こういう機能って他社のストレージにはあるの?




天鳥 間仁阿
ストレージの機能としてファイル単位のリストアを提供しているストレージなんてほかにないっすよ。さっき悩味さんが悩んでいたみたいに、基本的にスナップショットとリストアはボリューム単位っすから。

仮想マシン単位でスナップショットを取得できたとしても、Tintriのように好きな時間にタイムトラベルできるようにするには工夫が必要です。その場合は、専用のバックアップ/リカバリーソフトを利用するしかないっすね。


悩味 杉夫
そうか。その場合は、データの移動やコピーが発生することになるね。専用ソフトだからできることは多くなるかもしれないけど。あと今度はバックアップウィンドウを考慮しなくちゃいけなくなるとか。



天鳥 間仁阿
そのとおり! もともと、バックアップメディアを使わずにストレージでオンラインバックアップしたいってニーズは、短時間でバックアップしたいというところから来てますよね。でも、オンラインでやろうとすると、システムの負荷が高まって、ほかの処理に影響がでる可能性もある。

そこでTintriなんです。Tintriは仮想マシン単位で自動的にQoSを行うので、負荷が高まっても仮想マシンには影響が出ないし、実データの移動やコピーも伴わないので時間もかからず効率的。ファイルを簡単に元に戻したいというニーズに的確にこたえてくれます。

もちろん、専用のバックアップソフトと組み合わせても大丈夫っすよ。ニーズに応じたさまざまなリストアに対応できる点が、他社と大きく異なる点っすかね。


タイムトラベルリカバリーはどんなときに使うの?

悩味 杉夫
タイムトラベルリカバリーは日常的に使えるね。間違えてファイルを消してしまうことって本当によくあるからね。そんでもって、うっかりごみ箱も空にしちゃったり。



天鳥 間仁阿
そっすね。ネットワーク上の共有フォルダではごみ箱機能が使えなかったりするから、うっかり消しちゃうとかありますね。


悩味 杉夫
メールみたいにアプリケーションのなかで消しても、ファイルみたいに簡単に戻らないのも困るよね。管理側から戻そうとしても、本人じゃないから、探すのに時間がかかるし。



天鳥 間仁阿
うちのサービス運用部でもよく起きてますよ。よくあるのが、設定ファイルの上書きとかですね。オペミスだったり、設計時のミスだったりが原因です。

タイムトラベルリカバリーは、そういったいろんなトラブルに対応できるのがいいとこっす。



ほかの機能と合わせて使うといいことあるの?

天鳥 間仁阿
Tintriが提供する機能としては、スナップショットをうまく使ったユースケースの1つがタイムトラベルリカバリーって位置づけですね。

それから、リストアするときに、実データの移動やコピーを行わないことも、スナップショットの良さを引き継いでいるところっすね。



タイムトラベルリカバリーをうまく使っているユーザー事例は?

悩味 杉夫
いろいろ使い方があるとは思うけど、タイムトラベルリカバリーをうまく使っている事例があったら教えてほしいな。



天鳥 間仁阿
岐阜県を本拠にIaaSサービスのBizGr@nd(ビズグランド)を展開している電算システムさんの事例が面白いっす。サービス基盤はHyper-Vで、1日1回お客様の要望に応じて仮想マシンに対してスナップショットを取得して、サービスを利用しているユーザ様で何かトラブルがあったらリカバリー機能ですぐに復旧できるようにしています。ケースとしてはゲストOSのアップグレードやカーネルのバージョンアップに伴う障害で、お客様が復旧作業に困られている時に利用されることが多いそうです。

Tintriを使っていない場合、何時間もかけて仮想マシンをバックアップして、復旧を依頼されたときも何時間もかけて戻す必要がありました。その分、ユーザーも待たせてしまいますし、きちんとサービスを提供するためには工数もかかります。

でも、Tintriなら特別な手順が必要なく、2クリック程度で構成情報も含めて仮想マシンを復旧できます。時間にしてなんと2~3分!データセンターの隠れた付加価値になっているそうです。


悩味 杉夫
たしかに「ゲストOSをアップグレードしたら動かなくなった!」という場合でも、作業前の状態へ迅速に戻るなら、ユーザーさんも安心だよね。



天鳥 間仁阿
あと、仮想ディスク領域の拡張といった運用的な作業を行う場合も、今までは数時間かかる仮想ディスクのコピーによるバックアップを行って万が一の事態に備えていたそうなんです。それも、Tintriの高速なスナップショットとリカバリーを使うことで、オンラインバックアップデータの生成が一瞬で終わるので、ユーザーへのサービス向上につながったそうです。万が一のときも、迅速にリカバリーが可能なので、安心して作業ができることもメリットです。

タイムトラベルリカバリーは、そういったいろんなトラブルに対応できるのがいいとこっす。


碓氷 晃央
お! 悩味くん、あの消えたファイルの件だけど、ファイルサーバ上のファイルじゃなくてSNSで受け取ったインスタ映えしたナイトプールの写真だったわい。スマホに残っとったから大丈夫じゃった!


悩味 杉夫
そ、そんなぁ!? 今日の朝にタイムトラベルさせて……




次回は、「ディスクリフレッシュ」について天鳥くんが熱く語ります!

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