2017年9月末からSuicaなどの交通系ICカードで東海道・山陽新幹線に乗車できるようになる。これにより、これまで専用のクレジットカードを作ってチケットレス乗車をしていた「エクスプレス予約」か、いくつかのクレジットカードしか利用できず、「エクスプレス予約」予約よりも条件が悪かったチケットレス乗車サービスの「プラスEX」しかないという状況が改善される。

9月末からは、一般的な交通系ICカードとクレジットカードでチケットレス乗車できるようになる(ただし、「エクスプレス予約」よりは高い)。つまり、一般的なクレジットカードでも、チケットレス乗車でポイントを貯めることができ、さらに交通系ICカード一体型のクレジットカードを使い、通勤でも出張でもクレジットカードのポイントを貯めるということもできるようになったということだ。

「エクスプレス予約」の「一元化」

さて、「プラスEX」が「エクスプレス予約」にサービスが統合されることにより、違った角度からものを見ることができるようになっている。9月2日からは「プラスEX」と「エクスプレス予約」が統合され、違いは特典のグリーンプログラムだけとなる(その他の割引サービスは同じ)。

「プラスEX」が使用できるカードは、JCBカードや三井住友カード、三菱UFJニコスといった銀行系のカードを中心に、イオンカードなども含まれている。このあたりのカードは、たいていのビジネスパーソンであれば、いずれかを持っているのではないか。その点を考えると、エクスプレス予約は、一般的なクレジットカードでも可能になったと言える。つまり、新しいクレジットカードを作らなくても、これまでのエクスプレス予約とほぼ同等のサービスを受けられるようになったということだ。

東海道・山陽方面の出張が少なく、新しいクレジットカードをつくるのもどうかなあと思っていた人たちが、これならばエクスプレス予約のサービスを使用してもいい、と考えるようになるのも自然である。

一方で、9月末からは交通系ICカードと一般のクレジットカードで東海道・山陽新幹線に乗車できる「スマートEX」のサービスも開始される。こちらは、セゾンカードなどの流通系カード保有者や、最近人気の楽天カード保有者におすすめだ。年に1回か2回程度しか東海道・山陽新幹線に乗らないならば、これでもいいだろう。

ポイント集中に効果

ふだんのクレジットカードでポイントを貯めている人には、「エクスプレス予約」と「スマートEX」という新しい選択肢が提示されることになる。一方で、交通系ICカード一体型のクレジットカードを使用している人には、「スマートEX」という選択肢も提示される。 しかし実は、これにも裏技がある。

JR東日本による、Suica一体型のビューカードでは、「エクスプレス予約」を使用することができない。ところが、私鉄各社がつくっている、PASMOなどにオートチャージできるクレジットカードは、実は銀行系クレジットカード会社と提携して発行されているものも多い。

これらは、次のような使い方が可能だ。普段はオートチャージで交通系ICカードを使い電車に乗り、東海道・山陽新幹線には「エクスプレス予約」を利用。普段の買い物は私鉄系スーパー、高級品を買うときは電鉄系百貨店。出張先のホテルの宿泊費もクレジットカードで支払う(地方にも私鉄系のホテルがあったりする)。

このように仕事の出張・宿泊、ふだんの通勤、生活費をひとつに集約することで、ポイントを効率よく貯めることができる。しかも、鉄道への乗車は、チケットレスだ。エクスプレス予約の新制度は、いま暮らしている家のある路線によっては、思わぬ効用も出てくる。この効用をうまく使うことを考えてほしい。

著者プロフィール: 小林拓矢
1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。フリーライター。大学在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道、時事社会その他についてウェブや雑誌・ムックに執筆。単著『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に共著者として参加。

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