最近、ツールについて語られる際、「種類や機能」ではなく、「使いこなすコツ」がトレンドになっています。今回は「ツールを使いこなすコツ」の一例として、キャプチャ/プレイバックツールの「スクリプティングレベル」を取り上げます。

導入の成功を阻む原因

キャプチャ/プレイバックツールは、ユーザーの操作を記録したデータを再生用スクリプトとして自動生成し、それを用いてユーザーの操作を再生します(図1)。同ツールは操作を1度記録すれば、その操作に関するテストを何度でも自動実行してくれることから、回帰テストや保守・バージョンアップの時の既存機能のテストに使うと効果的だと言われています。

図1 キャプチャ/プレイバックツールの仕組み

主要な商用ツールには、米ベリシウムの「vTest」、日本コンピュウェア「TestPartner」、日本HP「QuickTest Professional」、日本IBMの「IBM Rational Functional Tester」などがあります。フリーウェアではWebアプリケーション向けの「Selenium」が有名です。

キャプチャ/プレイバックツールの導入が成功しない理由の1つとして、効率的なスクリプティングができていないことが挙げられます。ISTQBシラバスでは、記録時に自動生成されたスクリプトをそのまま再生してテストする方式を「キャプチャテスト」と呼んでいますが、同方式ではなかなかうまくいきません。

なぜなら、記録したスクリプトを再生する際は、事前の状態が記録した時の状態と同じでなければいけないからです。例えば、操作するたびにフォーム名を動的に変更してしまう仕組みを持つWebアプリケーションの場合、記録時と再生時の状態が違うのでうまく再生できなくなります。

このような問題は、スクリプトの修正によって回避できることが多いのですが、それには、スクリプティングスキルを身に付けていないといけません。

執筆者プロフィール

湯本剛 (Tsuyoshi Yumoto)
株式会社豆蔵 シニアコンサルタント。1991年に製造メーカーに就職し、原価管理、製品管理システム構築プロジェクトに参画。その後ソフトハウスにてパッケージソフト、プリンタドライバ、C/Sシステム、Webシステムなどソフトウェアテスト業務に携わる。現在は豆蔵にてソフトウェアテストのコンサルタントとして活動中。日本科学技術連盟SQiPステアリング委員、JSTQB技術委員、s-open幹事、NPO法人ソフトウェアテスト技術振興協会理事。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.6(2008年9月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。