【連載】

実践ソフトウェアテスト考現学

14 すべてのテストを自動化するのは現実的じゃない

湯本剛  [2009/07/28]

前回より、「テストの新しいアプローチ」を全体的にコーディネートすることの意義について解説しています。テストを効率化したい場合、「自動化すればいいじゃないか」と考える方が多いでしょう。しかし、テストの自動化は口で言うほど簡単ではありません。

ただ、ゴミ収集時間の直前に慌てて分別しようとしてイライラするなど、分別作業自体が面倒に思う人も多いはずです。開発の現場に話を戻せば、開発者が設計・実装している時のテストがこの状態に近いのではないでしょうか。

「だったらゴミの分別を自動化すればいいのではないか」という話や、「そもそもゴミを出さない(商品の)販売方法にすればよいのでは」という意見も出てくると思います。

実際に、市町村によって処分の方法は異なります。投資をすることで大規模な分別機を導入する方法もあるようですが、アルミや鉄とそれ以外の分別は自動化できても、その他のゴミの分別は難しいようですので、すべてを自動化できるわけではありません。

また、ゴミが出ない販売方法については、商品のパッケージングに伴うイメージや宣伝方法、持ち運び方法や保存方法までを含めた大きな視点で物事を捉えないといけません。そうなると、そもそも「何でゴミを分別するのか」という立脚点からかけ離れてしまいます。

分別の目的はリサイクルやリユースなので、使途が自治体や国ではっきりしていないと、すべての努力が無駄になってしまうのです。

テストの自動化も、ツール導入コストを考慮しなければいけませんし、それでもすべてを自動化できるわけではないことを認識する必要があります。またテストを自動化するめには、テスト自動化が容易になるような設計・実装が要求されます。

そもそもテストの際に欠陥を見つけるのではなく、その前に欠陥が多く入り込まないような設計・実装をすることが必要です。にもかかわらず、製品に求められている品質を検討していないため、どんな目的でテストをしているのかが曖昧なケースもよく見受けられます。

つまり、「ゴミの分別」も「効率の良いソフトウェアテストの方法」も、その目的を明確にしてもっと大きな視点で考えないと良くならないわけです。そのためには既存の枠組みを見直して、効率的・効果的なアプローチ方法を探る必要があります。

執筆者プロフィール

湯本剛 (Tsuyoshi Yumoto)
株式会社豆蔵 シニアコンサルタント。1991年に製造メーカーに就職し、原価管理、製品管理システム構築プロジェクトに参画。その後ソフトハウスにてパッケージソフト、プリンタドライバ、C/Sシステム、Webシステムなどソフトウェアテスト業務に携わる。現在は豆蔵にてソフトウェアテストのコンサルタントとして活動中。日本科学技術連盟SQiPステアリング委員、JSTQB技術委員、s-open幹事、NPO法人ソフトウェアテスト技術振興協会理事。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.4(2008年5月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。

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