よくないのが、相手の人格自体を攻撃する叱り方です。問題を引き起こした相手を嫌悪し、ひどい言葉を浴びせたり強い口調で言ったりすることで自分の怒りの程度を表明するというアプローチです。

たとえ相手に失敗を認めさせるための意図があったとしても、ほめられることではありません。「だからお前はダメなんだ!」「以前からお前はヘマをするんじゃないかと思っていたよ」といった類の言葉は、未来に何のプラスを生みません。リーダーに対する嫌悪感を助長するだけです。冷静でないリーダーの姿を見て、周囲のモチベーションも下がるでしょう。リーダーが正しいことを言っていたとしても、相手の人格攻撃が言葉に含まれていては、部下や周囲は「嫌いだから怒ってるんだ」と解釈してしまうのです。

どんな逸材であっても失敗することはあります。逆にどんなに人間的に相性が合わない部下であっても、良い行動は評価されるべきだし、間違った行動は正されるべきです。あくまで、"人"にフォーカスするのではなく、"問題点"を部下と共に浮かび上がらせ、その"問題点"に着目するのです。部下と問題点を共同で解決し、また同じことが起きないように共に考えるわけです。

人格を攻撃するような態度からは、リーダーの余裕のなさが垣間見えてしまいます。

執筆者プロフィール

佐藤高史 (Takashi Sato)
株式会社コラージュ代表取締役。ビジネスコンサルタントとして人事教育・研修プログラムを数多く開発。著書「最強のプレゼンテーション完全マニュアル」(あさ出版)。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.4(2008年5月発刊)
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