第十回までに、LANスイッチの概要や種類、QoS(Quality of Service)等の機能について解説しました。第十一回の本項では、LANスイッチのメンテナンスについて解説します。

1. メンテナンス準備

マネージスイッチやスマートスイッチ等のLANスイッチは、ネットワーク経由で再起動したり、設定を初期化する等のメンテナンスが可能です。

LANスイッチをメンテナンスするためには、IPアドレスの設定が必要です。IPアドレスは、デフォルトで設定されている機種もありますが、ネットワーク環境に合わせて変更が必要です。また、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)により、自動で割り当てられる事もあります。DHCPとは、自身のIPアドレスを問い合わせるフレームを送信し、DHCPサーバが応答する事でIPアドレスを取得する仕組みです。

LANスイッチにIPアドレスを設定する際は、どのVLAN(Virtual Local Area Network)に属するか決める必要もあります。

上記のようにVLAN20に属する設定にすると、VLAN20に接続されたパソコンのみ通信できます。

2. IPアドレスの設定例

ネットギア製品のスマートスイッチは、デフォルトでDHCPサーバからIPアドレスを取得します。DHCPサーバが存在しないと、192.168.0.239が設定されます。IPアドレスを変更する場合は、ログイン後に「System」→「Management」→「IP Configuration」を選択します。

赤枠部分で「Static IP Address」を選択後、青枠部分でIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイを入力します。緑枠部分はLANスイッチが所属するVLANです。デフォルトはVLAN1です。「APPLY」をクリックすると設定が反映されます。デフォルトゲートウェイは省略可能ですが、誤差が生じます。異なるサブネットとの通信を許容する場合は設定が必要です。

ログイン時のパスワードも変更できます。パスワードはデフォルトで設定されていますが、マニュアルにも記載されていて誰でも知る事ができるため、必ず変更する必要があります。パスワードは、「Security」→「Management Security」→「User Configuration」→「Change Password」で変更可能です。

3. 再起動と設定の初期化

ネットギア製品のスマートスイッチは、「Maintenance」→「Reset」→「Device Reboot」を選択して再起動ができます。

赤枠部分にチェックを入れて、「APPLY」をクリックすると再起動されます。また、「Device Reboot」下の「Factory Default」では、設定を購入時の状態に初期化できます。パスワードを忘れてログインできなくなった時は、装置前面の「Factory Defaults」ボタンを数秒間押し続ける事でも初期化できます。

4. 設定内容のアップロードとダウンロード

スマートスイッチに設定した内容をパソコンに保存する時は、「Upload」→「HTTP File Upload」を選択します。

赤枠部分でText Configurationを選択し、「APPLY」をクリックするとパソコンに保存されます。スマートスイッチが故障して交換した時は、保存したファイルを使って設定を復旧出来ます。また、保存したファイルはテキストファイルのため、メモ帳等で編集してLANスイッチに反映させる事もできます。LANスイッチに反映させるためには、「Download」→「HTTP File Download」を選択します。

赤枠部分でText Configurationを選択し、青枠部分をクリックしてパソコン上のファイルを選択します。「APPLY」をクリックすると、自動で再起動した後に設定が反映されます。

5. ファームウェアのアップデート

ネットギア製品のスマートスイッチは、ファームウェアというイメージファイルで動作しています。イメージファイルはImage1とImage2の2箇所に保存されており、片方がActiveな状態です。

Activeになっているイメージファイルの保存先は、「File Management」→「Dual Image」→「Dual Image Status」で確認できます。

赤枠部分がActiveなイメージファイルの保存先です。緑枠部分は、Image1とImage2に保存されているイメージファイルのバージョンです。新しいファームウェアのバージョンが出ると、公式サイトの「各種ファームウェア、ソフトウェア」ページからダウンロードできます。新しいバージョンでは、新機能が追加されたり、バグが修正されたりしています。ダウンロードした新しいイメージファイルを使えるようにする事をアップデートと言います。アップデートは、①Activeでない方に新しいイメージファイルを転送し、②Activeを切り替えた後、③再起動するという手順で行います。

上記の例では、今まで動作していたImage1側は上書きしないため、万一image2で起動しなかった時は、Image1で起動できます。手順①のActiveでない方に新しいイメージファイルを転送するためには、「Download」→「HTTP File Download」を選択します。

赤枠部分でCodeを選択し、青枠部分ではActiveでない方の保存先を選択します。緑枠部分をクリックしてパソコンに保存しているイメージファイルを選択します。「APPLY」をクリックすると、パソコンからイメージファイルの転送が開始されます。転送成功を示す「File transfer operation completed successfully.」が表示された後、「Dual Image Status」画面でイメージファイルのバージョンを確認します。保存先にImage2を選択したのであれば、Image2が新しいバージョンになっています。手順②のActiveを切り替えるためには、「File Management」→「Dual Image」→「Dual Image Configuration」を選択します。

赤枠部分で新しいイメージファイルの保存先を選択し、青枠部分をチェックします。「APPLY」をクリックすると、次回から新しいイメージファイルで起動できます。手順③は、「Device Reboot」画面で装置を再起動します。再起動後、ログインしたトップ画面の「Software Version」で、新しいバージョンになっている事を確認します。

6. Smart Control Centerを利用したメンテナンス

「第二回 スマートスイッチとは?」でご紹介したSmart Control Centerでも、同様のメンテナンスができます。

Smart Control Centerを起動し、装置を選択した後、赤枠部分で処理を選択します。各項目では、以下が行えます。

また、「Maintenance」→「Configuration」を選択すると、設定の保存と反映ができます。

装置を選択後、赤枠部分の「Upload Configuration」をクリックする事で、設定内容をパソコンへ保存できます。また、「Download Configuration」をクリックすると、パソコンに保存された設定ファイルを反映させる事ができます。上記は、「Download Configuration」を選択し、反映するファイルを選択した後の画面です。青枠部分はパスワードの入力です。緑枠部分の「Run Now?」のチェックを入れたままにすると、すぐ設定が反映されます。チェックを外すと、日時を指定する事ができます。つまり、今反映させるのではなく、後で反映させるための予約ができます。「Maintenance」→「Firmware」を選択すると、ファームウェアのアップデートができます。設定の反映と同様で、すぐにアップデートする事も、日時を指定して予約する事もできます。予約した内容は、「Tasks」で確認できます。

予約を選択し、赤枠部分の「Delete One Task」をクリックすると予約を削除できます。青枠部分の「Reschedule」を選択すると、予約を変更できます。緑枠部分の「Delete Prior Tasks」では、選択より前の項目を一括して削除できます。

7. おわりに

第十一回では、LANスイッチをメンテナンスするための機能と操作について解説しました。Smart Control Centerを使うと、複数のLANスイッチを対象に、同時にメンテナンスを行う事ができます。また、ネットギア製品のスマートスイッチでは、新品購入の方に対して期限を決めず、故障した時に無償交換するライフタイム保障を行っています(※ライフタイム保証は、商品購入から30日以内のユーザー登録が必要)。このため、メンテナンスしながら長期間の利用が可能です。

今回で基本編は終了です。次回からは、発展編をお送りします。

(マイナビニュース広告企画:提供 ネットギアジャパン)

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