【連載】

捨て変態の偏愛雑貨帖

2 湯たんぽ

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私は生まれも育ちも今現在も、宮城県仙台市だ。東北なので冬は非常に寒い。特に私は寒がりで、人一倍、脂肪という名のアウターを着ているはずなのに、めっぽう寒さに弱い。かといって暑さにも全くもって強くないのでわがまま極まりないのだが。

そんな私の冬に欠かせないのが、夜寝る時のお供である"湯たんぽ"。これがないと私は眠ることができない……それくらい欠かせないアイテムだ。

物心つく前から冬=湯たんぽ

私と湯たんぽの(文字通り)熱い絆は、物心がつく前までさかのぼる。当時はやけどをしないよう配慮された子供用のプラスチックの湯たんぽを使っていた。ベビーピンク&イエローという優しい色合いで、寝る前になると母親が布団に入れておいてくれるのが楽しみだった。

しかしいつの頃からか私が使う湯たんぽは、全てにおいて優しいプラスチック製から、万が一触ってしまったらやけど確実! だけどしっかり朝まで温かい! という昭和の香り漂うトタン製に変わり、寒い台所で1人寂しく温めて布団に入れるのが日課になっていったっけ……。

現在使っているトタン製の湯たんぽと、湯たんぽカバー

いつの日も湯たんぽとともに眠っていたので、冬=湯たんぽと言っても過言ではない。

「捨て変態」になり湯たんぽを再発見

とは言うものの、ものの少ない暮らしに目覚め、捨てることが大好きな「捨て変態」になってから、何年かは使わないで過ごしていた時期もあった。今よりもものが増えることに耐えられない時期だったので、断腸の思いで湯たんぽという冬の相棒を処分したのだ。

しかし3年前、寒さに耐え切れず湯たんぽ生活を再開した。捨て変態になっても冬の寒さには勝てなかったのである。

その時買ったのはプラスチック製の湯たんぽで、シンプルなデザインが売りの小ぶりで軽く使いやすいものだった。が、保温力が私の望むレベルまではいかず、朝になると冷えている。そのことに落胆した私は、"デザインがすてきで、保温力がバッチリで、温める時も楽で、手入れも特にしなくていい湯たんぽ"という欲張りな条件のもと、再度理想の湯たんぽ探しの旅に出た。

ところが、販売されているのは昔ながらのトタン製のものばかり。銅製のものもあるにはあるが、好みのデザインがなかったり、あっても容量が小さかったり、そもそも値段が高くて買えなかったり。

結局、散々探しても理想のものは見つからなかった。仕方なく、いいものが見つかるまでのつなぎとして、かつて長年ともに過ごしてきたトタン製の湯たんぽをホームセンターで買った。

散々探したが、結局はトタン製に落ち着いたのである

しかし、これが意外に良かった。保温力は申し分ないくらい温かい……というか熱いくらいだし、温める時も楽だし、頑丈で、手入れも特にいらない。デザインも"レトロ"と言い換えれば、なんだかオシャレなような気がしてくる気がしないでもないし、何より、かつて長年使ってきたデザインなだけあって愛着が湧いた。

安眠の儀式

現在使っている湯たんぽカバーは今シーズンに新調したもので、メリノ羊毛のカバーだ。ポケットが付いているので、足が冷えて寝付けない時はそのポケットに足を入れて寝ると即眠れる。手触りは、わが家で一番おデブな猫のおなかに似ていて気持ちがいい。

湯たんぽカバーにはポケットが付いており、ここに足を入れると即寝れる

今日も私は夜眠る前に台所で湯たんぽを温める。すっかり冬の風物詩として定着したこの習慣は、安眠のための大事な儀式で、なんだか少しワクワクもするのだった。

寝る前に、台所で湯たんぽを温める。冬の風物詩であり、安眠のための儀式でもある大事な習慣だ

著者プロフィール: ゆるりまい

1985年生まれ。仙台市在住。漫画家、イラストレーター。
夫、母、息子の人間4人 +猫4匹ぐらし。
生まれ育った汚家の反動で、現在ものの少ない暮らし街道爆進中。
ものを捨てることが三度の飯より大好きな捨て変態。
そんな日常を描いた『わたしのウチには、なんにもない。』(KADOKAWA)は2016年、夏帆主演で連続ドラマ化された。
現在cakesにて「ゆるりまいにち猫日和」、赤すぐにて「赤すぐみんなの体験記」を連載中。

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インデックス

連載目次
第10回 超早起きで仕事……そんな自分にご褒美の「ゆず酢」でカフェ気分
第9回 シンプルで終わらない「ミナペルホネン laboratoryシャツドレス」
第8回 夏嫌いの助っ人「生活の木 フレグランスシート」
第7回 思わずガッツポーズ×10「イイダ傘店のハンカチ」
第6回 インド刺繍のストール
第5回 亀田縞のワイドパンツ
第4回 柘植櫛
第3回 宝箱(仮)
第2回 湯たんぽ
第1回 山葡萄のボストンバッグ

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