製品設計を行う場合、作成する製品の規模によってはCAD上で膨大なファイル数が必要になります。大量のファイルを扱う程使用するマシンへの負荷が大きくなり、作業効率やオペレーションのレスポンスなどのパフォーマンスが低下してしまいます。3次元CADを使用する上でパフォーマンスに関する問題はマシンスペックやグラフィック性能により大きく左右されるため、具体的な解決が難しい問題です。

しかし、SOLIDWORKSでは大規模ファイルでも快適な操作を可能にする各種機能が備わっています。さらに、マシンへの負荷を抑えた設定に切り替えることでより良いパフォーマンスを維持することができます。

SOLIDWORKSのパフォーマンス向上機能でできること

  • ハードウェア、ソフトウェア、OS、設定、モデリングなどさまざまな要素がパフォーマンスに影響を与えます。
  • パフォーマンスに影響する要素を考慮した対応をすることで優れたパフォーマンスを発揮します。
  • 単体では効果の小さい改善でも、大規模なデータでは大きな効果をもたらします。

部品パフォーマンスの向上

SOLIDWORKSには操作性を向上させる機能や部品モデルの計算速度を短縮させるテクニックがあります。部品一つで得られる効果は小さいですが、それらを用いた大規模アセンブリにおいては大きな効果をもたらします。

・ダイレクト編集:Instant3D
Instant3Dやライブセクション機能の搭載により、グラフィック領域での直感的で容易な形状編集を実現します。

移動

回転

サイズ変更

有効断面平面

・パターン、テクスチャの活用
カット形状の外観をテクスチャで表現することでメモリ使用量を軽減できます。

・1/4形状での設計
対称形状を作成する場合、1/2・1/4形状を作成し残りをミラーで作成することで計算時間を短縮できます。

・ジオメトリパターンの使用
パターン作成時にジオメトリパターンを使用することで再構築に要する時間を短縮できます。

・自動データ簡略化機能
「Defeature」機能を使用することで部品やアセンブリから詳細部分を削除し、その結果を基に新しいファイルを作成、保存できます。

Defeature機能によりモデルを自動で簡略化。

・フィーチャーを再構築から除外
システムオプションの設定を有効にすることで表示される「フリーズバー」を使用して、フィーチャーを再構築から除外します。

フリーズバーを使用して、フィーチャーを再構築から除外。

アセンブリのパフォーマンス向上

アセンブリ内の読み込む情報を制限する機能を使用し、パフォーマンスを向上させることができます。また、合致定義の方法やファイル作成において効率化させることもできます。

・ライトウェイトで開く
アセンブリを開く際に「ライトウェイト」として開くよう選択することで、各部品データの一部分のみをロードしてアセンブリを開きます。

・抑制状態のコンフィギュレーションを指定して開く
「抑制」を使用したコンフィギュレーションを作成することで、業務に必要なファイルだけを読み込んだ状態を呼び出して作業できます。

・アセンブリの簡易表示:SpeedPak
「SpeedPak」は特定の要素の参照を維持しつつ、アセンブリの簡易表示を作成するコンフィギュレーションです。

特定の要素の参照を維持しつつ、アセンブリの簡易表示を作成。

・大規模アセンブリモードで開く
ロードするデータの制限をするだけでなく、同時にパフォーマンスに影響を与える各種オプションを最適な設定に切り替えます。

・大規模デザインレビューモードで開く
大規模アセンブリ内のデータを表示情報のみで開いた迅速なデータ閲覧を可能にし、デザインレビューや必要なデータの選択を行うことができます。

レビューに効果的な各種機能を使用可能。

・自動データ簡略化機能:Defeature
アセンブリ上では部品の簡略化に加え、不用な部品を削除し機構を維持したままデフィーチャーができます。

・循環参照
アセンブリ上での外部参照を指定する際に、基準となる部品を決めて設定できます。

・合致による不要な完全定義
ネジやローラーなどの角度定義が必要ない部品には、回転の自由度は残しておき合致数を削減します。

・AssemblyXpert
AssemblyXpertはアセンブリのパフォーマンスを解析し、パフォーマンスを改善できる可能性のあるアクションを提案します。

図面パフォーマンスの向上

図面・ビューの作成方法や表示スタイルを変更することで処理速度を向上させます。

・図面でのライトウェイトの使用
図面においてもアセンブリ同様ライトウェイト状態で開くことで、操作性を向上できます

・アセンブリ機構の代替位置ビュー
図面で機構を表現する場合、コンフィギュレーションを使用した代替位置ビューで表現できます。

・図面上での表示スタイル
陰線表示ではグラフィックの表示に負荷がかかるため、図面作成中ではシェイディング表示で作業します。

パフォーマンスを向上させる設定

データの読み込みやグラフィックの表示、操作効率にかかわる設定を変更することで、SOLIDWORKSのパフォーマンスが向上します。

・ドキュメントの解像度設定
グラフィックの表示解像度を低く設定し表示速度を向上させます。

モデルの表示解像度をコントロール。


・ジオメトリの曲率表示・解像度設定
グラフィックの曲率精度の計算頻度、精度の設定やモデル上での合致時の挙動を設定します。

・ファイル読み込み時の設定
ファイルの読み込み/再構築する際のパフォーマンスに影響を及ぼす設定します。

・グラフィック表示要素の設定
グラフィック上の表示要素を制限する設定します

(本稿はCAD Japan.comより提供を受けた記事を編集したものです。)