今回はYouTubeやUstream、ニコニコ動画、ハングアウトといった動画共有サービスの特徴とそれぞれの違い、動画共有サービスを使うメリットなどを具体的な使い方事例を交えて紹介します。

テキストより情報量が多く魅力も伝わりやすい動画サービス

そもそも動画共有サービスをマーケティングに使うメリットとは何でしょうか。

何と言っても動画は、写真とテキストの場合よりも多くの情報を伝えることができる点が大きいでしょう。保険・金融商品や書籍などのように、Web、雑誌広告、ラジオCMなどを使って文字や写真で訴求するのに向いているものもありますが、洋服や映画、自動車などは動画で実際に見た方がその魅力や使い方などが伝わりやすくなります。また、動画によるインパクトは大きいため、ユーザーからのリアクションも期待できます。

テレビCMは多くの人々にリーチできる点が魅力ですが、撮影、編集、タレント代、放送枠など、多額のコストがかかります。一方で、動画共有サービスは基本的には無料で、撮影のために特別な機材も要らず、スマートフォンで撮影して配信することも可能なため、手軽に導入できます。ソーシャルメディアへの共有が簡単なため拡散しやすい点も魅力です。

フォレスターサーチ社の調査によると、動画コンテンツがある場合、検索結果の最初のページに表示される確率が53倍に上がるという結果も出ており、SEO的な効果も期待できます。

代表的な動画共有サービスの違いと向き不向き

ここで、代表的な動画共有サービスの特徴と違いなどについて紹介しましょう。

YouTube

YouTube

Googleの完全子会社であるYouTube,LLCが運営する、2005年に誕生した動画共有サービス。投稿できる動画の長さは15分。Google+のアカウントでログインでき、チャンネル開設は無料。動画が配信できるライブストリーミングサービス「YouTube Live」もあります。

2013年には、月間利用者数が10億人を突破。米コムスコアによると、2012年12月末時点で日本の動画視聴サイトの利用トップはYouTubeの5078万人、続いてニコニコ動画の2902万人、FC2の2206万人、Ustreamの755万人となっています。

ユーザー数も多く、他のサービスとも連携しやすいため、最初に始めるべき動画共有サービスと言えるでしょう。何度も見てもらいたい動画を公開するのに向いています。

Ustream

Ustream

Ustream.Inc.が運営する、2007年に誕生したストリーミング型の動画共有サービスです。

無料で手軽に配信でき、視聴者とのチャットや、投票機能などもあります。リアルタイム性が高くユーザーと交流しやすいという特徴があり、動画の長さに制限はありません。過去には宇多田ヒカルのライブ配信なども行っており、ライブ配信の代表的な存在となっています。

ニコニコ動画

niconico

動画にコメントできる機能が特徴のサービスで2006年に誕生。ドワンゴが設立、ニワンゴが運営する動画共有サービスです。過去に2ちゃんねるの創設者である西村博之氏が運営に関わっていたりと、2ちゃんねる文化の影響を強く受けています。

2012年より、「ニコニコ動画」やユーザーによる生配信「ニコニコ生放送」、イラストなどが投稿できる「ニコニコ静画」などを総称して「niconico」と呼ばれています。企業などが動画や生放送、メルマガが無料で配信できる「ニコニコチャンネル」も用意されています。

ハングアウト

ハングアウト

Googleが運営するGoogle+プラットフォームで、最大10人でビデオ通話が利用できる機能です。

顔を見てのコミュニケーションがリアルタイムでできるため、活用する企業が増えています。リアルタイム配信ができる「ハングアウトオンエア」もあり、利用はすべて無料。Googleの他サービスとの連携が強みとなっています。

動画共有サービスはどのように使えるのか?

自社で動画を作成して公開するなら、専用チャンネルを用意するのがお勧めです。YouTube、YouTube Live、Ustream、ハングアウトオンエアは無料で、しかも全世界に向けて配信できるので、興味がある企業や店舗はこのサービスから始めるといいかもしれません。ニコニコチャンネルも開設が無料で、他のサービスに比べるとユーザー層が若いため、若年齢層にリーチしたい場合に検討してもいいでしょう。

最近目立つのが、ファッション業界の動画利用です。例えば、ベルメゾンは「ベルメゾン動画ショッピング」という自社商品を動画で紹介するコーナーを用意しています。ファッションなどは、実際に着用した時の様子がイメージしやすくなるというメリットがあります。

Webマーケティングガイド調べによると、インターネット動画広告をきっかけにして商品を購入したことがあるユーザーは15.8%、動画広告をきっかけに今後の購入に影響があると回答したユーザーは53.0%に上るなど、動画広告は販促に非常に効果が高いことが分かっています。例えば、米Gary Vaynerchuk氏によるワイン専門ECサイト「Wine Library」では、動画で紹介することでワインの売上が上がっています。

操作が分かりにくい商品の場合、マニュアルだけではなく使い方を説明した動画を用意しておくと親切です。例えば、SHARPはAQUOS PHONEの機能や使い方を紹介する動画を提供しています。その他にも質問や問い合わせが多い内容は、Q&A動画などをカスタマーサポートのコンテンツとして用意するのもお勧めです。

サイボウズなど、人材募集に活用している企業もあります。就活生向けにメッセージ動画を用意することで、訴求力を高めているのです。説明会に参加してもらうのが一番ですが、地方在住で参加が難しい就活生に向けてもリーチできる可能性が出てきます。Ustreamでリアルタイムに配信し、就活生とコミュニケーションをとるケースもあります。

エブリデイイングリッシュという英語教育プログラムを販売するエス株式会社は、ハングアウトで日本人生徒に英語レッスンを行っています。他にも、Google+と連携し、ファンとのコミュニケーションを行ったり、ユーザーサポートに使っている企業は多数あります。

このように、動画共有サービスはアイデア次第で様々な使い方ができます。動画は撮影・編集に技術が必要なことが多く敷居が高いと考えられていますが、今はスマートフォンでも撮影可能です。この機会に利用を検討してみてはいかがでしょうか。