乗降者数でギネス世界記録に認定されたこともある新宿駅。朝から晩まで人であふれかえる、東京の中心地である。そんな新宿駅西口降りてすぐに「思い出横丁」と呼ばれる飲み屋街があるのは有名だろう。今回紹介するのは、この思い出横丁の中心で店を構える「かめや」(東京都新宿区)である。

「天玉そば」(400円)は"天玉"という名にふさわしい大きなかき揚げが鎮座している

ボリュームのかき揚げにあっさり風味のつゆ

思い出横丁自体は、戦後闇市の頃から栄えたと言われているごくごく小さな商店街で、焼き鳥屋や居酒屋が多い。近年ではその古き良き日本を目と舌で味わうべく、国内外からの観光スポットにもなっている。そんな中にあるかめやは平日はなんと24時間営業。いつ訪れても、待ち客が絶えることのない人気店で、午前中などは周りの飲食店も営業前のため、この一角だけ異様な活気を放っている。

L字カウンターで、7人が着席可能。後ろに並びながら、食べ終わる客を自分で見計らって席についていく。席についたら即注文。名物は「天玉そば」(400円)。茹で置き・揚げ置きの準備が多く、ほんの15秒ほどで着丼。代金はこのタイミングで支払う。

天玉そばは、かき揚げに温泉玉子をトッピングしたボリューミィなそば。かき揚げは衣が厚めで、少し粉っぽいが、つゆをよく吸う、立ち食いそばの天ぷららしい味。温泉玉子は絶妙な黄身の凝固具合。固くもなく、柔らかすぎもせず。麺にはややコシがあり、つゆは比較的あっさり風味。飲んだ後のシメに食べることも多いのだろう。見た目よりもさらっといただける一杯だった。

「かめや」は思い出横丁の中でも待ち客が絶えない人気店

安くて早くて、うまい。さらに駅から近く、いつでも開いている。五拍子そろったそばのためだけに、思い出横丁に行くのもいいだろう。

※記事中の情報は2016年5月取材時のもの

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。