今回紹介するのは、創作オリジナル立ち食いそば「a la 麓屋」(東京都港区)。JR山手線の田町駅を西口から降り、目前の第一京浜を横断した先、慶応仲通り商店街の中にある。この細い路地は文字通り慶応義塾大学につながっており、近辺はサラリーマンだけでなく学生でもにぎわう。

一見するとラーメンな「コテリ(温)」(税込720円)

チャーシューに半熟卵まで

その一風変わった店名は、店主が元々フレンチ出身だからだとか。ちなみに以前は、真っ赤でド派手なテント看板だった。引き戸からのれんをくぐると、入ってすぐ右手に券売機がある。前と左手にはカウンターとスツール、テーブル席がひとつ。10人入るかどうかの店内である。正面にカウンターがあり、こちらで食券を手渡す。

他の店では味わえない個性的なメニューが多く、汁なし担々そばや、胡麻辛つけそば、季節限定メニューとして蛤(はまぐり)そばなどもあった。ここは看板メニューの「コテリ(温)」(税込720円)を注文することとする(「サラリ」というメニューもある)。FM放送を聞きながら、4~5分待つ。

チャーシューに半熟卵、刻みネギ、アツアツの天かすとガーリックチップ。見た目はまるでラーメンのようだ。一口すすると、名前ほどはコッテリしておらず、それぞれの具材がつゆにコクを加えていて、思いのほか、ダシの味が強い。信州の歯切れのよい麺は、つゆとよく絡んでいる。食べ応えのある一杯だった。

田町駅からすぐの慶応仲通り商店街の中に、シックなお店を構えている

全国でもオンリーワンのそばを味わえることは間違いない。路麺ファンならチェックしておきたい店である。

※記事中の情報は2016年3月取材時のもの

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。