富士ゼロックスが、SMB向けのクラウド型コラボレーションサービスとしてリリースしたのが「SkyDesk」だ。クラウド型のコミュニケーションサービスは数多くあるが、SkyDeskは特にビジネスでの利用が強く意識されている。それでいて、組織を超えた緩やかなつながりも促進するというサービスだ。現在は、無料版が利用可能だ(※)。
多彩な機能でビジネスにもプライベートにも対応
現在公開されている無料版では、1アカウントあたり1GBのディスク容量が利用可能だ(※)。ユーザー登録を行うと、メールやチャット、カレンダー、タスク、ドキュメント管理に加えて、ワープロ機能である「Writer」、表計算の「Sheet」、プレゼンテーションの「Show」、メモ機能の「Note」、ブックマークの「Links」、連絡先の「Contacts」、名刺管理機能「Cards」、顧客管理の「CRM」の13機能が利用できる。これらのアプリケーションデータは、グループ単位で共有できる。また、メールにGmailやHotmailを統合するなど、Googleアカウントと連携させることもでき、MS Office文書の編集も可能だ。
グループは、個人情報の共有なども含めてコラボレーションできる「組織グループ」と、組織の枠を超えたチームづくりやサークル活動など、プライベートでも利用できる「個人グループ」の2種類がある。
「組織グループ」は、ユーザーにある程度利用制限を加えられるのがポイントなので、会社単位、部署単位で利用するのがいいだろう。制限としては、接続を許可するIPアドレスを指定したり、パスワードの有効日数や長さを指定するなどのほか、ポリシーを設定することもできる。また、ドキュメントの公開やエクスポートについて権限の設定も可能だ。
一方「個人グループ」は、社外ユーザーも含めたグループが簡単に作成できる。「組織グループ」のようにガバナンスを効かせることはできないが、グループ内で安全にファイル交換を行うことが可能だ。組織を横断したグループ作成のほかに、友人同士のコミュニティとして活用したり、サークル活動や自治会などの地域活動に利用することもできる。
Facebookなど、オープンなコミュニティツールを利用することには抵抗があるという企業は多いだろう。それでいて、社内利用に特化したグループウェアだと社外の人とのコミュニケーションには、自由度がなく利用しづらいという面がある。企業内で使う場合にはしっかりと制限をかけられ、それでいてプライベートのコミュニケーションにも使えるのが「SkyDesk」の利点だろう。
「個人グループ」は簡単に作成/削除ができ、「組織グループ」内のサブグループとしても活用できる。「個人グループ」を部署を横断する社内プロジェクト単位で作成するといった使い方も可能だ。しかも、個人グループでは何名でもグループに追加できる。
OCRで名刺共有とデジタル化を促進
SMB向けツールである「SkyDesk」の特徴となっているのは、名刺管理機能「Cards」と顧客管理「CRM」の存在だ。この2つの機能は、「セールス」というタブに格納されている。
「Cards」では、名刺を画像で登録すると、OCRで内容を読み取り、テキストを抽出して連絡先リストを作ってくれる。iPhone向けにはカメラ撮影した名刺を登録するための専用アプリも公開中だ。『名刺をデジタル化したいが、手打ちするのは面倒』という人は多いだろう。「Cards」を利用すれば、名刺をiPhoneで撮影して画像をサーバにアップすれば、自動的にOCRでテキスト変換して登録してくれる。新たにスキャナを購入して、付属のOCRソフトを利用する必要もなく、無料で利用できるのだ。無料版では1アカウントで50枚の名刺登録が可能だ(※)。
大量の名刺を登録する場合、10枚までならば一括登録も可能だ。JPEG画像を入れZIP圧縮したファイルを指定すると、一括で登録できる。ただしこの場合、全ての画像が表面画像として登録されてしまうので、裏面画像を登録したい場合には1枚ずつ登録する必要がある。
OCRについては、一般的な紙に印刷された通常の名刺なら、かなりの精度で読み取ってくれる。文字色が多少グレーでも全く問題ない。会社名が記載されていない名刺などは、自動判別して会社名欄が空白になっていた。
もちろん、OCRは完全ではなく、メールアドレスやURLに含まれる「.」の欠損がときどきあるなど多少の修正は必要だが、手で打ち込むことに比べれば、はるかに簡単だ。
名刺は、「組織グループ」のユーザー同士ならば共有することもできる。共有された名刺の情報編集もできるし、一覧をファイルに出力したり、印刷用PDFに変換することも可能だ。また、共有された名刺を自分の個人領域にコピーしておくこともでき、持ち主を変更することもできる。名刺を共有しておけば、社員の退職で、取引先の連絡先がわからないといったトラブルもなく、データを会社の資産として管理できるのだ。
チームでタスクを共有できる「CRM」
CRM(顧客管理)を利用する場合は、グループ作成とは別にCRM機能を有効化する必要がある。「組織グループ」と関係なく、新たにグループを作ることもできる(無料版(※)で利用できるのは3アカウントまで)。グループ内で取引先や連絡先の情報を共有できるのはもちろん、チーム内で商談の予定やタスクを共有したり、レポートのやりとりを簡単に行うことができる。
全員のデータを一元的に見ることができるのはもちろん、データ検索の際には「私のデータのみ表示」というチェックボックスを利用することで、手軽に自分のデータだけに絞り込んだ検索ができるのも使いやすい。
チームのコミュニケーションを促すだけなら、他のSNSツールで対応できるだろう。しかし名刺共有やCRMといったビジネスツールと簡単なファイル交換、チャットやTwitterのような一言での簡易コミュニケーションを1つのサービスで使えるというのはおもしろい。
SMBの場合、大規模なシステムを導入しづらいという問題のほかに、さまざまな外部企業や個人事業主とフレキシブルなグループを形成して仕事をしなければならないというケースがある。「SkyDesk」はそうした需要にも応えてくれそうだ。ユーザー登録して、無料版(※)を試してみてはどうだろうか?
以下のSkyDesk関連記事も参照してみよう。
■TechWaveの記事
■lifehackerの記事
■誠Biz.IDの記事
※注: 今後の有償版のリリース展開は未定となっております。