【連載】

jさんのおもしろ英語塾

30 へぇー、英語ではそんな風に言うんだ!?

    関口敏行  [2011/09/20]

    英語には日本語からは想像しがたい、日本語を基準に訳そうとしてもとうていたどり着けないようなユニークでおもしろい表現がたくさんあります(英語に限らずどの言語でもそうでしょうが)。今回はそんなものの中から、車にまつわる表現の面白どころをいくつか紹介しましょう。

    ■shotgun

    "shotgun"は当然ながら銃の「ショットガン」のこと。ただしこれのもう一つの意味は「助手席」。

    時は1800年代、アメリカのワイルドウエスト。移動手段と言えば、乗合馬車(stagecoach)や荷馬車(wagon)、幌馬車(covered wagon)などが主流で、この当時はウエスタン映画でもおなじみの荒くれ者やインディアンたちに襲われることが多く、そのための護衛として馬車の操縦者の横には必ずといっていいぐらいショットガンを持ったガードマンが座っていたとか……このガードマンが後に"shotgun"と呼ばれるようになり、それが転じて現在では車の助手席のことを"shotgun"というようになったんだそうです。

    今度車に乗り込むとき、助手席に座りたいときは是非"I ride shotgun."と言ってみてください。これで日本語で言うところの「わたし助手席」「わたし助手席がいい」となります。また、"I get to ride shotgun."と言えば、「わたしが助手席に座る!」といったことが言えます。

    他にも、

    You can ride shotgun.
    (あなた助手席に座ることができる=座っていいよ)

    I let you ride shotgun.
    (あなたを助手席に座らせてあげる、助手席を譲る)

    It's my turn to ride shotgun.
    (今度はわたしが助手席に座る番)

    といった言い方もよく耳にします。

    ■gramps champ

    "gramps"は元々は"grandfather"の愛称で"grandpapa"が短くなったもの。日本語で言うところの「爺っちゃん」とか「爺っちゃま」といったニュアンスです。そして"champ"には"champion"の短縮形としての「チャンピオン」と、「馬がくつわを苛立って噛む」という行動を表す2つの意味があるんです。(後者の場合は"chomp"ともスペルするんですけど)。 で、この2つを一緒にした"gramps champ"は、言うなら「歯ぎしりするぐらいイライラさせられる爺っちゃま」といったような意味。でも実はこれ「自分の前に居座るのろのろ運転者」のこと。その上、右に曲がろうとすると同じく右に、左に行こうとすると左へと、とにかく延々と同じ方向をたらたら、のろのろ制限速度以下で運転する人のことなんです。

    こんな人は高齢者ばかりとは言い切れないですけど、まーとかく高齢者の方が多いのではということで、こんな呼び方が生まれたんだとか。もちろん男女問わずに使えます。

    たとえば、

    I could've gotten here earlier, but I got stuck behind a gramps champ. It was so irritating.
    (もっと早く来れたんだけど、のろのろ運転手が前にいてさ、そりゃーもうイライラもんだったよ)

    Come on, get out my way, gramps champ!
    (おいおい、のろのろ運転手さんよ、頼むから自分の前から消え失せてくれよ)

    Hey lady, stop being a gramps champ.
    (そこの女の人、のろのろ運転者になるのは止めてくれませんか?)

    のように。

    ■backseat driver

    "backseat"は「後部席」のこと。となると"backseat driver"は「後部席の運転手」とでも訳すべきなんでしょうが、この本当の意味は「外野から口うるさく、頼んでもいないのにあーだこーだ言ってくる人」のことなんです。

    車中では「後部座席から何かと道順を指示したり、運転速度にも口出ししたり、あげくにはアクセルの踏み方やブレーキのタイミングまで口出しをする厄介者」のこと。そして車外(普段のとき)では「頼んでもいないのにあーしろこーしろと何かにつけて口出しをしてくる人、口うるさく忠告好きな人」のことを言うんです。

    だから皆さんの周りにもしそんな人がいたときは、びしっと、

    Stop being a backseat driver.
    (バックシートドライバーでいるのは止めて)

    Don't be a backseat driver.
    (バックシートドライバーにはなるな)

    You being a backseat driver, again.
    (またバックシートドライバーになってるよ)

    Nobody wants a backseat driver, you know.
    (わかってるだろうけど、誰もバックシートドライバーなんて欲しくない=バックシートドライバーは嫌われるよ)

    のどれかで釘打ちをしてしまいましょう。

    ■buckle up

    直訳は「バックル(ベルトの留め金)をアップしろ(締めろ)」。でもこれで「シートベルをして」という意味。普通に言うなら"Fasten your seatbelt."ですが、"Buckle up."の方がちょっとばかり短く、インパクトもあり、また、少しだけかっこいい感じになります。 今回はここまで。こういった面白表現、また折を見て紹介していこうと思います。


    jさんのおもしろ英語塾は本連載をもって終了とさせていただきます。これまでご愛読いただきありがとうございました。

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