【連載】
これまで、SharePoint Server 2010が持つ機能の全体像と利用するための準備を説明してきました。今回は、SharePoint Server 2010上にファイルを格納し、共有する基本的な使い方を説明します。
SharePointサイトを作成するのは簡単です。SharePointにはあらかじめ何種類かのSharePointサイトのひな形である「サイト テンプレート」が用意されており、ユーザーは、Webブラウザの操作画面からテンプレートを選択するだけです。ほんの一部ですが、SharePointで使用できる主なテンプレートを3つご紹介しましょう。
| テンプレート名 | 説明 |
|---|---|
| ブログ | ブログ用のテンプレートです。部門単位やプロジェクト単位、個人など組織内での手軽な情報発信に利用できます。 |
| エンタープライズ検索センター | 検索専用のページを持つテンプレートです。 |
| チームサイト | 最も一般的なテンプレートです。このテンプレートからサイトを作成すると、ドキュメントライブラリやお知らせ、予定表などの一般的によく利用されるであろうライブラリやリストが既定で作成されます。 |
この記事で使用するSharePointサイトは、「チームサイト」テンプレートから作成したものを使用します。「チームサイト」テンプレートは、SharePointの基本機能を把握する上で最も標準的なテンプレートです。
このテンプレートでは、ユーザーがアクセスする際に、最初に表示されるトップページと、最低限の情報共有をすぐに行えるよう、サイト作成時に次のリストやライブラリが自動的に作成されます。
チームサイト内の既定のリスト
| リスト名 | 説明 |
|---|---|
| お知らせ | 周知事項などを共有するための掲示板として利用するページです。 |
| タスク | メンバーごとのToDoを登録し、進捗などを管理するためのページです。ワークフロー実行時に、承認依頼のタスクなどが登録される場所でもあります。 |
| リンク | SharePointサイト内外に対するWebページへのリンク集です。 |
| 予定表 | 部門やプロジェクトで共有すべき会議やイベントなどの予定を、カレンダ形式で共有できるページです。 |
| チームディスカッション | スレッド形式でディスカッションができるページです。 |
チームサイト内の既定のライブラリ
| ライブラリ名 | 説明 |
|---|---|
| 共有ドキュメント | ファイル共有および管理を行うためのページです。 |
| サイトのページ | Wikiベースのページを保存するためのページです。 |
| サイトのリソース | Wikiベースのページに配置される画像ファイルやファイルなどを格納するためのページです。 |
チームサイトにユーザーがアクセスすると、最初にトップページが表示されます。リストやライブラリにアクセスするには、トップページに配置されたリンクからたどっていくことになります。リストやライブラリは、トップページの配下にあります。トップページ上には、Webパーツが配置できるようになっているため、任意のリストやライブラリのWebパーツを配置し、リストやライブラリ内の重要な情報をすぐに確認できるように構成できます。
ユーザーが頻繁に利用するリストやライブラリへのリンクは、サイドリンクバーと呼ばれるナビゲーションエリアにリンクを登録しておくことが可能です。
ファイル管理はライブラリで行います。ライブラリもサイトと同様にテンプレートが用意されており、目的に応じて複数のライブラリを作成できます(ライブラリ名は自由に指定できます)。利用可能なテンプレートには、主に次のものがあります。
| テンプレート名 | 説明 |
|---|---|
| ドキュメントライブラリ | ファイル管理を行う上で最も標準的なテンプレートです。様々なファイル共有および管理に利用します。 |
| スライド ライブラリ | PowerPointで作成したスライドを一枚一枚共有し、サムネイル表示できます。このライブラリから必要なスライドのみを選択して、PowerPointに取り込むことなどが可能です。 |
| 画像ライブラリ | 画像ファイルを格納し、サムネイル表示で閲覧できます。 |
| メディア ライブラリ | デジタルコンテンツを管理します。音声データファイルや動画ファイルなどを共有できるようになっており、共有後はSilverlightがインストールされていればWebブラウザ上から直接、実行することも可能です。 |
チームサイトに既定で用意される「共有ドキュメント」という名前のライブラリは、「ドキュメントライブラリ」テンプレートがベースとなっています。
では早速、既存ファイルをアップロードしてみましょう。今回は、「ドキュメントライブラリ」を使用します。
ファイルの格納方法は、大きく分けると「Webブラウザ上から既存ファイルをアップロードする」方法と、「Officeアプリケーションでファイルを保存する際に、SharePointに直接保存する」方法とがあります。
Webブラウザから既存ファイルをアップロードする際には、1つずつファイルをアップロードしたり、複数のファイルを一括アップロードしたりすることも可能です。
複数ファイルのアップロードは、クライアントにOfficeアプリケーションがインストールされている場合に可能になります。なお、クライアントにOffice 2010がインストールされている場合は、複数のファイルをアップロードする際に、ドラッグ&ドロップでファイルをアップロードすることができます。
また、ドキュメントライブラリには、「Windowsエクスプローラー」で表示する機能が搭載されており、ファイルサーバ上の共有フォルダにファイルやフォルダを格納する場合と同じような操作感でアップロードすることもできます。ただし、この表示方法では、SharePointの強みであるファイルのプロパティ表示などができないため、アップロード時のみに限定して利用する場合がほとんどです(プロパティの利点については後述します)。
ドキュメントライブラリには、既存ファイルを単純にアップロードして共有する以外に、届出などの既定の書式が決まっているドキュメントのテンプレートを共有することができます。この方法では、ドキュメントライブラリのメニューに表示される「新しいドキュメント」にテンプレートが表示されるようになります。
ユーザーがテンプレートをクリックすると、直接Officeアプリケーションが起動するので、そのまま編集できます。ファイルを保存する際には、起動したライブラリが既定のファイル保存場所として表示されるため、ユーザーは任意の名前を付けてファイル保存をするだけです。
既定では、1つのテンプレートのみを共有できますが、複数のテンプレートを割り当てることも可能です。このように設定することで、ユーザーが入力した後のファイルと入力用テンプレートが同じ格納場所に混在し、入力フォームのテンプレートが見つかりにくくなることを防げますし、ユーザーが間違ってテンプレートファイルを削除してしまったり上書きすることを防げます。また、各テンプレートから作成したファイルを同じライブラリに保存する場合、テンプレートの種類ごとにフィルタを行って目的のファイルを見つけることなども可能です。
SharePointではファイルの格納方法は複数あります。しかし、これでは「ユーザーが迷うのでは?」と懸念される方もいらっしゃるかもしれません。必ずこのケースではこの方法を取るべきという絶対的な指針はないのですが、ユーザーの使いやすさに応じて、どのアプローチをとるかは運用方法を決定します。無論、すべての方法を使う必要はありませんので、テンプレートを割り当てた新規作成はさせず、単純にファイルのアップロードだけに留めるという決断でも構いません。
ユーザーが利用しやすい使い方をユーザー自身に選択させるのであれば、ある程度利用方法の教育と方針の共有はすべきでしょう。たとえば、次のような使い方のルール決めをするなどです。
| ニーズ | ファイルの格納方法 |
|---|---|
| 既存ファイルを1つまたは複数アップロードして共有したい。 | 「ファイルの追加」メニューからアップロードする |
| 既存のフォルダに含まれるファイルをフォルダごとアップロードしたい | エクスプローラー表示からアップロードする。ただし、フォルダの階層が深くなりすぎるとURLが長くなりすぎる可能性があり、使い勝手が悪くなるため、2、3階層までとどめておくようにしましょう。 |
| SharePoint上に共有している書類のテンプレートから新規にファイルを作成して保存したい | ドキュメントライブラリの「新しいドキュメント」メニューからテンプレートを開き、ファイルに入力後、ライブラリに名前を付けて保存する。名前付けのルールを事前に決めておくとよいでしょう。 |
山崎 愛(YAMASAKI Ai) - オフィスアイ 代表取締役
1999年よりマイクロソフト認定トレーナとして、マイクロソフト製品の技術教育に従事し、システム管理、.NETアプリケーション開発などに関する研修コンテンツの企画、開発、実施を行う。2008年4月にオフィスアイを設立。現在は"SharePoint Server"に特化したコンサルティング、技術研修、ソリューション開発およびサイト構築支援などを行っている。 2004年に米MicrosoftよりSharePointの分野にて日本初のMicrosoft MVP(Most Valuable Professional)として表彰され、以後現在まで連続受賞。主な書籍に、「ひと目でわかるSharePoint Server 2007(日経BPソフトプレス)」、「VSTOとSharePoint Serverによる開発技術(翔泳社)」がある(いずれも共著)。
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