人間装着型ロボットは、日本における高齢化の問題への対応を目的とし、足腰の弱まった高齢者でも元気に移動できるようにということが目的なのはご存じの通り。すでに紹介しているが、画像29では左がHALで、中央がリズム歩行アシストである。比留川部門長によれば、日本は装着型が多いという。HALやリズム歩行アシストのほかにも、東京理科大学の小林宏教授の研究室で開発され、菊池製作所とアサヒサンクリーンの協力で製品化が進んでいる「介護用マッスルスーツ」(画像35)や、パナソニック系列のアクティブリンクの「パワーローダー」(画像36)、神奈川工科大学(KAIT)の山本圭治郞 特命教授がロボット・メカトロニクス学科の教授時代に開発した空圧式の「ウェアラブルパワーアシストスーツ」(画像37)などもある。

画像35(左):東京理科大学小林研究室・菊池製作所・アサヒサンクリーンの介護用マッスルスーツ。画像36(中):アクティブリンクのパワーローダー(公式サイトより抜粋)。画像37(右):KAITの山本特命教授のウェアラブルパワーアシストスーツ

さらに、動力は搭載していないが装着者の力を増加する機構を持つスケルトニクス製外骨格スーツ「スケルトニクス」(画像38)や、以前インタビューを基にした記事掲載したが、名古屋工業大学(名工大) 機能工学専攻の佐野明人 教授と今仙技術研究所が受動歩行の原理を応用して共同開発している足の片麻痺患者用の無動力歩行支援機器「ACSIVE(アクシブ)」(画像39)も装着型の1種といえるだろう。

画像38(左):スケルトニクスの外骨格スーツ。画像39(右):名工大佐野研究室・今仙技術研究所が共同開発したACSIVE

もちろん、米国でも装着型の研究は軍事という目的があることからDARPAの支援なども受けて進められており、米カリフォルニア大学バークレー校のロボット・人間工学研究所の「BLEEX(Berkeley Lower Extremity EXoskeleton:バークレー下肢用外骨格)」(画像40)や、米レイセオン社製の「XOS2」(画像41)などがある。このほか、国内外にはまだまだ装着型ロボットがあり、機会があれば、また別の記事で紹介してみたいと思う。

画像40(左):カリフォルニア大のBLEEX。重量物を運搬するためのシステムだ。外装を備えているところが軍用らしい。画像41(右):レイセオンのXOS2。とにかく反応速度が速いのが特徴で、装着した状態でサッカーボールのリフティングなども行える

それから搭乗型ロボットに含まれるのだが、目的としては高齢化社会への対応に含まれるのが、ロボティックベッドである(画像にあるのはプロトタイプ)。ロボティックベッドがなぜ搭乗型に含まれるかというと、ベッドの一部が分離して、それがそのまま電動車いすに変形するからだ。

そしてより搭乗型ロボットとしてわかりやすいのが、電動車いすや、Winglet、セグウェイといったパーソナルモビリティである。これらの目的は低炭素社会の実現だ。パーソナルモビリティを普及させるためには、先進国でも数の少ないパーソナルモビリティが一般道を走れない後進国である日本なので、まずは道交法の改善などが必要だろう。

なお、筆者の個人的な見解を述べさせてもらうと、パーソナルモビリティが一般道で乗れるようになったとしても、低炭素社会の実現に結びつくかどうかは、ちょっと疑問である。どのような人がどのような目的で使うのかが、どうもはっきりせず、ムダに電力を消費するだけではないかという気がしてならない。こちらも、今回の内容とはまた別問題なので、チャンスがあったら、改めて別の話題としてレポートさせていただければと思う。