「Windows Server 2003 R2」のネットワーク関連の設定が終わったので、次にサーバをWebサーバとして立ち上げるための作業に入る。Webサーバに関しては自前で構築するよりはレンタルサーバを利用するほうが基本的にラクともいえるが、とりあえず自力で設定する方法を確認してみてほしい。
本連載で使用するサーバについて
本連載では「NEC得選街」で購入できるタワー型サーバ「Express5800/110Gd」(写真)を例に、サーバのセッティング方法を解説していく。サーバの基本構成は次のとおり。CPU:Celeron D(2.93GHz) / メモリ:1GB / HDD:80GB / OS:Windows Server 2003 R2 Standard Edition。より詳細な構成情報については連載第2回を参照してほしい。
Webサーバが動くようにしてみる
Windows Server 2003では、インターネットの定番であるWebサーバは「IIS」を使って構築する。IISとは「Internet Information Services」(インターネット・インフォメーション・サービス)の略称で、WebサーバやFTPサーバなどを統合したものである。Webページを表示させる際に使うHTMLとは、Web上のドキュメントを記述させるマークアップ言語のことで、「HyperText Markup Language」(ハイパーテキスト・マークアップ・ランゲージ)の略称だ。
今回は、IISでWebサーバが動くようにし、簡単なHTMLを書いてそのファイルを表示できるところまで解説していく。
アプリケーションサーバ(IIS、ASP.NET)のインストール
<スタート>メニューから<管理ツール>→<サーバの役割管理>を開く。表示されるウィンドウで「役割を追加または削除する」をクリックすると、「サーバーの構成ウィザード」が起動し、「サーバの役割」の追加・削除の画面が表示される。今回はまず、「アプリケーションサーバ(IIS、ASP.NET)」を選択する(図1)。
<次へ>ボタンをクリックすると、「アプリケーションサーバーのオプション」の画面が表示される(図2)。各項目にチェックを付けると、それぞれの機能が有効になる。各機能の概要は、表1を参照してほしい。
「FrontPage サーバ拡張」を使用すると、複数のユーザがクライアントマシンからリモートでWebサイトの管理や公開ができるようになる。なお、「ASP.NETの有効化」は、通常のHTMLファイルや画像のみだけで構築する場合は、チェックを入れる必要はない。ただ、このオプションが必要になるようなページを公開する予定なら、付けておいてもよいだろう。オプションの選択後、<次へ>ボタンをクリックして操作を進めると、インストールが完了する(図3)。
表1 アプリケーションサーバーのオプション
FrontPage サーバ拡張 | 複数のユーザが同時にWebサイトを作成する場合、またはリモートでWebアプリケーションを構築できるようにする場合にこのオプションを選択する |
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ASP.NET の有効化 | ASP.NETとは、Webサービス向けのクラスライブラリで、サーバ上でダイナミックなWebページを動作させるための基盤となるソフトウェアである。ASP.NET を使用して開発されたアプリケーションが Web サイトに含まれている場合は、このオプションを選択する |
アプリケーションサーバ(IIS、ASP.NET)の設定
ここからサーバの設定手順を解説する。「サーバの役割管理」から「このアプリケーションサーバを管理する」をクリックして、「アプリケーションサーバー」ウィンドウを表示する。今回は、Webサーバの構造を確認する意味合いからも、新規にTEST用のWebサイトを作ってみる。そこで、いったんは動いているWebサイトを停止させる(図4)。
続いて、「Webサイト」選択後、右クリック→<新規作成>→<Webサイト>を選択する(図7)。
すると、「Webサイトの作成ウィザード」が表示されるので、指示に従って作成する。今回、「Webサイトの説明」は「example web」とした。次の「IPアドレスとポートの設定」では、通常デフォルトのままで支障はない。ただし、Webサーバにおける標準ポートは「80」であるが(図6)、ポート番号を環境に応じて変更する場合は、ここで指定する必要がある。
次に、「Webサイトホームディレクトリ」の指定を行なう。<参照>ボタンから目的のディレクトリを選択する。今回は新規に「C:\IntPub\example」ディレクトリを作成し、そこをホームディレクトリとして指定した。
なお、Cドライブの「IntPub」ディレクトリにある「WWWRoot」ディレクトリ内が、IISの標準インストールで使われるディレクトリである。
次に、「Webサイトのアクセス許可」を指定する。ここではWebサイトに搭載する機能によって許可を選択すればよい(図7)。今回は、通常のHTMLのみを掲載し、公開するところまでを行なうので、「読み取り」のみにチェックを付けている。以上で、Webサイトの作成ウィザードは終了である(図8)。
HTMLファイルの表示テスト
HTMLで記述したファイルは、先に指定した「C:\IntPub\example」の中にアップロードすれば、Internet ExplorerなどのWebブラウザで表示できる。HTMLの記述方法は、関連書籍などを参考にしてもらうこととし、ここでは割愛する。今回はテスト用に、以下のHTMLを書いてみた(図9)。
<html>
<body>
<h1>TEST OK</h1>
Windows2003サーバで動いてます。
</body>
</html>
このように「メモ帳」などで書いたテキストを、拡張子htmlで「C:\IntPub\example」の中に保存すれば、HTMLファイルとして閲覧できる。今回ファイル名は「index.html」とした。
それでは、実際にページを表示させてみよう。IIS稼働しているWindows Server 2003上で表示させる場合は、Webブラウザで「http://localhost/」と入力すると、先ほど設定したディレクトリの中身が表示される(社内のネットワーク内で表示させる場合は「http://192.168.11.200/」と入力する)。
ネットサーフィンをしている人なら気付くと思うが、index.htmlは、通常は省略していても表示される。そこで、index.htmlは省略してアドレスだけ入力してみよう。だが、先ほど保存したHTMLファイルの内容が表示されないだろう(図10)。しかし、「http://localhost/index.html」とファイル名まで入力するとページは表示される(図11)。
これは、IISでは「index.html」ではなく、「index.htm」が既定とされているからだ。そこで、アプリケーションサーバの設定を変更して、index.htmlを入力しなくても表示されるように設定を変更する。
index.htmlが入力しなくても表示されるよう変更する
再び「サーバの役割管理」から「このアプリケーションサーバを管理する」を開く。次に、「example web」で右クリックし、プロパティを開く(図12)。
example webのプロパティで「ドキュメント」タブを開く。その中にある「既定のコンテンツページを有効にする」部分を見てもらいたい。この一覧にあるファイル名は、入力しなくてもファイル名を補完して表示される。なお、一覧の上から順にファイルを探すので、「Default.htm」と「index.htm」が同じディレクトリにあった場合、「Default.htm」が表示されることになる。そのため、ここに「index.html」を追加し、一番上に移動させよう(図13)。この設定を反映すると、「index.html」を入力しなくてもページが表示されるようになる(図14)。
今回はWebサーバとして利用するための設定方法を紹介した。次回は、サーバのセキュリティ対策に関して解説していく。