前回はIPアドレスとActive Directoryの設定を行った。今回は、DNSサーバ、DHCPサーバの設定を紹介しよう。Webサーバとして必須の機能なので、しっかり覚えておこう。

本連載で使用するサーバについて

本連載では「NEC得選街」で購入できるタワー型サーバ「Express5800/110Gd」(写真)を例に、サーバのセッティング方法を解説していく。サーバの基本構成は次のとおり。CPU:Celeron D(2.93GHz) / メモリ:1GB / HDD:80GB / OS:Windows Server 2003 R2 Standard Edition。より詳細な構成情報については連載第2回を参照してほしい。

DNSサーバ

DNSサーバは、インターネット上でのコンピュータの名前にあたるドメイン名(例:journal.mycom.co.jp)を、インターネット上の住所にあたる4つの数字で区切られたIPアドレス(例:journal.mycom.co.jp の場合、2XX.1X6.2XX.6X)に変換する役割を持つ。このサービスを利用することで、ユーザはWebブラウザ等でWebページを閲覧する際、覚えづらいIPアドレスを知らなくても、直感的に理解できるドメイン名を入力するだけでページを閲覧できるようになる。

「journal.mycom.co.jp」を例として、どのように検索していくかを簡単に説明しておく。

まず、Webブラウザのアドレス欄に「http://journal.mycom.co.jp」と入力する。すると、ドメイン部分のドット「.」で区切られた情報を後ろの名前から検索していくことになる。まず、「jp」ドメイン全体を管理するサーバに問い合わせを行う。次に、「co」ドメインのネームアドレスを答えるので、「co」ドメインのネームサーバは「mycom」ドメインのネームサーバを答える。すると、「mycom」ドメインのネームサーバは、「journal」と名前のついたコンピュータのIPアドレス(今回は2XX.1X6.2XX.6X)を返すという流れだ。Webブラウザ等は、そのIPアドレスを元に、該当ページへアクセスするのである。

そのため「http://journal.mycom.co.jp」でアクセスしても、「http://2XX.1X6.2XX.6X」でアクセスしても同じページが閲覧できる。

ちなみに、「http://」の部分は、そのサーバにどのような方式でアクセスするかを現している。

以下ではポイントとなる設定部分のみを抜粋して紹介しています。

DNSサーバの設定手順

ここからサーバの設定手順を解説する。

「管理ツール」の「サーバの役割管理」から「このDNSサーバを管理する」を選択する。DNS画面が表示されるので、サーバ名をクリックし、「前方参照ゾーン」にあるサーバ名(sv.exsample.co.jp)の「状態」が「実行中」になっていることを確認する(図1)。

図1 DNS設定画面

次に、逆引き参照ゾーンの設定を行う。逆引きとは、名前のとおり通常はマシン名から情報を検索するのに対して、IPアドレスからマシン名を検索するサービスのことだ。

「逆引き参照ゾーン」を右クリック→<新しいゾーン>を選択する。すると「新しいゾーンウィザード」が表示されるので、<次へ>ボタン→「プライマリゾーン」を選択して<次へ>ボタンをクリックし、「ActiveDirectoryドメイン sv.exsample.co.jp(ドメイン名になります)のドメインコントローラすべて」を選択。「ネットワークID」欄に「192.168.11」と入力する(サーバのIPアドレスのうち、ドットで区切られた前3つが該当する、図2)。

図2 逆引き参照ゾーン名

次に、「セキュリティで保護された動的更新のみを許可する(Active Directory用に推奨)」を選択してウィザードを完了させる。すると、「逆引き参照ゾーン」の下層に「192.168.11.x subnet」が作成されていることを確認する(図3)。

図3 逆引き参照ゾーンの確認

これで、DNSサーバの設定は完了となる。

DHCPサーバの設定手順

DHCPサーバは、インターネットに一時的に接続するコンピュータ(今回は、同じネットワーク内にあるクライアントマシン Windows XP Professional)に対して、IPアドレスなど接続に必要な情報をそのコンピュータへ自動的に割り当てる機能を持つ。

このサービスにより、ネットワークの設定に詳しくないユーザであっても、簡単にインターネットへ接続ができるようになる。そして、ネットワーク管理者としても、クライアントマシンの一元管理が可能となる。

DHCPサーバの設定

ここからサーバの設定手順を解説する。

「管理ツール」の「サーバの役割管理」から「役割を追加または削除する」を選び、「DHCPサーバ」を選択して進めると、「新しいスコープウィザード」が起動する。<次へ>ボタンをクリックして進めると、「スコープ名」を入力する画面になるので、「DHCPサーバスコープ」など、わかりやすい名前を入力する(図4)。

図4 スコープ名の入力

続いて、「IPアドレスの範囲」の設定を行う(図5)。ここでは、クライアントマシンに振り分けるIPアドレスの範囲を指定する。使用するマシン台数によって変わるが、例では192.168.11.101~192.168.11.150までの計50台分を割り振る設定にしている。割り振り可能台数には、ある程度余裕を持って設定しておくとよい。

図5 IPアドレスの範囲を設定

なお、クライアントマシン以外のネットワーク機器、例えばブロードバンドルータなどは、IPアドレスが変わると運用しづらくなるため、あらかじめIPアドレスを固定しておく。また、それらの機器のIPアドレスは、今回DHCPサーバで割り当てるIPアドレスの範囲には含めないように注意すること。どうしても範囲内に入ってしまうような場合は、「除外の追加」の欄で設定しておく(通常は何も入力しなくてよい、図6)。

図6 IPアドレスの除外設定

次に「リース期間」の設定を行う。これは、クライアントマシンにIPアドレスを振り分けた際、リース期間(貸出期間)を指定するものだ。通常、IPアドレスが足りなくなるようなことが起こらない限り、変更は必要ない。

「DHCPオプションの構成」では「今すぐオプションを構成する」を選択し、「Router(Default Gateway)」の「IPアドレス」欄にブロードバンドルータのIPアドレスを入力し、<追加>ボタンを押す(今回の構成では 192.168.11.1、図7)。

図7 ルータのIPアドレスを設定

「ドメイン名およびDNSサーバ」の項目においては、「親ドメイン」欄にドメイン名(sv.example.co.jp)を入力(図8)。「サーバ名」には、サーバに設定した名前(今回の構成では、server1)を入力し、<解決>ボタンをクリックする。「IPアドレス」欄にIPアドレスが表示されるので、<追加>ボタンを押す。

図8 ドメイン名などを設定

次の「WINSサーバ」は今回設定しないので、そのまま<次へ>ボタンを押す。「スコープのアクティブ化」では「今すぐアクティブにする」を選択し、「新しいスコープのウィザード」を終了させる。「このサーバはDHCPサーバになりました」とメッセージが表示されると完了だ。

DHCPサーバの動作確認

念のため、DHCPサーバとして動作しているか確認しておこう。確認するには、「管理ツール」の「サーバの役割管理」より「DHCPサーバ」内の「このDHCPサーバを管理する」をクリック。DHCPマネージャーが表示されるので<操作>メニュー→<承認>を選択する(図9)。

DHCPサーバの動作確認

サーバの名前を選び、DHCPサーバの「状態」が「**アクティブ**」になっていれば、問題なく動作している(図10)。

図10 DHSPサーバの状態が「アクティブ」の例

DHCPサーバの情報を整理する

実際に運用しているとき、DHCPサーバにて割り振られているIPアドレスは、DHCPマネージャーの「アドレスのリソース」で確認できる。リストの上で、右クリックすると、割り当ての削除が行える(図11)。なお、「一意なID」はLANアダプタのMACアドレス(物理アドレス)である。

図11 割り当て情報の削除

MACアドレスを確認する方法は、ネットワークのプロパティから、「サポート」→「詳細」と開くと確認できる。

また、必要に応じて割り当てるIPアドレスを予約しておくことも可能だ。DHCPマネージャーの「予約」を右クリック→<新しい予約>を選択すると、予約名や割り当てるIPアドレス、MACアドレスを登録できる(図12)。

図12 IPアドレスの予約

ネットワーク対応プリンタなどネットワーク上に配置される共有資源で、IPアドレスを一意にしておく必要がある場合などに有効である。

次回は、ファイルやプリンタ共有のために、クライアントマシンからドメインへのログインについて解説していく。