サーバはどこに置いたらよいのか?

今回は、購入したサーバの設置環境と稼働に最低限必要なソフトについて考えてみよう。

本連載では個人経営者など小規模事業者を対象に自社サーバの導入方法を紹介している。前回は、『NEC得選街』でタワー型サーバ『Express5800/110Gd』を購入した。タワー型サーバは、「サーバの導入規模が小さい」「試験的意味合いを持つサーバを導入したい」「サーバを設置するスペースがない」といった条件下で選択することが多いだろう。では、同サーバを設置するにはどんな点に注意すればよいだろうか。

本連載で使用するサーバについて

本連載では「NEC得選街」で購入できるタワー型サーバ「Express5800/110Gd」(写真)を例に、サーバのセッティング方法を解説していく。サーバの基本構成は次のとおり。CPU:Celeron D(2.93GHz) / メモリ: 1GB / HDD:80GB / OS:Windows Server 2003 R2 Standard Edition。より詳細な構成情報については連載第2回を参照してほしい。

まずはオフィスにおけるサーバの設置場所だ。サーバ専用ルームがない場合、"オフィスの空いたスペース"が基本的な設置場所になると思われる。そこでまずは、日常的なサーバ管理など使い勝手のよさを考慮して設置場所を決めたい。候補になるのは、「サーバ管理者の席の近く」か「サーバを利用する部門の事務所」。理由は後述するが、不特定多数の人間が出入りする会議室のような場所に設置することは避けたい。

気になるのは、サーバから発生する騒音(主にファン音)だが、最近のサーバは静音化が進んでいるのでさほど気にはならないだろう。もちろん若干の騒音は発生するが、業務に支障が出るようなレベルではない(とくに静音性を重視するのであれば、静音対策が強化されたサーバ製品を選択するという手もあるが)。

物理的なセキュリティ対策も必要

サーバの設置では、物理的なセキュリティにも注意したい。ここで言うセキュリティとはつまり、管理者以外の者がサーバに触れないようにすることだ。社内の不特定多数の人間が誰でも不注意や好奇心などから簡単にサーバに接触できるような場所に設置してしまうと、その拍子にサーバの電源が落ちるなどの危険も考えられるからだ。

冗談のような話だが、会議室の片隅にサーバを置いたばかりに、社員が"古くて不要なPC"と勘違いして処分してしまったということもある。当然、サーバを撤去した途端にインターネットも電子メールも不通となる。サーバ専用ルームがあれば安全だが、小規模事務所ではそうしたスペースがないのが一般的だろう。先に、効率を考えるならサーバ運用者の近くに設置するとよいと述べた。少なくとも会議室など不特定多数の人間が出入りする場所よりはマシな設置場所といえる。ついでにケンジントンロック(サーバをデスクなどに固定するワイヤー錠)などでサーバを持ち出しできないようにしておきたい。

ちなみに不意の電源遮断については、十分な電源の確保や、停電時でも一定時間電源を供給する無停電電源装置(UPS)の導入で対処することが可能だ。UPSについては、「NEC得選街」のPCサーバ用周辺機器コーナーから別途購入できるようになっている(今後、本連載で取り上げていく)。

場合によっては……

本連載で使用するNEC製タワー型サーバ「Express5800/110Gd」の消費電力(最大約200W)であれば気にする必要はないが、より規模の大きいサーバを導入する場合は次の点を確認しておきたい。

  • 電盤の構成を調べる(ビルの管理者や設計者に確認する)
  • サーバの設置場所に何アンペアの電源が必要なのか調べる(不足する場合はアンペアを増やす工事を行う)

また、サーバの設置環境としては、「室温が適温で清潔ある場所」「火災用スプリンクラーの下には置かない」ことを意識しておきたい。とくに以下の点については注意が必要だ。

  • 温度管理……タワー型サーバは筐体内の発熱はそれほど意識することはないが、室温が高温にならない、空気の対流がある(熱がこもらない)場所に設置しなければならない。不安があれば扇風機を使って対流させる、あるいは無停電電源装置(UPS)を使うなどの安全策をとる。

  • 転倒・落下防止……サーバ・周辺機器は倒れないように固定する。損傷した場合、ハードだけでなくソフト面でも重大な被害を受ける。フックやテープなどで固定したり、家具の耐震固定器具を用いたりするなどして厳重に防止策をとるようにしたい。

サーバの設置場所を確保し、ネットワークを構成

サーバの設置場所を確保したら、ブロードバンドルータやLANケーブルなどを使ってネットワークを構成する。ネットワーク構成は環境によって異なるが、基本的なイメージは下図を参照してほしい。

  • ブロードバンドルータ……専用線と複数パソコンを接続するもの
  • ハブ……ルータとサーバ間、クライアントマシンを結ぶ
  • LANケーブル(複数)……1~7mの色違い
  • テープ類……敷設したLANケーブルを束ねるために使う

サーバ設置時のネットワーク構成イメージ

ネットワーク構成後に行なう設定は?

サーバを設置し、ネットワーク構成の整備も完了したら、実際にWindows Server 2003 R2 Standard Editionの設定や"自社サーバ"の稼働に最低限必要なソフトの導入を行なう。これらについての詳細は次回以降に順次紹介していくが、まずはどんなソフトを導入するのか確認しておこう。

"自社サーバ"稼働に必要なソフト

  • Windows Server 2003 R2 Standard Edition(本連載で購入したサーバにはプリインストール済み)
  • DNSサーバソフト
  • WWWサーバソフト
  • メールサーバソフト
  • セキュリティ管理ソフト

独自ドメインを取得しておく

インターネットドメイン(http://www.●●●.co.jp/の「●●●」にあたる部分)は、「独自ドメイン」で運営する企業がほとんどである。自社通常は取得に2~3日要する(ただし属性型ドメインは1週間以上必要なことも)。ドメイン取得サービスは、「お名前.com」などさまざまなサイトで提供されているので、各サイトの説明を参照のうえ取得しておきたい。

以上、簡単ではあるが、サーバ導入に必要な準備について説明した。状況・環境によってはまだ追加されるべきものがあるかもしれないが、少なくとも「最低限はこれだけは用意しておくべきもの」として覚えておいてほしい。

次回は、Windows Server 2003 R2 Standard Editionの利用に必要なもの、とくにライセンスを中心に解説する。

文|デジカル/松井秀樹