【連載】

本日は銭湯日和

19 東京には花屋兼業の銭湯がある--豊島区「前田湯」は入り口でメルヘン気分

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池袋を中心に東京23区の西北に位置する豊島区。今回は、その池袋駅から徒歩圏内の銭湯を紹介したい。どの程度を徒歩圏内と呼ぶかは議論の余地もあるかと思うが、大まかにいって駅から15分以内の間に6~7軒の銭湯があり、これはその他の副都心・新宿や渋谷と比べても圧倒的に多い(サウナは除く)。最も近いのは徒歩5分、商店街内にある「平和湯」なのだが、ここで取り上げるのは「前田湯」、徒歩15分の住宅地内の銭湯だ。

「前田湯」へは、「池袋」駅から徒歩15分

「ゆ」の暖簾がなければ完全に花屋

前田湯の最大の特徴は、外からすぐ分かる。玄関に並べられた色とりどりの花々。そう、ここは花屋を兼業する、全国でもレアな銭湯なのである。むしろ一見しただけでは花屋にしか見えないほどで、営業時間になるとその脇に「ゆ」の暖簾が引っかかってようやくわかる、といった具合だ。

その暖簾をくぐるとまず下足場。同時に花屋としてのカウンターも見える。進んで、右手側にフロント。座っていたのは旦那さんと2歳くらいの小さいお子さん。将来の跡継ぎだろうか、微笑ましい。ロビースペースは特になく、テレビ、ドリンクケース、ショーケースがあるのみ。男湯は左、女湯は右側に進む。

ロッカーは壁側、背側などに3面。鍵のついていないロッカーが多いのは紛失が多かったのだろうか。中央に畳張りの腰掛け。マッサージチェア2台。ダイエットトレーナーと書かれたエクササイズマシン。HOKUTOW製のはかり。洗面台。自販機。丸型の脱衣カゴ。周囲の壁、2階部分に相当する位置には「手すり」のようなものが張り巡らせられていて、天井からは四枚羽の天井扇が吊り下がっている。開店直後の時間帯、7~8人の相客がいた。

夜遅くまでゆったりと湯を楽しむ

男湯のイメージ(S=シャワー)

浴槽はベーシックなものが一ぞろい。深風呂、ジェットバス、浅風呂のバイブラ、薬風呂。水風呂はないが、浴槽各種は微妙に水温が異なっていて、好みに応じて楽しむことができる。カランの数も多く、多少混み合っていてもゆったりと過ごせるのが魅力だ。

正面には灯台とカモメをモチーフにしたモザイクタイル画があるが、経年劣化による黒ずみが目立つのは少し残念。ただ、風通しはよく、これからの季節も快適に過ごせること間違いなしの銭湯だ。

開店は16時半とちょっと遅めだが、日付が変わる頃まで営業している。周囲は住宅街なので、池袋周辺で遊んだ人が流れてくるわけではないだろうが、繁華街に近い銭湯はどことなくワクワクするものだ。

※イメージ図は筆者の調査に基づくもので正確なものではございません

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。

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インデックス

連載目次
第25回 出勤前のひとっ風呂にもってこい! 大田区「幸の湯」で黒くない天然温泉を
第24回 『昼のセント酒』でも愛された銭湯! 江戸川区「鶴の湯」には目玉が2つある
第23回 銭湯ファン界隈でも話題の「ひだまりの泉 萩の湯」に"都内最大銭湯"を実感
第22回 忙しない東京時間をリフレッシュ! 四ツ谷「若葉湯」は心が落ち着く場所
第21回 生まれ変わった台東区「天然温泉 湯どんぶり栄湯」で露天風呂を思う存分
第20回 銭湯マニアも虜にする大田区「明神湯」--面構えから女将さんの笑顔まで完璧
第19回 東京には花屋兼業の銭湯がある--豊島区「前田湯」は入り口でメルヘン気分
第18回 観光心もくすぐる東京銭湯で唯一の存在! 台東区「燕湯」は厳しくも温かい
第17回 東京都ではレアな非加盟銭湯! 文京区「君の湯」には420円以上の安らぎあり
第16回 「西品川温泉 宮城湯」も銭湯価格! 露天風呂も備えた心配りがうれしい
第15回 江東区「日の出湯」の魅力は温度にあり--心地よい温度は安心感をもたらす
第14回 丸い小窓から富士山が! 目黒「文化浴泉」でなめらかなnano湯を楽しむ
第13回 たとえ歩いても、だから白金「アクアガーデン 三越湯」に来たくなる!
第12回 正月は朝湯でさっぱりと! 西荻窪「秀の湯」は子連れにも優しい銭湯
第11回 生まれ変わった町田の銭湯「大蔵湯」で、お風呂本来の気持ち良さを知る
第10回 はるばる通うのも悪くない! 風格ある荒川区「帝国湯」で激熱の洗礼を
第9回 生まれ変わった小岩「武蔵湯」は、薬湯の浅風呂で半身浴もよし
第8回 最後の"三助"がいた「日暮里 斉藤湯」は初めての子連れ銭湯にもぴったり
第7回 驚きの軟水で美肌を実感!? 板橋「花の湯」は女将さんのキャラメルも魅力
第6回 荒川区「梅の湯」もリニューアル! 開放的な現代風銭湯で水素水風呂も堪能
第5回 生まれ変わった大久保「万年湯」に行ってみた! 常連からも「いいお湯だね」
第4回 派手さはないが味わいたっぷり! 中野区「上越泉」は女将さんも魅力のひとつ
第3回 「大田黒湯温泉 第二日の出湯」に今、巨大なゴジラ現る!
第2回 若者にも高齢者にも優しい銭湯! 高田馬場「世界湯」は壁画で世界を描く
第1回 大にぎわいなのには訳がある! 世田谷「天狗湯」はいろんな意味で気持ちいい

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