【連載】

超次元散歩倶楽部

7 扉をやめた扉

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この世に建物がある限り、そこには扉が付いてくる。

あるものの内と外との境界となるのが扉だが、今回紹介するのは、そんな内と外との架け橋であることを放棄した"扉をやめた扉"だ。

森と化した玄関

玄関を閉ざすのは青々と茂る植物たち(撮影場所: 東京都杉並区)

杉並区の飲食店。

『天空の城ラピュタ』化していて信じられないかもしれないが、ここはもともとは玄関である。写真左側にかろうじて存在が認められる表札がその証拠だ。

店主に話を聞いたところ、もともと民家だったものを飲食店に改造した際、徐々に元からあったこの入り口が使われなくなったという事情が背景あるという。

「ウチは店としてやっていく! 」というアツい決意が民家側の入り口を封鎖させ、植物の王国に変えたのだろうか。

ゲームのような幻想風景

だまし絵のような光景(撮影場所: 東京都杉並区)

どうだろう。まるで1枚のだまし絵のようではないか。

元の造りは壁の色あせ具合で推測するしかないが、窓と扉の下にうっすらと見える斜めの線は、かつての階段跡だろうか。窓の位置からドアは入り口だったと推定されるし、2階に入り口があると言うことは、恐らく集合住宅だったのだろう。

しかしこの光景、なんだか既視感がないだろうか。僕には、ある。常々思うことだが、ある世代にとってのトマソンに対する妙な既視感は初代『スーパーマリオ』によるものではなかろうか。

意味のない階段、やたら高い場所にある扉、穴のない土管……、思い返すと初代スーパーマリオはトマソンの宝庫である。

7回の超次元散歩を終えて

今回、近所を散歩するだけで出会える"街の違和感"について7回に渡り紹介してみた。

鉄アレイ公衆便所などの題材も取り上げたが、自分で面白いと思えばそれは立派な観察対象になり得るし、何も感じずとも、同じものをたくさん観察していれば次第に個性が見えてくる。

正解を求める必要はなく、自分なりの見解と共に街のアレコレを観察すれば、街歩きはより有意義になると思っている。

<著者プロフィール>
zukkini
1982年佐賀県生まれ。進学のため上京するも友達が全く出来ないことに絶望し、ネット上で日記を書き始めて15年。
現在は残飯系情報サイト「ハイエナズクラブ」を主催し、「オモコロ」のライターとしても活動中。
趣味は録画した「警察24時」を繰り返し観ること。

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インデックス

連載目次
第7回 扉をやめた扉
第6回 あきらめた肉体改造
第5回 駐車場を観察する
第4回 小さいものたち
第3回 公衆便所アート
第2回 階段の最期
第1回 呼吸の合わない風景

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