前回に続き、3月20日に開催された「第1回 ROBO-ONE Light」の模様をお届けしたい。前回はトーナメントの2回戦まで紹介したので、今回はその続き。

激戦の3回戦以降

バトルにも少し慣れてきた3回戦の相手は、BIOLOID PREMIUM Kitの「DAVID1」。今回の大会には韓国からの参加者が20名ほどいたが(ほとんどがTINYWAVEかBIOLOID)、この相手も韓国からの少年だった。おそらく筆者との年齢差は30歳前後。世代を超えて、子供とも真剣勝負ができるというのも、ロボット競技のいいところかもしれない。

さて、試合である。開始早々に筆者は初めてのダウンを奪われてしまったが、1分過ぎには1本を奪い返し、同点に。その後はお互いに有効なダウンを奪えず、延長戦に突入。ここでうまくバックを取って攻撃が決まり、辛うじて勝利することができた。

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3回戦。1-1の同点で延長戦に入り、そこで勝利。終盤、操作ミスでキックを出してしまい、ダウンを1つ損してしまったが、こういうミスは最もやってはいけない(wmv形式 15.4MB 3分46秒)

この試合の後、相手の少年が泣いてしまったのだが、じつは大人と子供が戦うROBO-ONEでは珍しくない光景。というか、負けて悔しくて泣かないようでは困る。そのくらいの負けん気が私は好きだ。この悔しさをバネに、また挑戦して欲しい。

続いては準々決勝だが、ここでも同型機対決となった。相手は「磯工GUARDIAN」。3回戦までの試合で、「バックを取ってダブルパンチ」というパターンがほぼ固まったので、ワンパターンではあるが、この試合でもそれを狙った。同型機が相手なので、こちらの攻撃が届く範囲では、基本的に相手の攻撃も届く。後ろから攻めるのは安全でもあるのだ。

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準々決勝。2-0から追いつかれたが、終了間際のダブルパンチが決まって勝利。同型機対決だが、カラーリングでかなり違う印象に(wmv形式 11.4MB 2分47秒)

あれよあれよと決勝

気が付けばベスト4。ここまで勝ち残ったのは、TINYWAVEの「fruit」と「christ-X」、BIOLOIDの「Dolyang」、そしてKHR-3HVの筆者の「バンボー」である。筆者以外の3機は、すべて韓国勢になってしまった。これはますます、負けるわけにはいかない。

準決勝の相手はchrist-X。この操縦者も子供だったのだが、この子がとにかくロボットの操作がうまい。前の試合も見ていたのだが、正直、勝てる気がまったくしなかった。

しかし結果は3-0で快勝。多分、筆者のようにしつこく背後を狙うような相手と戦ったことがなく、やりにくかったこともあるだろう。じつはそこが狙い目。正面からの殴り合いでは、反射神経の勝負になる。反射神経ではとても子供相手に勝ち目はないので、筆者は戦略で勝ちを狙ったのだ。「子供に勝てない」とお嘆きのおじさんは、ぜひとも参考にして欲しい。

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準決勝。自分でも驚く会心の試合内容で、操作もほぼノーミスだった。1本先制できたのが何よりも大きい(wmv形式 11.1MB 2分42秒)

そして決勝戦。相手はまたまたTINYWAVEのfruitだ。正直、この試合は悔いが残る。1-2で負けたのだが、ダウンは2本とも、筆者の操縦ミスから生まれたものだ(特に2本目は、前に進むつもりが右を押すというボーンヘッド)。ロボットは自分と違う向きになったときに、特に操縦を間違えやすい。こんな大事な場面でそれがでるなど、集中力がちょっと切れていたとしか言いようがない。

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決勝戦。ミスが出まくりなのは、経験不足か、体力不足か。正直、6試合もやるとは思わなかったので疲れた(wmv形式 12.6MB 3分5秒)

というわけで、結果は準優勝。非常に悔しいが、「近藤科学賞」としてKHR-3HV用の「拡張用サーボ5個セット」を頂いたので、これは次回あたりにでも紹介できればと思う。

協賛企業からの賞品。頑張って目立てばもらえるチャンスが増えるかも

準優勝の賞状とトロフィーも頂いた。嫁には迷惑がられたが、嬉しい

次回はサッカーと同時開催

大会に参加していたため他の試合を見る余裕がなく、参加者目線でのレポートとなった。今後、出場を検討する上での参考にしてもらえればと思う。

「第1回 ROBO-ONE Light」の出場ロボット

次回の大会だが、すでに日程が発表されている。開催日は2010年5月22日(土)。場所は今回と同じく川崎市産業振興会館になる。申し込みはすでに開始されているので(締切は5月10日)、出場を考えているなら急ごう。エントリーの方法は公式Webサイトを参照して欲しい。

もし「一人では参加しにくいな~」と思っているようなら、知り合いとグループを組んで出場するのもいい。筆者は今回、ロボットサッカーでチームメートの梓みきお氏にセコンドに付いてもらっていたが(氏も取材だったはずだが、原稿は大丈夫だろうか?)、熱くなりやすい筆者に対し、「一旦離れて」など冷静な指示を出してくれるのは心強い。初バトルながら準優勝できたのは、チームであればこそだ。

最後に、今回の"3強ロボット"の仕様も比較しておく。KHR-3HVは日本人のユーザーが多く、情報を得やすい。TINYWAVEは高性能だが、その分高価(完成品なので組み立ては不要)。BIOLOID PREMIUM Kitは重量があって倒れにくい。それぞれに特徴があるので、目的に合わせて選べば良いだろう。

各ロボットの比較
機種 KHR-3HV TINYWAVE BIOLOID PREMIUM Kit
メーカー 近藤科学 杉浦機械設計事務所 韓国Robotis
全高 401mm 330mm 397mm
重量 約1.5kg 約1.45kg 約1.7kg
自由度 17軸 16軸 18軸
サーボ KRS-2552HV AX-12+
動作角度 270° 300°
トルク 14.0kg・cm 15kg・cm
スピード 0.14秒/60° 59rpm
バッテリ ニッケル水素 リチウムポリマー
発売時期 2009年7月 2010年3月
店頭価格 11万9700円 22万500円 11万9700円
※BIOLOIDは3種類の構成が可能で、表はAタイプの場合

で、翌日…

ところで、ROBO-ONE Lightの1~3位の賞品(?)は翌日の「ROBO-ONE本戦への出場権」だったので、次の日も川崎に行くことになってしまった。前日に初めてバトルをしたような初心者が、ROBO-ONE本戦になんて出られるだけでもすごいのだが、しかし初戦の相手は優勝候補の「ガルー」。まったく歯が立たずに敗退となった。賞品ていうか、罰ゲームじゃないの、これ。

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第17回 ROBO-ONEの1回戦。こちらの攻撃が当たっても微動だにしない絶望的な状況(wmv形式 9.59MB 2分20秒)