夕張市長の提案を踏まえ、JR北海道が石勝線新夕張~夕張間の鉄道事業廃止の申入れを行ったと発表してから1年が経過。夕張市とJR北海道は同区間の「効率的で持続可能な交通体系の構築」に向け、協議を進めてきた。今年7月には、鉄道とバス・タクシーなどの結節機能強化、乗換え利便性向上を目的に、新夕張駅の駅前広場が改修された。

夕張駅に停車中のキハ40形。10分弱の停車時間で新夕張方面へ折り返して行った

南千歳~新得間の本線、新夕張~夕張間の支線からなる石勝線のうち、追分駅から夕張駅までの区間はかつて「夕張線」と呼ばれ、紅葉山駅(現・新夕張駅)から楓・登川方面へ支線も延びていた。1981年、新線区間の開業に合わせて路線名が変更され、このとき新夕張駅も現在地で営業開始。追分~新夕張間は特急列車の運行に備えて改良される一方、楓・登川方面の支線は廃線(新線区間に設置された楓駅も2004年3月に旅客営業を終了)となった。

新夕張~夕張間はおもに「夕張支線」と呼ばれる。現在は普通列車が下り・上り5本ずつ設定され、日中は4時間ほど運転間隔が空き、最終列車は19時台に運行される。終点の夕張駅は2度の移転を経て、JR発足後の1990年から現在地に。1面1線の棒線駅で、夕張行の普通列車が到着した後、おおむね10分弱の停車時間で新夕張方面へ発車していく。

夕張駅のホームは1面1線。日中時間帯の列車は夕張駅から千歳駅まで運行される

夕張駅の駅舎。かつてはここからさらに北へ線路が延びていた

ホームの先に三角屋根の駅舎があり、目の前にホテルマウントレースイが建つ。駅前にある夕鉄バスの停留所名は「レースイリゾート前」。北海道中央バスの「高速ゆうばり号」もここから運行されており、札幌駅前ターミナルまで2時間弱(片道1,750円)で結んでいる。夕張駅から鉄道で札幌駅へ向かう場合、普通列車から快速「エアポート」へ乗り継いでも2時間以上かかる(夕張~札幌間の運賃は2,160円)。

夕張支線の途中駅も、現在はすべて交換設備のない1面1線の駅に。かつて夕張鉄道と接続していた鹿ノ谷駅、三菱石炭鉱業大夕張鉄道との接続駅だった清水沢駅など、石炭産業で栄えた時代の面影を残す駅もあり、廃線前にもう一度訪ねる機会があるなら、鉄道の他にバスも利用しつつ、夕張支線の途中駅に下車してみたいと思った。別の機会にレンタカーを借りるなどして、夕張鉄道や三菱大夕張鉄道の廃線跡も訪ねてみたくなった。

新夕張駅の駅前広場は改修され、バス・タクシーのりば用の上屋も新設された

新夕張駅では駅前広場の改修が進み、駅舎の手前に上家が新設された。これにより、大型バスも駅前広場へ乗入れ可能に。駅舎に隣接してバス・タクシーのりばを設置し、路線バスについては10月1日から駅前広場への乗入れを開始する予定で、今後は夕張市が運行するスクールバスの乗降場所としての活用も想定しているという。駅舎内の待合室でバス・タクシーを待つことも可能となるため、降雨・降雪時の乗換えも便利になる。JR北海道は駅前広場の改修にあたり、工事費(約1,700万円)を自社で負担すると発表した。

石勝線新夕張~夕張間の廃止時期に関して、夕張市サイト内「平成28年8月8日開催 JR北海道島田社長面談後の会見」では「平成31年度というのが、そのタイミングになるのではないか」とした上で、最短で2019年3月のダイヤ改正に合わせて実施する可能性も示唆している。コンパクトシティ化を進める夕張市では、2019年度に都市拠点・交通結節点となる複合施設が完成・供用開始する予定。清水沢地区に設置されるこの複合施設と新夕張駅、若菜地区の夕鉄バスターミナルを要所とし、交通機能の充実をめざすとしている。