2016年第7週(2月15~21日)は、とくに気になるニュースが2つ。ひとつは583系「超会議号」の発表だ。4月29・30日の「ニコニコ超会議2016」開催に合わせ、4月28日に大阪駅を発車し、翌29日に幕張メッセの最寄り駅・海浜幕張駅に到着する。「特別経路の寝台夜行列車」とのことだが、どんなルートだろうか? 2012~2014年と同じ北陸ルートか、あるいは東海道本線か……。

もうひとつの気になるニュースはJR四国から。2月18日、同社は「若者限定四国フリーきっぷ」の発売について発表した。

JR四国の新型特急電車8600系(2014年撮影)

このきっぷはJR四国の全線と土佐くろしお鉄道の一部区間(窪川~若井間)で、特急列車・普通列車の普通車自由席が3日間乗降り自由となる。有効期間は3日間で、発売額は9,800円だ。つまり、1日あたり3,300円以下。「青春18きっぷ」が1回あたり2,370円だから、1,000円ちょっとプラスするだけで特急列車に乗れる。行動範囲が広がるだろう。利用期間は3月1日から4月12日まで。満25歳以下を対象としている。ちょうど春休みの時期だ。宿題の少ない長期休みでもあるし、卒業旅行シーズンでもある。

JR四国はフリーきっぷが充実しており、誕生月なら「バースデイきっぷ」がお得。1万280円で3日間有効。グリーン車にも乗り放題だ。通年販売だと、特急列車の普通車自由席に乗れる「四国フリーきっぷ」があり、こちらは1万6,140円。「若者限定四国フリーきっぷ」はこの「四国フリーきっぷ」の低年齢限定・期間限定版といえる。1万円を切る料金はうれしい。おじさんはうらやましいぞ!

いつだったか、「大人の休日倶楽部パス」について、インターネット上で「年寄りばかりズルい」と話題になった。しかし、鉄道会社は若者向けのきっぷや特典も実施している。残念ながら、いままで空回りしていただけだ。

たとえばJR四国は1997年以降、満12歳から満29歳までを対象に「ヤング ウィークエンド カード」を発行していた。年会費1,000円、更新会費400円を払うことで、金曜夜からの週末や祝日など、JR四国内の片道61km以上の往復運賃・料金が40%も割引になった。このサービスは2017年3月31日で終了予定。新規入会申込みは2016年3月31日までだ。

JR九州は満16歳から満29歳までを対象に「ナイスゴーイングカード」を発行していた。こちらも金曜からの週末や祝日に、JR九州内の101km以上の乗車券が40%も割引となり、その乗車券で利用する特急料金も40%割引となった。年会費は500円で、スタンプカードが付属し、利用料金1,000円ごとにスタンプ1個。30個貯まると自由席特急料金でグリーン車に乗車できた。こちらは2011年1月末に新規入会と更新の受付を終了した。

JR北海道にも同様の会員組織「レールメイト」があった。満13歳から満25歳までを対象としており、特急列車の往復割引きっぷをさらに5%割引で購入できた。しかし、2009年3月31日に新規入会と継続受付を終了した。

「大人の休日倶楽部」「ジパング倶楽部」の若者版といえるサービスは、いずれも会員数の減少によって終了していた。会費が安価とはいえ、会員制というしくみがそぐわなかったのかもしれない。まだ鉄道旅行の楽しみを知らない人に年会費はなじまないし、「年会費を払うほど列車には乗らない」という若者も多いだろう。

しかし、JR四国は「若者に乗ってもらいたい」という気持ちをあきらめなかった。それが「若者限定四国フリーきっぷ」につながったといえる。JR九州も「ガチきっぷ」という18~24歳限定の割引サービスを実施している。若いうちから鉄道旅行に親しんでもらいたい。「鉄道旅行は楽しい」という思い出があれば、大人になっても鉄道で旅してくれる。そんな願いが込められている。

若者たちよ。大人がうらやむほどお得なきっぷがあるぞ。この春は「超会議号」も走るぞ。春は鉄道で旅をしよう!