北海道新幹線新青森~新函館北斗間が3月26日に開業する。ところが残念な話が目立ってしまっている。東京駅から新函館北斗駅まで最速達列車で4時間2分、「はこだてライナー」への乗継ぎを考慮すると、東京~函館間約4時間半以上で飛行機に負けそうだったり、東北新幹線と北海道新幹線を通しで乗ると、それぞれの特急料金が通算ではなく合算になって割高感があったり……。

北海道新幹線の旅、休暇と予算の準備はできた?

しかし、鉄道ファンとして、ここは素直に喜ぼう。新年の仕事始めから続々と、北海道新幹線に関するおトクなきっぷが発表された。個別には報じられたようだけど、大方出そろったところで、新青森~新函館北斗間に乗る場合の料金を比較してみよう。

まずは基本となる運賃・料金のおさらいから。これは昨年10月13日に国土交通省に認可申請され、同年12月24日に額面通りに認可された。新青森~新函館北斗間の特急料金は4,450円。これに運賃2,810円を加えると、発売額は7,260円だ。

1月5日、JR北海道とJRグルーブ各社は北海道新幹線を利用できるおトクなきっぷを発表した。JR北海道はインターネットで展開する無料会員制の「JR北海道予約サービス」で2種類の割引きっぷを用意する。乗車日14日前23時までの予約が条件の「北海道お先にネットきっぷ」は、運賃・特急料金込みで4,350円。乗車日前日23時までの予約が条件の「北海道ネットきっぷ」は5,800円。座席数限定とはいえ、指定席である。

同日、JR東日本もインターネット無料会員制サービス「えきねっと」などで利用できるおトクなきっぷを発表。乗車日13日前1時40分までの予約が条件の「お先にトクだ値(乗車券つき)」は4,350円。乗車日1時40分までの予約が条件の「えきねっとトクだ値(乗車券つき)」は5,800円。値段は一緒。期限の違いは、JR東日本の終電時刻の遅さを考慮したものといえそうだ。JR東日本はその他、発車6分前まで利用できる「モバイルSuica特急券」も用意している。こちらは新青森~新函館北斗間6,740円だ。

新青森~新函館北斗間の発売額の比較(会員制ネット割引)
正規運賃+料金 7,260円
「北海道お先にネットきっぷ」 4,350円
「北海道ネットきっぷ」 5,800円
「お先にトクだ値(乗車券つき)」 4,350円
「えきねっとトクだ値(乗車券つき)」 5,800円
「モバイルSuica特急券」 6,740円

ちなみに、今回の比較対象外だけど、東京都区内から新函館北斗駅までの「北海道お先にネットきっぷ」「お先にトクだ値」は1万7,010円、JR東日本の「スーパーモバイルSuica特急券」は1万5,460円。料金的には航空券の早割に近づいた印象だ。

次は、みんなが大好き「青春18きっぷ」を利用する場合。2016年も春季・夏季・冬季の販売が決定した。新幹線開業のたびにルールが変わる印象があるけれど、北海道新幹線については東北新幹線や北陸新幹線のような「並行在来線第3セクターの通過利用特例」はなくなった。青函連絡特急が廃止されるため、従来の「蟹田~木古内間限定の特急自由席利用」も廃止。代わって「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」を販売する。

「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」は、北海道新幹線奥津軽いまべつ~木古内間と道南いさりび鉄道木古内~五稜郭間を片道1回だけ通過利用でき、料金は2,300円。これに「青春18きっぷ」1回分2,370円を加えると4,670円。インターネット割引制度の最安価格より120円高いけれど、「青春18きっぷ」1回分は前後の在来線普通列車が当日乗り放題だし、なにより乗車当日に購入できる利点もうれしい。青函トンネルを日頃利用している人は、「青春18きっぷ」期間はこちらのほうが便利かも。

「青春18きっぷ」と同じく人気のある「北海道&東日本パス」は、青森~函館間で自由席特急券を別途購入することで特急列車に乗車できた。北海道新幹線開業後は、この特例がそのまま北海道新幹線に移行する。ただし、富士急行線が対象外となり、新幹線開業後に利用する分(2月26日発売)は現在より料金が560円(大人用)上がる。連続した7日間有効で1万850円となり、1日分だと1,550円。これに特定特急料金3,930円を加えると5,480円となる。正規運賃・料金よりかなり安いけれど、「青春18きっぷ」ほどではない。ただし、新青森駅から新函館北斗駅まで通して乗れる利点がある。

JR東日本にもうひとつ、特急券別途購入タイプのおトクなきっぷ「三連休乗車券」があった。こちらは北海道新幹線開業を機にリニューアルされ、「三連休東日本・函館パス」となる。発売額は1万4,050円(大人用)で、「三連休乗車券」の1万3,390円から実質的に660円の値上げだ。1日分だと約4,683円。これに特定特急料金3,930円を加えると8,613円。

新青森~新函館北斗間の発売額の比較(フリーパスタイプ企画乗車券)
正規運賃+料金 7,260円
「青春18きっぷ」1回+「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」1回 4,670円
「北海道&東日本パス」+特定特急料金 5,480円
「三連休東日本・函館パス」+特定特急料金 8,613円

「三連休東日本・函館パス」は、新青森~新函館北斗間の正規運賃・料金より高くなってしまうけれど、このきっぷも他の区間に乗り放題だから、旅のルートによってはおトク感がある。特定特急料金ではなく、ちょっと高めの指定席特急券を買って着席保証を得たいときもおすすめ。グリーン車やグランクラスも料金を支払えば乗車できる。むしろこのきっぷは、グリーン車やグランクラスの乗車券として使える貴重なフリーきっぷである。長距離ほどおトクになるといえる。

以上、新青森~新函館北斗間の利用を中心に比較してみた。きっぷのルールや制度、行程によって最適な選択は変わる。北海道新幹線の初乗りの参考になれば幸いである。