前編に引き続き、世界初の4K30pウェアラブルカメラ「HX-A500」開発のグループマネージャーの森勉氏と、プロトラブズ社長トーマス・パン氏との対談をお届けする。後編では、実際に利用したユーザーの声をもとに、今後の発展性について話し合われた。

身近なウェアラブルからプロユースまで広く"4K30p"で放送できる機器

パナソニック イメージングネットワーク事業部 商品技術グループ グループマネージャー 森勉氏

パン氏:このウェアラブルカメラの映像は、機器のSDカードに記録して、ユーザーがコンピュータで見たり編集したりすることを意図しているかと思いますが、ユーザー自身で映像をネットでつなげることもできるのですか?

森氏:Wi-Fiを内蔵していますので、Ustreamでリアルタイム放送が可能です。例えば、マラソンしている映像をそのまま本人の視線で流すような実況配信もできます。ただ、ネットの利用としては、YouTubeにショートムービーを投稿するお客さまが多いようですね。

パン氏:生イベントを生放送するとなると、準備が必要ですからね。やはり「編集後に放送」というスタイルが主流なんですね。この製品の解像度と臨場感を考えると、放送局などプロ用途の利用もできそうですが、そういった例などはありますか?

森氏:既に当社のウェアラブルカメラを、鬼ごっこをテーマとした人気番組などで使っていただいています。

パン:その番組、知っています。確かに、追いかける側の人が頭の横に、今考えると見覚えのある丸いカメラを着けて、有名な芸能人を追いかけていましたね。

旅行や家族との時間も、手が空くことで広がる映像

プロトラブズ合同会社社長&米Proto Labs, Inc.役員 トーマス・パン氏

パン氏:前モデル「HX-A100」のフィードバックを受けて、今回の新機種の開発があったかと思うのですが、ユーザーからは、どのような感想や要望があったのでしょうか。

森氏:「旅行で使っています」というお客さまが非常に多かったですね。シーズンを問わず、特別な行事でなくとも気軽に使っていただけているという結果が出ています。

パン氏:よく分かりますね。従来の一体型カメラを持ち歩いて、撮影するたびにポケットやカバンから取り出して、被写体に向けて手で構えるというのはとても大変ですから。

森氏:やはり、両手が空くというのが一番のポイントだと思っています。意識せずにすべてが撮れていて、あとから見返して映像を選ぶことができるわけです。

パン氏:とくに小さな子供の映像を撮りたくても、同時に面倒をみなければならないときなどには、両手が空くのは本当に便利ですね。

森氏:このウェアラブルカメラなら、撮影しながらお子さんと一緒にブランコに乗ったりできますし、自然な表情を撮ることができます。ハンズフリーで、「映像を撮るんだ」ということを意識しないため、いろいろな使い方ができることが魅力です。

パン氏:革新的な映像ツールだという実感を、さまざまなシチュエーションで感じることができそうですね。では逆に、厳しい意見などはありましたか?

森氏:「HX-A100」では、モニターがなかったので、「スマホが無いと使えないのは不便」という声ですね。スマホの併用を前提に考えていたので、画角を確認するためのモニターが欲しいという多数の要望を頂きました。しかしこの時代の切実な問題として、小さい液晶が無いんです。液晶メーカーさんがもう作っていないんですよ。

パン氏:そうなんですか。デジタルカメラが出始めた90年代後半では、みんな小さい液晶でしたよね。時代の流れというのは本当に早いものですね。製造サイドも、利益とビジネスを求めて、大型液晶の需要と供給に対して敏感に適応しているわけですね。

森氏:そういうことです。今はもう大型で高解像度の液晶を必要としているスマホやタブレットが主流になっていて、液晶メーカーさんは皆そっちをやっているわけです。世の中の流れと逆行する小さい液晶を作ってくれと頼むと、怪訝な顔をされます。新モデルのための液晶探しには、非常に苦労しました。

ウェアラブルの世界への挑戦

パン氏:身体に装着する各種「ウェアラブル」デバイスへの期待は大きいですね。その中でも、先陣を切った高画質動画カメラは、今まではエクストリームスポーツ向けやプロ仕様がメインというお話でしたが、それをコンシューマー用にするということは、一般の人が今までアクセスできなかった世界に手が届くようにするということなので、ものづくりの醍醐味があるエリアだと感じます。高画質ウェアラブルカメラの分野にはさらに、いろいろな可能性がありそうですね。

森氏:まだ発売したばかりなので、頂いた反響をもとに、次はどういったものを目指すのか考えています。とはいえ、今はもう、どこも「ウェアラブル」一色になりつつありますからね。我々は「ウェラブル&ハンズフリー」というキーワードを中心に、自由に行動できて、その時の映像を残せるという方向で進めていくつもりです。

パン氏:この映像技術は、医療系など、特殊用途のビジネスにも使えそうですね。民生で認知度が高まると、いろいろな提案が来るのではありませんか。

森氏:そうですね。実は、言っちゃいけないことがいっぱいあります(笑)

パン氏:私も、こうして実物を持っていると、こんな場面で使えないだろうかという発想が生まれてきます。自動化の製造工場を持っている企業としては、ファクトリーオートメーションの管理に使えるのでは?などと思いました。4Kという画質で、今まで確認できなかったところが確認できるわけですから。

森氏:実際に商品を出すことで、そういうアイディアを頂けることがありがたいです。何も無い中で発想はなかなか出てきませんから、まず発売することを優先しました。我々としては、これからも、コンシューマーというお客さまを念頭に置いて、発展させていこうと思っています。

パン氏:まだまだ将来性がある商品ですね。私は、先進国のコンシューマー向けの製品は「楽しさ」が90%で、「生活の基本ニーズ」が残り10%ではないかと感じています。このウェアラブルカメラは、先進国で求められていく気がします。なにより、こうした商品が世に出るのは、昔のサイエンス・フィクションの世界が現実になってきているようで楽しいです。ちょうどいいタイミングでお話を聞け、実装体験もさせてもらえました。次の休暇のために、是非とも購入を検討させていただきます(笑)!

森氏:ありがとうございます。最寄りの量販店さんで販売しております(笑)