秋葉原に本拠地を構える株式会社GM3は、小型・省電力のセンサー技術をコアにした2009年創業のベンチャー企業です。独自の設計思想で開発したセンサーをベースにした製品は、同類の製品群では競合が発生しないユニークなポジションを確立しています。そのセンサー技術のプロたちは、ハード面ではプロトラブズの射出成形見積りProtoQuoteの3Dによるフィードバックを筐体構造の改善に活用するなど、効率的かつユニークな設計も展開しています。

課題
- 金型設計者との密な連携による最適な筐体の設計と製造
- 顧客からの短納期要求に耐えうる開発スピードの実現
- 小ロットでもコストメリットのある筐体製造プロセスの実現

解決
- ProtoQuote見積りをベースとしたカスタマーサポートとのコミュニケーション
- 数百から数千程度の小規模量産にも使用できるProtomoldによる射出成形
- 10日の標準納期とデータアップロード後、数時間で得られる見積り

短納期射出成形プロセスからのフィードバックが新機構を実現

医療、産業、そして一般の民生機器に至るまで、いまやビッグデータの活用が珍しくはない時代になってきていますが、ビッグデータの活用には、広範なデータを長時間にわたって集める必要があります。その際に欠かすことができないものが「センサー」です。センサーに求められるのは、小型で、利用に負担がかからず、また電池交換などを長時間にわたって気にせずに使い続けられる高度な省電力性が求められます。株式会社GM3は、このようなセンサーの開発にあたり、汎用技術に頼ることなくソフトを含めた独自設計の機能をコアにして開発を進めています。同社の取締役である小野聖士氏は「独自の技術を用いることにより汎用的な技術と比較して大幅な省電力を実現しており、それが我々の強みになっています」と述べています。

この強みを活かして、今や同社のセンサーやその技術は、発電設備やコンビニ店舗など様々な産業分野で大規模に活用されており、その分野は多岐にわたっています。今や幅広く活躍するセンサーも、元々の出発点は医療分野での開発によるものであり、同社の製品である「ワイヤレス生体センサー RF-ECG2 EK」も存分に同社の技術を活かしたものです。つけていることすら忘れてしまうこのセンサーは、心拍数だけではなく、心電図の様々な情報をノイズに邪魔されることなく記録でき、すぐにパソコン上で確認できます。小野氏によれば「これを試しにつけてみた仲間が、偶然にも心筋梗塞の兆候を発見し早期に治療を行えました」とのこと。この筐体の開発で同社は、短納期射出成形サービスProtomoldを活用しました。

小野氏によれば、従来の製造プロセスでは、図面を金型業者に渡して、しばらくして見積りをもらうという流れで、その途中に密なコミュニケーションを持つことができない、という不満があったと述べています。「プロトラブズでは、サポートの技術者の方とじっくりコミュニケーションができます。単に見積りがあるだけでなく、どこをどう直せば、具体的にいくらコストが削減できるのか、などが手に取るようにわかります」と小野氏はそのメリットを述べています。

「さらには、見積りの3Dイメージを合わせてみることで発想が生まれ、ボタン電池を収める部分の機構の改良にもつながりました」と、小野氏は、意義ある設計へのフィードバックが成果につながった点についても評価しています。

超短納期にも耐える製造プロセス

小野氏は同社の主力ビジネスは、むしろ様々な企業から委託を受けての受託開発であると述べています。実際、RF-ECG2 EKも販売のための最終製品ではなく、これを使って自社の最終製品を開発しようしている企業のためのツールキットとして販売しているとのことです。受託開発も含めて、小野氏は「顧客からかなりの短納期を求められることは珍しくありません」と語ります。当然、筐体の設計から実際に製造に至る流れも超短納期が求められます。「以前は、図面のやり取りが中心でしたし、3Dで設計をしていたのは外部のデザイナーだったのが、現在では社内にも3D CADを導入して積極的に活用していますとのこと。プロトラブズを使う場合には、3Dデータを、図面を介すことなく、そのままアップロードができるので、「プロトラブズさんでは、射出成形品が標準でも10日、追加料金を払えばさらに早く作れるだけではなく、見積りも3、4時間で入手することができます」と、全体のスピード感についてもメリットを述べています。設計変更も容易に行うことができ、試しながら改良することもできるので、従来一ヶ月以上かかっていた納期が半分以下に短縮されました。

RF-ECG2は、世界最小クラスのワイヤレス心電計。独自プロトコルにより従来の無線より低消費電力を実現。心臓電位、重力加速度、温度などの5系統のデータを採取し、リアルタイムでPCに送信する

小ロットでのコストメリットと利便性を両立した製造プロセスの実現

同社の製品は、産業用のセンサーのように数を要求するものもありますが、医療用の製品の場合には、年間数百台から数千台程度であり、量産としては比較的小規模です。従来の金型では、イニシャルコストが大きくなるため、この規模の量産は難しいところがありました。しかし、Protomold射出成形では、数百という規模の製造でも、十分に受け入れられるコストでの製造が可能です。コストに納得できるだけではありません。品質面でも納得感が充分にあります。「もちろん、要求を高めていけばきりはないと思います。しかし、これまでの成形で問題があったことはありません。その品質にも満足しています」と小野氏は言います。

同社では3D CADでの設計を活かして、初期の試作には3Dプリンターによる出力サービスを活用しています。その次のステップとして、他の製品でもProtomold射出成形を活用していますが、小野氏は「是非、プロトラブズさんでも、3Dプリンターでの出力サービスをやってもらえれば、私たちとしてはワンストップサービス的に活用したいですね」と将来の一層の利便性への期待を述べています。

株式会社GM3

株式会社GM3 取締役 小野 聖士 氏

http://www.gm3.jp/
特許取得済みの小型・省電力センサー技術を活かして、医療用、産業用、民生用など様々な分野に使用されるセンサー関連製品を開発。自社製品の開発だけではなく、多様な企業からのリクエストに応えてOEM製品の供給、関連製品の受託開発、技術供与も行う。他の追随を許さない技術と、近年のビッグデータ活用のベースとなるデータに必須のセンサー技術開発のプロフェッショナルとして近年急速に業績を伸ばしている。

本連載は、「日経ものづくり」2014年12月号に掲載されたコンテンツを再編集したものです。
プロトラブズおよびProtomold射出成形の詳細:http://go.protolabs.co.jp/