今週は、1つの要素に複数のアニメーションを指定する方法を紹介する。また、アニメーション機能を応用して、「シールめくり」のような演出を行ったり、グレースケール画像をカラー画像に変化させたりする方法も紹介する。工夫次第でユニークな演出を行えるので、各自でもいろいろと研究してみるとよいだろう。

アニメーションの追加

すでにアニメーションが指定されている要素(段落)に対して、別のアニメーションを追加することも可能だ。今回も、4つの段落にそれぞれアニメーションを指定した場合を例に話を進めていこう(詳しくは前々回の連載を参照)。

まずは、アニメーションを追加する要素(段落)を選択する。

アニメーションを追加する要素の選択

この状態で普通にアニメーションを指定すると、「現在のアニメーション」が「新しく指定したアニメーション」に置き換えられてしまう。アニメーションを置き換えるのではなく、新たにアニメーションを追加する場合は、「アニメーションの追加」からアニメーション効果を選択する必要がある。

アニメーションの追加

すると、アニメーションを示すアイコンが以下の図のように表示される。「1」の下にアイコンが重なって表示されるため状況を把握しにくいかもしれないが、このスライドには「1」~「5」の5つのアイコンが表示されている。

アニメーションのアイコン表示

状況を分かりやすくするために「アニメーション」ウィンドウを表示してみよう。今回の例では、以下の図のように「アニメーション」ウィンドウが表示される。これを見ると、1~4回目のクリックで各段落が順番にアニメーション表示されていき、5回目のクリックをした時に「1段落目」がアニメーションで強調されることになる。

「アニメーション」ウィンドウで動作を確認

このままでは意図した動作にならないので、アニメーションの順番を「▲」や「▼」のボタンで入れ替え、開始タイミングを変更しておこう(開始タイミングの変更方法については前回の連載を参照)。

例えば、以下の図のように動作を変更すると、1回目のクリックで「1段落目」がアニメーション表示され、続けて強調のアニメーションが自動的に実行されるようになる。

順番と開始タイミングの変更

同様の処理を「2段落目」~「4段落目」でも行うと、マウスをクリックするごとに「アニメーションで段落を表示」→「アニメーションで段落を強調」といった動作を実現することが可能となる。動作が複雑なアニメーションを指定する方法として覚えておくとよい。

なお、アニメーションの指定(追加)を間違えてしまった場合は、以下のように操作して不要なアニメーションを削除することも可能だ。

アニメーションを削除する場合

「1」「2」「3」……のアイコンが重なって表示されている状況でも、「アニメーション」ウィンドウを使えば個々のアニメーションを自由に操作できる。積極的に活用していくとよいだろう。

アニメーションの応用例(1)

続いては、これまでに紹介してきた内容を応用して、ユニークなアニメーションを実現する方法を紹介していこう。最初に紹介するのは、テレビのワイドショー番組などでよく見かける「シールめくり」のアニメーションを実現する方法だ。

まずは、普通に文字を入力して書式を指定する。その後、隠しておきたい文字の上に「メモ」の図形を描画する。

プレースホルダーに文字を入力

隠しておきたい文字の上に「メモ」の図形を描画

あとは、「メモ」の図形に「終了」カテゴリのアニメーションを指定するだけ。すると、表示されていた「メモ」の図形がアニメーションとともに非表示になり、シールをめくったような演出を実現できるようになる。

アニメーション効果の一覧に最適なものが見つからなかった場合は、「その他の終了効果」を選択し、この中から最適なアニメーション効果を選択するとよい。今回の例では「フロート」のアニメーション効果を選択した。これで「シールめくり」のようなアニメーションを実現することが可能となる。

「メモ」の図形に終了のアニメーションを指定

アニメーションの応用例(2)

アニメーションの応用例をもう一つ紹介しておこう。今度の例は、グレースケールで表示されていた画像をカラー画像に変更するアニメーションだ。

まずは、同じ写真の「グレースケール画像」と「カラー画像」を用意し、スライドに配置する。今回は以下の図のような3組の画像を用意した。

「グレースケール画像」と「カラー画像」を配置

続いて、各画像が同じサイズになるように調整し、「グレースケール画像」のちょうど真上に「カラー画像」を重ねて配置する。この作業を行う時は、スマートガイドを上手に活用しながら位置やサイズを調整していくとよい(詳しくは第10回の連載を参照)。

「グレースケール画像」の上に「カラー画像」を重ねて配置

あとは、それぞれの「カラー画像」に「開始」カテゴリのアニメーションを指定するだけ。すると、最初は「カラー画像」が非表示になるため、「グレースケール」の画像だけが表示されるようになる。マウスをクリックすると、アニメーションとともに「カラー画像」が表示され、グレースケールからカラーに画像が変化していくような演出を実現できる。このアニメーション効果には「フェード」などを指定するとよいだろう。

「カラー画像」に開始のアニメーションを指定

さらに「終了」カテゴリのアニメーションを追加すると、画像を1つずつ順番にカラー表示できるようになる。この詳しい指定方法は以下の図を参考にするとよい。緑色のグラフが「開始」のアニメーション(フェード)、赤色のグラフが「終了」のアニメーション(フェード)となる。

終了のアニメーションを追加し、動作タイミングを調整

念のため、このアニメーションの一連の動作をまとめておこう。各画像を左から順番にA、B、Cと考えると、マウスのクリック回数に応じて以下のようにアニメーションが動作することになる。

  • 1回目 ……… カラー画像Aを表示(緑)
  • 2回目 ……… カラー画像Aを非表示(赤) → カラー画像Bを表示(緑)
  • 3回目 ……… カラー画像Bを非表示(赤) → カラー画像Cを表示(緑)

1回目のクリック後

2回目のクリック後

つまり、3つの画像を1つずつ順番にカラー表示できるわけだ。口頭で説明する内容に合わせて画像を強調していく場合などに活用できるだろう。

このように、重ねて配置した要素の表示/非表示をアニメーションで操作すると、ユニークな演出を実現できるようになる。アニメーションの応用例として、各自でもいろいろと試してみるとよいだろう。