Solid State Drive(以下SSD)がパソコン市場に登場した当初、ストレージとしては容量が乏しくしかも高価だったため、導入に踏み切るのを躊躇したユーザーも多かっただろう。また、コントロールICが引き起こす一瞬の停止状態、いわゆる“プチフリ”や、NANDフラッシュメモリへの書き換え回数の上限による“寿命問題”など、信頼性についても疑問符がついた。だがSSDは進化を続け、現在は企業ユースに十分応えられるだけのパフォーマンスを確保したといえる。その筆頭が、Plextorの「M5 Pro」である。

PlextorのM5 Pro。128GBの「PX-128M5P」、256MBの「PX-256M5P」、512GBの「PX-512M5P」の3種類が用意されている

コントロールICはMarvell「88SS9187」、NANDフラッシュは東芝製を採用。ともに信頼性の高さで定評のあるブランドだ

M5 Proの最大の特徴は、企業および上級者向けに設計されたプロフェッショナルレベルのSSDであること。コントロールICはサーバーレベルのMarvell「88SS9187」を、NANDフラッシュには製造プロセス19nmの東芝製を採用する。この両者の組み合わせにより高速なリード/ライト性能を実現し、ランダムリード/ライト94,000/86,000IOPS(Input Output Per Second)、シーケンシャルリード/ライト540/450 MB/秒と、トップクラスの性能を誇る。また、長期間の稼働を想定した信頼性の高さもこのSSDのアドバンテージだ。SSDの寿命は、コントロールICの動作を最適化するファームウェアの性能によるところが大きいといわれている。その点Plextorでは同製品のファームウェア開発に100人以上の自社開発チーム体制で取り組み、最新のファームウェアを適宜ユーザーに提供することで信頼性を高めている。最新のコントロールICやNANDフラッシュを採用するだけでなく、そのハードウェア性能をフルに引き出すためのソフトウェア開発にも余念がないのだ。

また、データをそっくりそのまま正確に保存するために、最新の 128 ビット エラー補正コードを使用した「True Protect」や、不正なデータ読み取りを防止する、最高レベルの AES-256 ビット データ暗号化技術が採用されているなど、データ保護の面でも優れている。まさに企業ニーズや上級者の要求に応える仕様になっているのだ。

「ビジネスにおけるSSDの瞬発力を期待しています」

株式会社Boxioの代表取締役・佐藤大輔氏

このようにプロフェッショナルな領域での利用も想定したM5 Proだが、企業ユーザーのニーズにどのくらい応えられるのか……。実際にM5 Proを搭載したマシンを導入するという株式会社Boxioの代表取締役・佐藤大輔氏に話をうかがってみた。

マイナビニュース(以下MN):SSDを搭載したマシンをオフィスに導入すると決めた理由は何でしょうか?

佐藤大輔氏(以下佐藤氏):弊社はウェブサイトの制作・開発・運営をメインにした会社です。そのためデザインやフラッシュ、プログラミングなどを活用してのコンテンツ制作、システム開発といった業務が主体になります。また、印刷物の企画・デザインなども手がけることもあります。このようなクリエイティブな業務を行う上で、パソコンの動作でなるべくストレスを感じたくないのがその理由です。クライアントのオーダーによっては恐ろしく制作期間の少ない案件もありますし、そうした際に少しでもキビキビ動作するパソコンが理想だったからです(笑)

MN:数あるSSDの中でもPlextorのM5 Proを選んだのはなぜでしょうか?

佐藤氏:私自身はそれほどパソコンの知識があるわけではありませんが、SSD搭載パソコンの導入にあたりウェブなどで調べたところ、M5 Proがプロフェッショナルレベルの製品であることがうたわれていたからです。

MN:M5 Proを搭載したマシンをどのように活用する予定ですか?

佐藤氏:まずはデザインやフラッシュ開発など、コンテンツ制作をするためのメインマシンとして活用する予定です。OSの起動速度が向上したり、画像加工ソフトやフラッシュ作成ソフトの動作が快適になったりすることを期待しています。


MN:そのほかにM5 Proを活用する予定はありますか?

佐藤氏:実は今回メインで使うために組み立てたパソコン用以外に、もう数基SSDを用意してあるのです。時間がなくてまだ作業していませんが、少し古めのパソコンの起動ディスクをM5 Proに換装して、速度的によみがえらせたいと思っています。また、メインマシンをSSD RAIDにすることも視野に入れています。RAIDを構築したことがないので、うまくできるかという不安はありますが……(笑)

MN:SSD搭載パソコンに期待していることは何でしょうか?

佐藤氏:生産性の向上と安全性のアップです。特に前者については、数多くの案件をこなさなくてはならないSOHOやSMB(Small Medium Business)オフィスにはすごく大切なことだと思います。クライアントが要求する納期に間に合わせるために高速に動作するパソコンは、少なからず武器になるのではないかと考えています。また、後者についても大きく期待しています。以前、HDDがクラッシュして大切なデータを消失してしまった苦い経験があります。その点、信頼性の高いSSDならクラッシュの心配が減り、精神的によいです(笑)

メインマシンとして使うために組み立てた自作パソコン。Core i7-3770Kを核にしたハイスペックなマシンだ

メインマシンに搭載した以外にもM5 Proが用意されていた

このように、M5 Pro搭載のパソコンを導入する背景を語った佐藤氏。次回以降、M5 Pro搭載マシンを実際に使った感想をレポートしていきたい。