【連載】
特別なモードを除き、オシロスコープは連続発生している波形をペン・レコーダのように切れ目なく連続して描き続けている訳ではありません。
連続発生している波形の一部を切り取り、表示しては、また切り出し、表示するという動作を繰返しています。つまり、切り出しと切り出しとの間には切り出せない部分があるのです。この切り出せない部分は見ることができませんので、デッド・タイムと呼びます。このデッド・タイムがデジタル・オシロスコープでは非常に大きいのです。これが、アナログ・オシロスコープからデジタル・オシロスコープへの進化の過程において、1つだけ退化した性能です。非常に稀に発生する異常信号をイメージしてください。稀にしか発生しない異常信号が切り出せる(見える)かどうかは、デッド・タイムが大きければ大きい程、確率的に低くなります。つまり、「異常の有無に関する」情報が欠落します。デッド・タイムは波形の見た目にも大きく関わります。
切り出された波形の描き方は最初明るく、だんだんと暗くなるように表示されます。一定時間(数十ms)後には波形は画面から消えてなくなります。次から次と切り出された波形が高速に描かれ続ければ、画面は濃淡(階調)のある豊かな表現となり、波形の挙動が見て取れます。しかし、稀にしか切り出されない場合はまるで一筆書きのような薄っぺらな表現となってしまいます。デジタル・オシロスコープのデッド・タイムは大きいので、階調による「頻度に関する」情報が欠落します。
デッド・タイムが大きいことによる2つの問題を解決したのが、DPOと呼ばれるオシロスコープです。デッド・タイムをアナログ・オシロスコープ並に最小化することに成功し、「異常の有無に関する」情報と「頻度に関する」情報を取り戻すことができました。
画面の中に描かれる波形の濃淡は波形の発生頻度に比例します。濃い部分の頻度は高く、淡い部分の頻度は低いことが読み取れます。ビデオ信号の観測において、輝度の濃淡によって表現された振幅変動や輝度変動などから、ビデオ信号品質の評価をすることがあります。アナログ・オシロスコープと比較して遜色ない濃淡表現を可能としたことにより、波形の観測力を高め、波形の挙動を知ることができます。
早く製品を市場に投入するには、デバッグの効率化が必須です。デバッグ効率化にはキーとなる3つのステップがあります。
です。
異常波形を目で見て、トリガをかけ、異常波形を画面の真ん中に表示できれば、その原因究明を開始することができます。なぜならば、時間的に古い時点に原因があり、そこから時間が経過した時点で異常波形が生じる訳ですので、画面の中央から左側(時間的に過去の部分)に、異常を引き起こす原因が潜んでいることになるからです。表示する時間幅を長くしたり、怪しいとにらんだ別波形を別チャネルに表示し同時観測することにより、デバッグを進めていくことができます。
DPOはデバッグの開始時点における「観測力」が飛躍的に高く、異常波形を目で見ることができます。その後に続くトリガ操作において、著しい効率化を図ることができます。
デバックには明確に3ステップを踏むとよい
著者
稲垣 正一郎(いながき・しょういちろう)
日本テクトロニクス テクニカルサポートセンター センター長
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