3番札所の金泉寺を出て、4番札所の「黒巌山 大日寺(こくがんざん だいにちじ)」までは、田んぼのあぜ道や山道が続く。それも「これって誰かの田んぼのようだけど通ってもいいの? 」と思えるようなあぜ道ばかり。もしこれが1人だったら心細くてしょうがないところだが、3番札所で一緒になった歩き遍路のおじさんが2人いるので心強い。

このような田んぼのあぜ道を歩いて札所へ向かいます

お遍路の道しるべ

荷物をキャスターで引っ張っているお遍路おじさん(お遍路9巡目)は、この山道で荷物どうするんだろう? と思っていたら、山道では荷物を背負って歩き出した。ちゃんと背負えるようにしてあるのだ。「持ちにくくないですか?」と聞いたら「そうでもないよ。道のり長いからリュックより荷物は転がして歩いた方が楽なんだ」と言っていた。そうなのか~。確かに長時間歩いていると、リュックの荷物が肩に食い込んでくる。なるべく荷物は減らして来たつもりだけれど、普段はイラストレーターで座り仕事の多い私は、歩きなれていないのでだんだん疲れてきた。

4番札所の大日寺は山の上にあるので、登りの山道が続く。ふ~、おじさんたちについて行くのが精一杯。やや遅れながらも一生懸命おじさんたちの後を歩く。しかし、なかなか目的の札所にはたどり着かない。そうして3番札所から約6kmの道のりを1時間40分くらいかけ、やっと4番札所の「大日寺」に到着した。

三十三体の観音像が安置されている「大日寺」

大日寺は山の木に囲まれた静かなお寺だ。疲れきっていたので正面からの山門の写真を撮り忘れて、裏面からの写真を撮る。この山門は上層に鐘がついていてちょっと変わっている。大日寺の手水は蛤水(はまぐりみず)と呼ばれる白く濁った水が湧き出ていて、その水を飲むと胃腸に良いとの言い伝えがあるそうだ。なんだか濁っている水より透明の水の方が清潔っぽいような……と思ってしまった。

大日寺山門。正面から撮れずごめんなさい

大日寺という寺の名にあるように、ご本尊は弘法大師が彫ったと言われている大日如来。本尊は秘仏なので見られないが、代わりの仏像が置かれている。また、本堂から右手の大師堂をつないでいる回廊には、西国三十三所の木で造られたという三十三体の観音像が、ずら~っと安置されている。それらはガラス越しに拝見することができる。江戸時代の明和年間(1764~1772)に、大阪の商人の信者が奉納したものだそうだ。仏像好きな私だが、先ほどの歩きで疲れきってしまい、ゆっくり見物するどころではなかった。大丈夫か私。すると、もう1人のお遍路おじさんさん(お遍路1巡目)もバテているようだった。

大日寺本堂

大日寺大師堂

しばらく座って休憩して、次の札所へ出発した。今度は舗装された下り道だから、楽そうだ。しかし、今晩予約した6番札所「安楽寺」は、まだまだ先。本当にたどり着けるのだろうか? 疲れと時間との戦いに早くも降参したくなってきたが、なるべくいそいで5番札所「地蔵寺」へ向かう。