【連載】

今日のひとことfrom NYT - ビジネスで使ってみたい英語表現

9 1日2ドルの収入でも地球温暖化を防ぐために生活を変えろ…と言えますか?

    五味明子  [2009/04/17]

    地球温暖化の要因はCO2排出量の増大による、というのが一般的な定説で、そのCO2を吐き続けているのは先進国、というのもまたよく聞く話である。だから先進国が率先してCO2削減に励むのは当然の流れといえるのだが、では、まずしい国々のまずしい人びとが、生活上やむを得ず、CO2以外のモノを大量に大気中に排出し、それが温暖化の原因になっているとしたら、我々はどうリアクションすべきなのか……ということを考えさせられるのが今日のひとことである。

    In terms of climate change we're driving fast torward a cliff, and this could buy us time.

    -- Dr. Veerabhadra Ramanathan

    気候変動の観点から言えば我々は猛スピードで断崖に向かいつつあるが、コレが我々に時間稼ぎさせてくれるかもしれない

    オリジナルはこちら → Third-World Stove Soot Is Target in Climate Fight

    薪や炭、有機の固形燃料などを燃すときに生じるすす(soot)がCO2の次に温暖化を促進している物質、と聞くと驚く人も多いのではないだろうか。記事によれば地球温暖化の要因のうち40%をCO2が、18%をすす(ブラックカーボン: black carbon)が占めているというから、結構な割合といえる。

    このすすを出しているのが、アジアやアフリカの、電気や水道もろくに通っていないようなまずしい地域で生活必需品として使われている"ストーブ"だ。オリジナル記事ではインドの小さな村が紹介されているが、彼らは暖を取るにも、料理をするにも、お湯を沸かすにも、何にでもこの煤煙をもくもくと出すストーブを使う。すすは熱をもったまま空気中を旅し、やがてヒマラヤの山河を溶かすほどの威力をもつ。洪水や干ばつが起こったときに真っ先に被害に遭うのは、やはりまずしい人びとだ。

    解決策は簡単で、ストーブの使用をやめさせればいい。発言者のRamanathan博士(世界トップクラスのインド人環境科学者)が言う"コレ(this)"とは、村人たちがストーブの使用をやめることを指している。すすが出なくなれば、温暖化のスピードも一時的にゆるむ、だからより環境にやさしいストーブのリプレースを進めればよい - という主旨だ。ちなみにストーブのすすは、健康にも非常によろしくない。

    もっともコトはそう簡単にはいかない。1日の収入が2ドル程度というまずしい彼らに、新しくて環境にいいストーブを買う金はないし、仮に買い与えたとしても、伝統食を作れなくなるなど彼らの生活パターンは大きく変えられてしまう。第一、彼らは"地球温暖化"などという言葉すら聞いたことがないのだ。意味も知らない目的のために、いきなり生活必需品を奪われるようなような施策に誰が従うだろうか……ということで、さて、どうしたものでしょうか。

    使いこなしたい英文法 - 推量&可能性のcould

    日本人は助動詞の使い方が苦手と言われるが、逆に言えばcouldやwouldを使いこなせるようになれば、話すときも書くときも表現の幅が大きく拡がる。いろいろなシチュエーションで使えるcouldだが、ここでは「そういうことだってありうるよ」という程度の可能性を示している。

    たとえば、3月29日にメルボルンで行われたF1オーストラリアGPで、ホンダからチームを譲り受けたブラウンのドライバーがワンツーフィニッシュを果たしたが、そのあまりの強さに、Brawns could win every race.(ブラウンは今期すべてのレースで勝利するかもしれない)といくつかのメディアが報じた。このcouldも同じ使い方、同じ程度の可能性を表している。

    ちなみに過去形にする場合は、this could have bought us time.(コレで時間稼ぎできたかもしれなかったのに)とhaveを使った完了形になる。

    覚えておきたい表現 - 時間は"稼ぐ"のではなく"買う"もの?

    「時間を稼ぐ」という表現は、英語では「時間を買う」のbuy timeになる。buyのあとに人を目的語としてとれば「~に時間を稼がせる = ~に時間稼ぎをさせる」という意味に。たとえば、I'll buy you time.なら「あなたのために時間を稼いでおきます」という感じだ。

    ボキャブラリーを拡げる - 環境問題の関連用語をまとめてチェック

    同じ単語を何度も使わず、なるべく違う表現を用いるというのは、英語を話す/書くときに強く意識したいことのひとつ。ボキャブラリーの多さは教養の深さを表す場合もあるからだ。語彙を増やす方法のひとつに、同じテーマの記事を何本も読むというものがある。環境問題なら環境問題の記事ばかり、という具合だ。何本も読むのはキツくても、今回のオリジナル記事のように少し長めのものであれば、以下に挙げるように1つのテーマに関するさまざまな語彙が含まれている。英文記事などを読むときに参考にしてほしい。

    • global warming
    • the planet's warming
    • climate change
    • global climate change
    • global environment
    • black carbon
    • soot
    • green house gas(es)
    • carbon dioxide
    • CO2 concentration
    • emission
    • melt glaciers / glacial melt
    • drought
    • flood
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