携帯、そしてNokia - それは我がライフワーク!?

香港を拠点に海外携帯電話の研究活動を行っている筆者だが、香港に居住を始めた8年前は携帯電話にはいっさい興味がなく、当初は会社に支給されたEricsson製の端末を仕事の道具として使うだけだった。その後香港で端末を買い換えていくうちに携帯電話の面白さに目覚め、やがては携帯電話ショップのショーケースを眺めるのが日課になっていた。海外で主流のGSM/W-CDMA方式は携帯電話の回線契約(SIMカード)と電話機(端末本体)が切り離されているため、端末の買い換えや使い分けも自由自在だ。話題の新製品や格安の掘り出し物などその場で「欲しい」と思えば即座に購入し機種の変更ができる。お金をためて清水の舞台から飛び降りる思いで購入したハイエンド端末や、思いも寄らぬ店で見つけたレアな端末、また友人たちから中古で入手した不要端末などなど、気がつけば手元には400台以上の海外携帯電話が集まっていた。

中でも個人的に好きなメーカーはNokiaである。手持ちのコレクションの中でも実はNokiaが約140台と全体の1/3を占めているほどだ。海外でシェアトップのメーカーであるから普段から目にする機会が多いのはもちろんなのだが、出てくる新製品の多くが「欲しい!」と思わせる魅力的な端末揃いなのだ。今回は筆者個人のコレクションの中から、魅力的なNokia端末のいくつかを紹介しよう。

Nokia 8810 - 世界初のプレミアム携帯、

1998年に発売された"Nokia 8810"は、クロームメッキされたボディ、アンテナ内蔵、手のひらに乗る小型サイズ、10万円を超える価格など、当時のあらゆる携帯電話とは一線を画した斬新的な端末で、その美しさと価格から「携帯電話界のポルシェ」とも呼ばれた話題の製品だ。万人向けではなく高価なプレミアムモデルというカテゴリの端末は世界初で、機能だけではなくデザインや質感で携帯電話の付加価値を上げた唯一のモデルであった。このプレミアムラインはその後も8850~8800と後継機がリリースされており、「Nokia 8000シリーズ=高級機」という地位を確固たるものにしている。

Nokia 8810: 真っ白な箱にシルバーの文字などパッケージも上品だ

箱を開けたところの演出もすばらしく、まさにプレミアムモデル!

当時はこんなハイセンスな端末はほかになかった

こちらは最新となるNokia 8800、パッケージもやはり高級だ

Nokiaの「顔」と言えるCommunicatorシリーズ

Nokiaの高機能ビジネス向け端末が"Communicator"シリーズである。最近ではQWERTYキーボードを搭載したビジネス向けスマートフォンが多くのメーカーからリリースされているが、初代モデルであるNokia 9000が発売された当時、メールやFAX、ビジネス文章を1台で作成できる端末はこれのほかになかった。大柄なストレート形状をしており、横に開くと横長の大画面液晶とフルキーボードが現れるさまは、当時から「近未来のデバイス」を感じさせるものであった。こちらも9000~9300と派生モデルを合わせて11モデルがリリースされており、映画の小道具としてもよく登場している。今年上半期には最新モデルとなるNokia E90も発売予定だ。価格も高く「高機能&高価格」なNokiaのフラッグシップと言えるシリーズになっている。

歴代のCommunicatorシリーズ

開くとQWERTYキーボードが現れる。内部OSには初期はGe OS、後期はSymbianを採用している

デザイン端末も豊富なラインナップ

多くの機種をリリースしているNokiaの中にあって、「デザインケータイ」と呼べるシリーズが2004年にリリースされた"Distinctly Bold Collection"である。1920年代のアール・デコスタイルを現代にアレンジした独特のデザインが特徴的で、主に女性から大きな支持を受け2年間というロングセラーモデルとなった。2005年末からは後継となる"L'amour Collection"が登場。エスニックイメージと高級な質感をインスパイアした独特なデザインをしており、7300シリーズとして5機種がシリーズ展開されている。なお7360は日本でもノキア・ジャパンから発売中だ。中でも7280、7380はスティック型、数字キーパッドが存在しない特徴あるモデルだ。ミラー仕上げの表面やジョグホイールによる入力など、携帯電話というよりも女性向けのアクセサリそのものであり、ここまで大胆な製品を発売できるのはまさに多機種を展開しているNokiaならではであろう。

デザインに特化したDistinctly Bold CollectionとL‘amour Collection

7280、7380は携帯電話とは思えない形状だ

変わったスタイルギミック

7280、7380に限らず変わったスタイルやギミックを持った端末も多い。ゲーム携帯として登場したN-Gageや、メッセージング端末として登場したNokia 3300USA、インターネット端末とメディアプレーヤーを融合したNokia 7710などは両手で持って操作することを考えたポータブルゲーム端末形状で、液晶を中心に左右にキーの並ぶ形状がユニークだ。通常は普通のストレート形状ながら、数字キーパッド部分を開くとやはり画面を真ん中にして左右にQWERTYキーボードが現れる6800シリーズやE70はギミックが面白い。他にも日本でも発売された木の葉形状のNokia 7600、古いところでは映画で一躍有名になったバナナフォンことNokia 8110などもユニークな形状をしている。

ユニークなデザインギミックを持った端末も多い。左上から時計回りにE70、6800、7710、3300USA、N-Gage

日本でも発売されたNokia 7600は限定ピンクのスリーブもあった。8110は映画で一躍有名になったモデルだ

Nokiaの魅力は多数の端末バリエーション

「海外ではボリュームゾーンを狙ったローエンド~ミッドレンジ端末が市場の中心モデル」と言われることがある。実際に各メーカーの売上の大半を占めるのはそれらのモデルだろう。しかしここに紹介したように、デザインや機能にこだわったモデルも海外には多数存在しており、その数は日本の比ではないのだ。特にモデル数の多いNokiaには魅力ある端末が多数揃っている。

さて次回は…筆者のNokia端末との出会いやその魅力にハマったきっかけなどについて語ろうと思っている。なぜ人生を変えるほど(←本当です by担当)Nokiaにのめり込んでしまったのか、読んで真似をするか、別の教訓とするかは読者の判断にお任せしたい。