勝ち組・負け組という言葉が一時多用されたことがあります。人生の勝ち組とは、あまり好きな言葉ではありませんが、ここで考えるのは大金持ちになることでも高い地位に就くことでもありません。あくまでも自分らしく、自分が希望する人生を過ごせるかどうかなのです。つまり自分自身の人生の達人になるには、どうすればよいかを考えてみたいと思います。

「学びの時期」から「実践的知識習得の時期へ!

~前回の続き(Step5)投資の勉強を始めよう~

当面は万一の場合の生活費や医療費の貯蓄、いずれ必要になる買い替え商品の為の貯蓄が優先しますか、それが一応の準備ができたら、長い目で見た資産形成のスタート時期となります。若い世代にとって長期的に資産を円滑に形成するには、預貯金だけでは不十分でしょう。短期的には損失が生じても、長い目で見て将来に備える為には、何かしらのリスクをとって投資も考えることは必要です。

しかしその時期になってから、何に投資するかに迷っていては、判断を間違いかねません。その時期までに投資の勉強をある程度進めておく必要があります。

株式・券、円建て・外貨建て、積み立て型商品、先物やオプションなどの派生商品と取引など、最初にそれぞれの金融商品のしくみ、メリット・デメリットなどをしっかり把握しましょう。

同時に比較的仕組みが簡単で、自分で状況を把握しやすい株式などの気になる銘柄を1年以上チェックしていきます。過去の株価の変動はさかのぼって把握できますので、その時々の社会状況と株価の変動の関係性などを1年間チェックしていくと、その会社の株の特徴、買うタイミング、売るタイミングなど、いろいろなことがわかるはずです。そのように時間をかけてじっくり取り組みましょう。

投資に限らず、新社会人は当面のお金のこと、少し先のお金のこと、先々のお金のことのようにそれぞれの段階に向けて少しずつ並行して準備していく時期です。同時に復習になりますが、「正確に知る」は、新社会人として重要なことです。今までの学校での勉強は「正確に知る」ための基礎的力をつける時期だったと思ってください。

目標設定こそお金の達人への最短距離

ファイナンシャルプランナーの勉強会で、アメリカのビックビジネスに成功した人の過半数が、自室の見えるところに将来の夢や目標を掲げていたことを教わりました。

考えてみれば、私が社会人になってから、会社の上司などに言われてきたことも、まったく同じことでした。私は建築の設計者として、社会人生活をスタートしました。最初に言われたことは、「デザイナーになりたかったら、まずは自分の人生をデザインしろ」でした。

当時の日本にはファイナンシャルプランニングの概念はほとんどなかったと思いますが、言われたその言葉は、まさにファイナンシャルプランニングの中のライフプランニングそのものです。

また、その後営業職にも携わりましたが、またしても研修で上司に言われたことが、「自分の人生設計がしっかりできている営業マンほど、優秀営業マンに成長する」でした。考えてみれば、自分の人生設計もできていない営業マンに、顧客の人生を左右する住まいをプレゼンテーションできるわけがないのです。

では、試しに自室の壁に目標を張ってみてください。「これだ! 」という目標が設定できたでしょうか。即、設定できた人もいれば、アレコレ考えがまとまらない人もいるでしょう。

一旦「これだ! 」と思って掲げた目標も日がたつにつれて陳腐化して見えることもあるかもしれません。こんな時に、アメリカで開発した手法があります。私はこの方法をライフプランニングだけでなく、住まいの取得を考えている人にも勧めています。実際にその方法を試してみた若い夫婦の中には、それまで考えてきた間取りと、まったく違う間取りに変更になったケースもあります。

最後に ~夢を紡ぐ~

では、今現在の自分の考えをまとめるにはどうすればよいでしょうか。下記の図は住まいの取得に関する書き方の見本ですが、ライフプランニングやお金のことに置き換えて考えてみてください。セミナーなどで実際に書いてもらうと、最初は数行書き出すのが精一杯のことが少なくありません。それでも毎日眺めていれば、次第に埋まっていくので心配ありません。

書き方

  • 用意するもの:A3程度の白い紙1枚、鉛筆と消しゴム

  • 今の現実はあまり考えない

  • できるかできないかは考えない

  • 順不同で書き出す

  • 2枚にしないで、必ず1枚にまとめる

  • 誰にも相談しない。夫婦は別々に互いに相談せずに書いて、ある程度でき上ったら突き合わせて夫婦としてのシートを作成する。同じだと思っていた夫婦の考えも、まったく違っていたことに気づきます。

  • 壁に張って、毎日眺める(夫婦の場合は引き出しなどにしまって毎日眺める)

  • 気が変わったら、その都度修正する

人生目標のサンプル

  • 老後はUターンしたい

  • ある程度力を付けたら独立して起業したい

  • 今の会社で生涯安定して勤務したい

  • 外国で仕事をしたい

  • 農業に取り組みたい

  • ゆくゆくは親の仕事を継ぎたい

  • 若い間は精力的に働き、お金を貯めて早期退職し、第2の人生をのんびり過ごしたい

  • 今の業界で名を残したい

実行の手順

「目標を立てる」⇒「正確に社会の仕組みを理解する」⇒「お金の仕分けの達人になる」⇒「実践して人生の達人へ」

<著者プロフィール>

佐藤 章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。

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