今回は前回に引き続き、CLI(Command Line Interface)に加えてWebブラウザによるGUI(Graphical User Interface)にも対応しているネットギア製のスイッチについて、CUIと比べた場合のGUIの敷居の低さを見ていくことにしよう。

対象機種は前回と同じで、シンプルな24ポート ギガビットスマートスイッチ「GS724T」と、VLAN(Virtual LAN)・PoE(Power over Ethernet)・QoS・DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバなど、多様な機能に対応しているPoE+対応 24ポート L2ギガビットフルマネージスイッチ「GSM7224P」だ。

GUIならではのDevice View、それと統計情報の表示

前回はTCP/IP設定とVLAN設定を例にとって、主として設定変更について取り上げたが、今回は状態確認の機能を見てみよう。

GUI画面の中でも面白いのは[System]タブ以下の[Device View]で、ポートごとのリンクアップ状況をグラフィック表示する点だ。しかも、スイッチ本体の前面パネルをそのままトレースした画面になっているので、スイッチが離れた場所にあっても、あたかも目の前にあるかのようにして動作状況を把握できるという優れものだ。ただし、これを利用するにはJavaが必要になるようだ。

以下の「GS724T」の画面例では3個のポートがリンクアップしている。ポートだけでなく、左側に並んでいるLED表示灯まで再現しているのだから芸が細かい。

「GS724T」のGUI画面にある[Device View]。スイッチの現物を見ているのと同じイメージである(ただしケーブルはないが)

これが「GS724T」の外見。[Device View]の画面が実物を忠実に再現しているのが分かる

以下の「GSM7224P」の画面例では2個のポートだけがリンクアップしているが、これは筆者の自宅にある機器が少なすぎて、24ポートも埋められないためである。

「GSM7224P」のGUI画面にある[Device View]

これが「GSM7224P」の外見。こちらも、[Device View]の画面が、実物を忠実に再現しているのが分かる

文字ベースの情報表示ならCLIでもGUIでも実現可能で、単に「どちらが慣れているか」「どちらが楽か/面倒か」という違いでしかないが、この[Device View]になると、CLIでは実現不可能である。

続いて、統計情報確認の機能を見てみよう。高機能なスイッチにはお約束の機能である。

「GS724T」の場合、[Monitoring]タブの[Ports]を選択して、画面左側の一覧で[Switch Statistics]をクリックすると、スイッチ全体の統計情報を確認できる。さらに、画面左側の一覧で[Port Statistics]をクリックすると、ポートごとの統計情報確認も可能である(「GSM7224P」とはメニューの所在が異なる点に注意)。

「GS724T」の統計情報表示例

「GSM724T」でポートごとの統計情報を表示させた例

「GSM7224P」の場合、[System]タブの[Management]を選択して、画面左側の一覧で[Switch Statistics]をクリックすると、スイッチ全体の統計情報を確認できる。

「GSM7224P」のGUI画面で、スイッチ全体の統計情報を確認した例

さらに、[Monitoring]タブの[Ports]を選択して、画面左側の一覧で[Port Statistics]をクリックすると、ポートごとの統計情報を確認できる。[Port Detailed Statistics]をクリックすると詳細な情報確認が可能だが、こちらはポートごとに画面を切り替える形になる。

「GSM7224P」でポートごとの統計情報を表示させた例

ポートごとに個別の画面があり、詳細な情報を得ることもできる

このほか、いずれの機種でもEAP(Extensible Authentication Protocol)の統計情報などを表示する機能がある。IEEE802.1Xを利用している場面では有用だろう。

ちなみに、「GSM7224P」は本連載の第7回で取り上げたPoE(Power over Ethernet)に対応したスイッチだ。そのため、PoE関連の設定や動作状況についても、GUI画面で確認・変更できるようになっている。

「GSM7224P」のGUI画面にある、[PoE]以下の[PoE Port Configuration]画面。ポートごとに、PoEの動作状況を確認できる

GSM7224Pのサイトマップ機能は気が利いている

CUIでもGUIでも同じことだが、利用可能な機能の全貌を一瞥するのは、意外と難しい。個別の機能については分かっても、全体像というのは意外と見えにくいものである。

その点、「GSM7224P」のGUI画面では、右端に[Index]というタブを用意しているのがありがたい。これは早い話がサイトマップのようなもので、設定画面の項目一覧を階層化してズラッと並べてある。それぞれの項目名が当該設定画面へのリンクになっているので、ここから目的の機能にパッと移動できる。

実のところ、いちいちメニューを辿ってあちこちの画面を行き来するよりも、こちらをポータルにする方が楽かもしれないと感じた。タブ機能を備えたブラウザであれば、[Index]画面とは別のタブで個別の設定画面を開くと、さらに「異なる設定画面間の行ったり来たり」を少なくできる。

「GSM7224P」の[Index]画面。いわゆるサイトマップである

CLIでコマンドのリストや使い方について調べようとすると…

ちなみに、CLIで利用可能なコマンド、あるいはスペースで区切って列挙する引数などについて調べようとすると、いささか手間がかかる。

まず、telnet接続したところで「?」と入力してコマンド一覧を表示する。その中から目的の分野に対応するコマンドを選んで、さらに「<コマンド名> ?」と入力する操作を繰り返すのである。

まず「?」と入力すると、コマンド一覧が現れる

試しに「show」コマンドの引数を調べてみよう。それには「show ?」と入力する。このとき、引数一覧を表示するだけでなく、プロンプトに「show」を自動入力するので、それに続く部分だけを、上に表示した一覧から選んで入力すればよい。

「show ?」と入力すると、showコマンドに続けて指定できる引数などを確認できる

さらに「show network ?」と入力すると、その下の引数も確認できる。入力補助が機能するのは同じである。

「show network ?」と入力すると、「show network」コマンドに続けて指定する引数などを確認できる

前回に「長いコマンドの例」として取り上げた、「show network ipv6 dhcp statistics」も、こうやってひとつずつ一覧を確認しながら探していくことで、どういうコマンドを入力すればよいかが分かる。もっとも、どのコマンドで何ができるかについては、マニュアルを参照しなければならないが。

なお、「GSM7224P」のCLIには「Ezconfig」という機能があり、CLIによる設定の難しさを緩和しようとする努力はなされている。とはいえ、ネットワーク機器の扱いに慣れていないユーザーにとっては、やはりWebブラウザでGUIを用いて設定の確認・変更を行う方が、敷居が低く感じられることだろう。

利用可能な機能が膨大なので、本稿だけでそのすべてを紹介することはできないが、「ネットギア製スイッチのGUIなら試してみる気になる」と感じていただければ幸いである。