人間とはぜいたくなもの。ミドルタワーのような大きいPCはイヤだけど、性能も拡張性もメンテナンス性も妥協したくない、しかも価格はお安めでなんてムチャをついつい考えてしまう。そんな無理難題にみごと応えてくれるのがエプソンダイレクトのマイクロタワーPC「Endeavor MR6000」だ。コンパクトなボディに高性能と使いやすさが詰まっている。

評価機の主な仕様  [CPU] Intel Core 2 Duo E8500(3.16GHz)  [チップセット] Intel G45 Express  [メモリ] 2GB  [HDD] 250GB  [ディスプレイ] なし  [サイズ/重量] 約W179×D396×H368mm/約10.2kg  [OS] Windows Vista Home Premium  [直販価格] 118,650円

HDDスウィングアクセスでラクラク拡張

エプソンダイレクトの「Endeavor MR」シリーズは、コンシューマー向けのデスクトップPC。従来はスリム型で利用できる拡張ボードがロープロファイル仕様に限られていた「Endeavor MR3500」のみのラインナップだったが、「Endeavor MR6000」では、通常サイズのボードが利用できるマイクロタワー型となっており、拡張性と使いやすさが格段に向上しているのが最大の特徴だ。

その「Endeavor MR6000」では、同社のビジネス向けデスクトップPC「Endeavor MT7900」と同じきょう体を採用し、カラーリングを白から黒に変更。スタイリッシュで引き締まったイメージに仕上がっている。その大きな魅力は、高さ368mmのコンパクトなサイズながら、高い拡張性を備えていること。内蔵3.5インチベイを3基、5インチベイを2基備えているほか、拡張スロットは長さが最大312mmまで対応と奥行きのあるチューナーボードやグラフィックボードにもラクラクと対応できる。

メンテナンス性の高さも大きなウリだ。側面パネルの固定に手回しネジを採用し、ドライバーいらずで内部にアクセスできるのをはじめ、内蔵3.5インチベイには「HDDスウィングアクセス」を採用。これは、通常は背面側に向いているベイを側面側に回転させられるというもので、ボードやケーブルにジャマされずスムーズにHDDの増設作業ができる。さらに、ベイの回転によりケース内の空間が広がるため、メモリの増設もラクになるというメリットもある。拡張性と使いやすさを両立するナイスな構造だ。

手回しネジの採用により、側面パネルをドライバーいらずではずせる

ベイを完全に側面へと回転させられる便利な「HDDスウィングアクセス」

シングルからクアッドコアまで充実のBTO

側面から見たところ。スロットは最大312mmまで対応と長い拡張ボードにも対応できるのが魅力

チップセットにはグラフィックス機能を内蔵する統合型のインテルG45 Expressを採用。そのグラフィックスは「インテル GMA X4500HD」で、H.264、MPEG-2、VC-1とBlu-rayなどハイビジョン映像で使われる動画フォーマットの再生支援機能を搭載しているのが大きな特徴だ。HDMI出力を備えているので、大画面テレビに接続して動画をのんびりと楽しむこともできる。

BTOメニューが充実しているのも見逃せない。CPUはシングルコアのIntel Celeron 430から、デュアルコアのIntel Pentium E5200、Intel Core 2 Duo E7400/E8500/E8600、さらにはクアッドコアのIntel Core 2 Quad Q8200/Q9400/Q9550/Q9650までズラリと並ぶ。Celeronを搭載した最小構成ならば、VistaのHome Basicも備えながら約6万円とかなりの低価格。エンコードなどヘビーな処理を求めるならばクアッドコアをチョイスできるなど、予算や目的に合わせて選べるのがうれしい。

CPUだけではなく、メモリは1GB~4GB(32bitOSでは使用できるのは約3GBまで)、HDDは160GB~1TBまで用意されており、RAID0/1/5の構成で注文も可能だ。さらに、グラフィックボードもローエンドのNVIDIA GeForce 9500GT、ハイエンドのATI Radeon HD 4850などがラインナップされており、バリバリの3Dゲームマシンとしても仕上げられる。加えて、CAD/CG向けにATI FireGL V3350やNVIDIA Quadro FX1700 といった選択肢もある。この柔軟性の高さは実に魅力的だ。

オンラインRPGなら十分に対応できる

今回の試用機は、Core 2 Duo E8500にNVIDIA GeForce 9500GTが搭載されており、BTOメニューから考えると、ちょうど中間あたりに位置するスペックといえる。価格的には10万円ほどだ。これで、どこまで性能を持つか各種ベンチマークを試してみた。

美しいグラフィックで高い性能を求める3Dゲーム「ロストプラネット」では、プレイに支障のない目安となる30fpsを超える数字を出しており、最新のゲームでも高い解像度を設定しない限り、遊べる性能を持っているといえる。逆にハイビジョンクラスの解像度でゲームを楽しみたいユーザーは、ATI Radeon HD 4850をBTOで選ぶのがベターだろう。

その一方で、オンラインRPG「ファイナルファンタジーXI」のベンチマークソフト「Vana'diel Bench 3」では、非常に高い結果を出している。ハイレベルな3Dを使っていないオンラインRPGであれば、十分快適に遊べそうだ。

PCMark05 PCMark
8113
3DMark06 3DMark
4900
ロストプラネット Snow Cave
33.4 42.2
Vana'diel Bench 3 High Low
7422 10630

ユーザーの幅広い要求に応えられる1台

前面には、コンパクトフラッシュやSDカード、メモリースティックに対応するマルチカードリーダーを標準装備し、デジカメの写真などを取り込みやすくなっているほか、USBポートを3基も用意。しかも、コネクタ部分の幅が広いUSB機器でも同時に接続できるように、USBポート同士の間隔が大きく空いているなど、使いやすさを追求している。

フロントパネルには3基のUSB2.0端子やマルチカードリーダーなどが備わっている

背面はスッキリしている。ファンが背面に集中しているため、前面側はそれほど動作音を感じない

充実のBTOメニューによって、最初の1台にも最適な低価格PCからハイビジョン動画編集もOKの高性能PCまで構築できる幅広さに加え、メンテナンス性の高さと使いやすさは、さすが長年ヘビーユーザーの要求に応えてきたエプソンダイレクトならでは。注文から最短2日で発送してくれるうえ、修理の際はセンターに届いてから最短1日で修理を終えて返送する体制が整えられているのも心強い。

さて、今回は使い勝手やベンチマークを中心にチェックしてきたが、次回は別途ラインナップされている地デジ対応モデルの魅力に迫っていきたい。

■評価機の仕様
型番 Endeavor MR6000
CPU Intel Core 2 Duo E8500(3.16GHz)
チップセット Intel G45 Express
メモリ 2GB
HDD 250GB
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
グラフィックス NVIDIA GeForce 9500 GT
ディスプレイ なし
オーディオ Intel High Definition Audio
ネットワーク 10/100/1000BASE-T
インタフェース USB2.0×7、PS/2×1、VGA出力ほか
サイズ/重量 W179×D396×H368mm/約10.2kg
OS Windows Vista Home Premium
直販価格 118,650円