【連載】

異国情緒に触れるモロッコの旅

5 モロッコ人も憧れる美しきリゾート地・エッサウィラ

    川上祐子  [2008/06/11]

    色彩あふれる港町 - エッサウィラのメディナ

    海辺の町で有名なエッサウィラ

    マラケシュからバスで3時間ほどのエッサウィラという町に向かった。エッサウィッラは、モロッコ(ほぼ)一周の旅の最終目的地。モロッコ人にとって憧れでもあり、ヨーロッパから訪れる観光客も多いというリゾート地である。

    到着が近づくと、白い建物が建ち並ぶ住宅地が見えてきた。いかにもリゾートらしいさわやかな町並みである。宿探しも兼ねて、まずはメディナ(旧市街)へ向かった。ここエッサウィラのメディナは、大西洋沿いの港町であったことから交易の場として紀元前から栄えた古い町で、2001年には世界遺産にも登録されている。中を歩いてみると、建造物など確かに古いが、通りが広く整然としていて清々しい印象を受けた。18世紀以降各地から芸術家たちが集まってきたというが、その影響なのか、他の町では見られないようなギャラリーがいくつかあった。展示されている絵画は、古い町並みを再現した作品から前衛的なものまで、バラエティに富んだ作品が飾られていた。

    メディナ内のホテル。建物のほとんどがこのように白い壁と青い窓だった

    メディナ内で見つけた宿に荷物を置き、スーク(市場)をのぞいて回った。港町だけあって新鮮な魚や果物、香辛料など豊富な食材が山盛りに並べられていた。また、エッサウィラは美容や健康にいいとされる「アルガンオイル」の産地でもあるので、そういった化粧品や日用品が売られていた。スークを抜けると、エッサウィラの伝統工芸でもある寄木細工の工房やアート本を扱う書店など、芸術に関連する店がいくつもあり、たくさんの芸術家たちがこの町を好んでいた歴史を感じとることができた。

    色鮮やかなラグがズラリと並べられた路地

    ワゴンに乗せて売られていたイチゴをミネラルウォーターで洗って食べる女性

    これまでモロッコ各地にあるメディナをいくつか歩いてきたが、どの町のメディナもそれぞれ特徴があり、雰囲気の違いがあることがわかった。だがどのメディナも共通して、古くから伝わる伝統や文化が随所で守られていることを実感した。だからこそ、生活の場である町自体が、世界遺産になり得たのだろう。

    ビーチ沿いのカフェで、カクテルを

    メディナの南側の門を出ると、目の前に美しいビーチが広がっていた。パラソルの下でくつろぐ観光客や大道芸の練習をする芸人など、それぞれ思い思いにビーチでの夕暮れを楽しんでいた。

    大きな麦わら帽子のようなパラソルがかわいらしい

    ジャグリングの練習を黙って見学中の地元の子どもたち

    私も溜まった旅の疲れを癒そうと、観光をひと休みしてビーチ沿いのオープンカフェに入った。モロッコの国教であるイスラム教では飲酒が禁じられているため、これまでメニューにアルコール類がなかった。だが、エッサウィラにきて初めてお酒を目にし、早速カクテルを注文。久しぶりにお酒を飲みながら、水平線にゆっくりと沈む夕日をぼんやりと眺めていると、心も身体もほぐれた。海は沖にかけて青が次第に濃くなり波も穏やかで、長いこと眺めていても飽きなかった。マラケシュからたった3時間ほどで海が見れるなら足を伸ばしてみよう、とやってきて、本当に正解だった。

    海からの風が気持ちいいオープンカフェ

    念のため氷なしにしてもらったジントニック

    これで、私のモロッコの旅は終了です。14日間という日程は自分のこれまでの旅の中では長いものでしたが、モロッコの北から南まで町から町へ移動し、見るものすべてが新鮮で衝撃的に映ったので、あっという間に過ぎました。本文では紹介できませんでしたが、旅の途中で出会ったモロッコの人々は、最初は頭のいい商売上手という印象でしたが、純粋で家族思いでユーモアのセンスが抜群の働き者ばかりでした。彼らとの出会いによって、旅の記憶が色褪せない素晴らしいものとなりました。モロッコは、これから増々発展し、住む人の生活も変わると思いますが、素朴でフレンドリーな国民性は変わらずにいてほしいと、遠くから願うばかりです。

    大きな夕日で辺りが真っ赤に染まった夕暮れ

    これまで全5回、読んで下さりありがとうございました。これからモロッコに行かれる方がいましたら、この連載を参考にしていただけると幸いです。それでは、またいつか"想像をことごとく裏切られる"旅で、お会いできる日まで。

    プチ情報: モロッコの雑貨

    モロッコには、かかとを踏んだ状態の革のスリッパ(バブーシュ)に代表される革製品をはじめ、たくさんの魅力的な雑貨がある。バラから抽出されるバラ水や本文中のアルガンオイルといった基礎化粧品、モロッコ女性が使うための色鮮やかなストール類、現在も砂漠で取れるアンモナイトなどの化石……と数え上げたらきりがない。カラフルなランプやモザイクタイルが可愛いテーブル等のインテリアも人気があるようだ。旅が終わってからもモロッコの余韻に浸れるおみやげをぜひ探してみては?
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