【連載】

Microchipの最新デバイスを試す - 最新SMPSデバイスを試す

1 SMPSデバイスを使って定電圧定電流電源を製作

    後閑哲也  [2010/09/13]

    1-1:SMPSの特徴

    PICマイコンで有名なMicrochip Technology。本連載では、同社のデバイスを活用して色々と試していきたいと思います。連載の最初としては、Microchipが最近、最も力を入れて開発、販売している電源用のdsPICである「SMPSファミリ」と「FETドライバ」を試してみましょう。試すのは、最近リリースされた第2世代SMPSファミリで28ピンの「dsPIC33FJ16GS502」と耐圧を30Vまで高めたFETドライバです。

    このSMPSファミリは、DSP機能を内蔵した16ビットマイコンファミリの1つで、最大の特徴は、何と言ってもスイッチング電源制御用として用意された、高速PWM、高速A/Dコンバータ、高速アナログコンパレータの3つの内蔵モジュールにあります。これらのモジュールの特徴を簡単に示すと、表1のようになります。比較のため汎用dsPIC33Fファミリの仕様を並べておきます。表から分かるように、いずれのモジュールも汎用とは比べ物にならないほど高速で多機能となっており、電源制御用として最適化されたものです。

    表1 第2世代SMPSファミリの特徴

    1-2:製作する電源の仕様と構成

    早速、このSMPSデバイス「dsPIC33FJ16GS502」を使って実験用に使える定電圧定電流電源を製作してみました。全体外観は写真1のような基板ユニットとしています。

    写真1 完成した電源の外観

    製作する電源の仕様は、表2を目標とすることにしました。出力電圧が可変できる電池代用電源といったところです。出力電流も制限できるようにして実験に便利なようにします。

    表2 製作する電源の目標仕様

    全体構成は図1のような、基本的な同期式のDC/DCコンバータの構成としました。

    図1 製作した電源の全体構成

    入力電源として商用電源のAC100Vを直接扱うのは、耐圧や安全対策などちょっと敷居が高いので、市販のACアダプタを使うこととし直流の9Vとします。したがって、最大出力電圧もこれで制限されDC8V程度となります。

    実は、当初はDC24V程度まで対応できるように考えたのですが、SMPSデバイス本体の3.3Vの電源供給を簡単化するため3端子レギュレータを使ったことにより、発熱で9Vに制限されることになりました。このレギュレータにスイッチングレギュレータを使って発熱を回避すればDC24Vまでの入力も可能です。

    電力制御用のMOSFETは小型の5Aクラスのもので十分でした。この駆動にはMOSFETドライバを使って効率よくMOSFETが駆動できるようにしました。このMOSFETドライバにはMicrochipの最新のデバイスを使っていて、耐圧が30Vまで大丈夫ですので、24Vの場合にもこのままで行けます。

    出力電流の計測には0.1Ωを3個並列にした0.033Ωのシャント抵抗を使ってハイサイドで検出しています。この抵抗での電圧降下を増幅するため、Maxim Integrated Productsのハイサイド電流検出用のアンプを使っています。このアンプで50倍した出力をSMPSのAN2ピンに接続し、内部でA/Dコンバータとアナログコンパレータ両方で使うことにしました。

    つまり、A/Dコンバータでは電流計測表示に使い、アナログコンパレータでは電流制限機能に使います。

    入力電圧と出力電圧は単純に抵抗で分圧してSMPSのアナログ入力ピンに接続しています。分圧比は入力が最大25Vまで、出力は20Vまで計測できるようにしています。つまり24V入力用として設計しています。

    電圧と電流の設定は可変抵抗で行うことにし、電源を可変抵抗で分圧した電圧を直接SMPSのアナログ入力としています。

    電圧と電流の値の表示をするために液晶表示器を使いました。この液晶表示器はI2C接続となっていますので、2本の配線だけで制御できます。電源も3.3Vとなっていますので好都合なものとなっています。

    1-3:回路設計と組み立て

    全体構成図から作成した回路図が図2となります。LEDが1個ありますが、ここに内蔵アナログコンパレータの出力ピンを接続して、電流制限機能が動作している目印用とします。

    図2 回路図

    実装は試作ですので片面基板単体で構成しましたが、写真2、写真3のように実用的に使えるようなものにしました。入力はDCジャックで直接ACアダプタを接続し、出力には基板用の端子台を使って負荷を接続しやすいようにしました。液晶表示器も基板上に直接コネクタで接続しています。電圧、電流の設定には、基板上の可変抵抗と、外付けの可変抵抗いずれかが使えるようにジャンパで切り替えられるようにしました。

    MOSFETと3端子レギュレータ、チップコンデンサははんだ面側の実装となります。グランドパターンを安定動作とレギュレータの放熱のため、できるだけ広く取れるようにしたことで、ジャンパ線がちょっと多くなっています。

    写真2 組み立て完成した部品面

    写真3 組み立て完成したはんだ面

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