ここ最近、ニュージーランド観光のテーマとして「ワイナリーめぐり」を選ぶ人が増えているという。伝統のコルクではなくスクリューキャップを用いたり、新しい品種の開発にも積極的だったりと、「ニュージーランドワインは歴史が浅い分、新しいことにチャレンジできる」とワイナリーの人たちは言う。

そんなニュージーランド自慢のワインは、ニュージーランドのフラッグキャリア・ニュージーランド航空のエコノミークラスの機内食でも、余すことなく提供されている。そして、機内でしか提供されない"あるワイン"もあるのだ。

客室乗務員が一人ひとりにサーブ。フライト中、おそらくこの瞬間が一番テンションが上がる時だろう

赤・白ともに好みで選べる2種類を用意

2015年に就航75年・日本路線就航35年を迎えたニュージーランド航空は現在、成田=オークランド線を毎日1便運航している。成田線に導入されているのは、ニュージーランド航空がローンチカスタマーとなったボーイングの最新機材787-9で、機内では時間帯に合わせてLEDの色が変わる。そんな機内では、成田18:30発/オークランド翌09:15着の往路では夕食と朝食を、オークランド09:55発/成田16:55着の復路では昼食と夕食が提供される。

787-9は2014年12月より成田線に導入された

まずは成田→オークランドの機内食から。エコノミークラスでは2種類から選ぶことができる。この時の夕食は、「ビーフ」として牛肉の煮込み、「チキン」として照り焼きチキンだったのでビーフを頼んでみた。

牛肉は柔らかく、マッシュルーム入りのソースは甘めに仕上げられている。その牛肉の横に添えられたマッシュポテトが、程よいバジル風味でバランスもピッタリだ。そのほか、サラダ、パン、デザート、クラッカー、チーズがあったのだが、サラダにちょこんと肉団子がのっていたのが興味深かった。

成田→オークランドの夕食。この時のメインは牛肉の煮込みをチョイス

ドリンクはやはりニュージーランドワインを選びたいところ。ニュージーランド航空はエコノミークラスでも赤と白を2種類ずつ用意している。赤はやわらかくて甘みのあるピノノワールとやや渋みのある辛口のメローを、白は甘みのあるシャルドネと爽やかな香りが楽しめるソーヴィニヨン・ブランを用意している。

さらに、機内でしか提供されていないスパークリングワインもある。これは1961年創業のヴィラマリアとニュージーランド航空の契約によって作られているワインで、地上より気圧が低い機内で飲むことに配慮して開発されている。「ここでしか飲めない」という特別さが、また一段とおいしく感じさせてくれるだろう。

食事のサーブ時の後にも、客室乗務員がワイン持って各席を回る。この際、機内だけで提供されているヴィラマリアのスパークリングワインもお忘れなく

朝食はというと、「エッグ」としてチーズ入りオムレツと「フィッシュ」としてサーモン・グリルの野菜添えが用意されていた。ただし、日本とニュージーランドの時差の関係もあり、この朝食の提供時間は日本時間の朝3時のため、やや食欲よりも眠気が増さってしまうかもしれない。選んだチーズ入りオムレツの上にはホワイトソースがかけられており濃厚だが、重すぎることなくまだ眠気が残った身体にもちょうどいい。

成田→オークランドの朝食。この時のメインはチーズ入りオムレツをチョイス

アイスもチーズもビールもニュージーランド産

今度はオークランド→成田の機内食を。この時の昼食は、「チキン」としてチキンのイタリアントマト煮と「フィッシュ」として鮭の照り焼きが選べるようになっていた。一般的に、ニュージーランドの和食レストランではサーモンを用いたメニューが多く、鮭の照り焼きもよく見かけるメニューである。その意味では、ニュージーランドの人にとって"和食の焼き魚"というと鮭の照り焼きをイメージする人が多いかもしれない。鮭に添えられていたご飯はぱらっとしたタイ米で、その上にはゆかりがかけられていた。

オークランド→成田の昼食。この時のメインは鮭の照り焼きをチョイス

今回、ドリンクにはビールをチョイス。メイド・イン・ニュージーランドなのはワインだけではなく、ビールもニュージーランドのものを用意している。「スタインラガー」は香り豊かなエールビールで、国際的な賞も受けているニュージーランドを代表するビールのひとつ。ワインにビールにと少々飲み過ぎてしまいそうだが、気圧が低い機内では通常よりも酔いやすいため、程よく楽しもう。

「スタインラガー」もまた、ニュージーランド自慢のビールだ

なお、食事の間が深夜となる成田→オークランド便では提供はなかったのだが、オークランド→成田便ではデザートしてニュージーランドのアイスが提供される。フレーバーは選べないが、バニラやチョコレート、そして、ニュージーランドでは定番の味・ホーキーポーキー(キャラメルの粒が入ったフレーバー)等が提供されるので、どんなフレーバーが用意されているのか想像しながら待ってみるといいだろう。

デザートにニュージーランド産のプレミアムアイスを。この時のフレーバーはトリプルチョコだった

夕食では「ビーフ」として牛肉の煮込み、「チキン」として柚子胡椒の鶏肉のソテーが用意されていた。選んだ柚子胡椒のソテーは思いのほか鶏肉がごろっと入っていてボリュームも十分。柚子胡椒がほのかに香り、さっぱりといただける。ちなみに、成田→オークランドとは違い、今回のオークランド→成田ではニュージーランド産のチーズが添えられていた。

オークランド→成田の夕食。この時のメインは柚子胡椒の鶏肉のソテーをチョイス

ニュージーランド航空らしい風景としては、食事中にワインを手にした客室乗務員が各席を回ってくれること。もちろん、ワイン以外のドリンクを注文することもできるのだが、ワインコンサルタントによって選ばれた機内で味わうのにベストな一杯は、普段あまりワインを飲まないという人にもぜひ楽しんでいただければと思う。

※記事中の機内食は、2015年11月の成田=オークランド線で提供されたもの
※取材協力: ニュージーランド航空