主に大都市の地下を走る地下鉄。乗ったことはあっても、あまり車両の印象がないのではないでしょうか。一見平凡そうに見える地下鉄の車両には、実は珍しい技術が使われていることもあり、興味を持って見るとおもしろいものです。そうはいっても、いざ撮影しようとすると、適当な場所がないのが地下鉄なのです。今回は、地下鉄の撮影について解説します。

テツヤくんが行く大都市の中に、数年前にできた地下鉄があります。その車両にリニアモーターを搭載されているということを小耳にはさみましたが、何度か乗ったはずなのに全く記憶にありません。「ただの電車だと思っていたけど、そうじゃなかったんだ。ちゃんと見て、乗って、撮影もしたいな」と思い、出掛けることにしました。改めて観察した地下鉄の駅は狭く、人の流れもあって撮影に適した場所に立ち止まることはできませんでした。ホームドアまであって、「これじゃ、電車の印象がないわけだなあ」と納得したテツヤくんでした。

地下鉄は鉄道の中でも、人を素早く移動させるのに特化したものです。しかも、トンネルという限られたスペースの中につくられています。ですから、基本的には撮影そのものを遠慮したいものです。

それでも撮影したい場合は、どうすればいいのでしょうか。一番いいのは、車両基地などでの一般公開に行くことです。また、地下鉄とは言っても地上を走る部分があったり、直通運転をしている他の鉄道会社線の地上の線路上で見られることもあります。ただし、線路、車両、集電システムなどの規格があったところでしか直通運転はできませんから、お目当ての車両がどこで撮影できるのかは興味を持って調べる必要があります。やや複雑で専門的な知識になりますが、鉄道のしくみを知るにはいい勉強になりますから、チャレンジしてみましょう。

ここからは、テツヤくんがホームで立ち止まらずに、記念スナップ程度の撮影を試みるという前提でお話します。

「まずは電車が来る前に線路の様子を撮ろう」とホームの一番隅でホームドアから乗り出して撮影をしていたら、フラッシュが光ってしまいました。これはもちろんNGです。地下鉄撮影では、もう一度、発光禁止になっているかどうか確認しましょう。また、運転間隔が短いですから、常時ホームドアやホームの端から離れるようにしましょう。電車の動きとは関係なく突風が吹いてくる恐れもあります。

ほどなくして電車は来たものの、やはりよく見えず、「乗ってみれば何か違いがわかるのかなあ」と、カメラをぶらさげたまま乗車すると、周囲の冷たい視線が。残念なことに、混雑する車内によからぬ目的でカメラを持ち込む人もいる昨今、カメラはしまっておくのが無難です。

結局、何もできず、何もわからずに帰ってきたテツヤくんでしたが、何か楽しみ方はなかったのでしょうか。私のおすすめは、音を聴くことです。トンネル内では、走行音やモーターの音がとてもよく聴こえるからです。車両に興味を持ったら、撮影にこだわらず音や車内の様子を見るなど、違った楽しみ方をすると鉄道への興味の幅も広がり、いつもの撮影がもっと楽しくなるでしょう。

ミニ情報
貫通扉

列車の顔についている扉を、貫通扉といいます。地下鉄内を走る列車には、貫通扉が付いていなければならないという規則があるため、相互直通運転をしている鉄道会社の車両には、貫通扉の有無だけが違うような、よく似た車両がある場合があります。お近くにそのような路線があれば、列車の顔に注目してみましょう。