私たちが最も身近に鉄道とふれあう場所は駅です。中には、よい構図で写真が撮れると有名な場所もありますが、撮影地を紹介する本などには登場せず、初心者鉄ちゃんにとっては情報を得るのが難しくなっています。「身近なはずの駅がなぜ載ってないの? 」とお思いの方もいることでしょう。今回は、鉄道撮影において駅がどのような位置づけであるか解説します(記事中に登場する鉄道名や駅名などの設定は架空です)。

前回、編成写真が撮れるお立ち台に行きましたがいい成果を得られず、また挑戦してみたくなったテツヤくん。現場でベテラン鉄ちゃんにそのことを話すと、「それじゃあ、いいところを教えてやるよ」と言われてやって来たのは、普通の駅のホーム。入場券を買ってホームへ向かうと、すでに数人の鉄ちゃんがいます。意外にもそこからの眺めはよく、編成写真が撮れるだけではなく、風景も美しいです。

気持ちよく撮影できたテツヤくんは、どうしてこんなにいい場所が撮影地ガイドやwebサイトに紹介されないのだろうと疑問に思い、もったいなくも感じました。ベテラン鉄ちゃん曰く、「駅は撮影するための場所じゃないから、マスメディアでは扱えないんだよ」。プロカメラマンによる撮影地ガイドには駅から撮ったものがほとんどなかったり、技術書に駅撮りについての解説が少ないのはこのためです。鉄道やその周辺は公共性が高いですから、本来の目的ではない「撮影」ということのために、過剰に情報を流すわけにはいかないのですね。

うれしそうなテツヤくんを見て、気をよくしたベテラン鉄ちゃん。「じゃあ、もう1カ所行ってみようか」とまた別の駅に向かいました。しかし、そこには真新しい柵ができているではありませんか。「あちゃ~」と天を仰ぐベテラン鉄ちゃん。「昔はこんなものはつくらなかったのになあ」とぼやいています。

こういった柵などは、鉄ちゃんに意地悪をしているわけではなく、本当に危険だから設けられるのです。「最近、駅や線路際で撮影できる場所が減った」と50代~60代の鉄ちゃんからの声も聞きますが、鉄道が高速化し、保安システムが変わった今となっては仕方ないこと。蒸気機関車がのんびり走っていた頃の古き良き時代の感覚を一旦リセットして、現状を記録するつもりで楽しみたいものです。都会の駅ではホームドアが増えてきており、開放的なホームが懐かしい風景になる日が来るかもしれません。そして駅撮りは、鉄道会社の好意で黙認していただいているとも言えるのですから、乗客として鉄道を積極的に利用したいですね。

撮影地では、そこのメジャー度に関わらず、お邪魔させていただいているのだという感覚を忘れずにいたいものです。違法駐車、私有地への無断立ち入り、ゴミの投げ捨ては厳禁です。

ミニ情報
鉄ちゃん仲間がいなくてもOK! クチコミ撮影地の調べ方
1つは、webサイトやブログなどで作例を見ることです。目印になるような木や建物、電線、標識、地形などを頼りに、25,000分の1地図を参照すれば意外と簡単に撮影地を特定することができます。ブロガーやサイト管理者にいきなり質問せず、まずは自分で努力して探したいものです。撮影地を探すもう1つの方法は、列車に乗っていてホームや線路際に鉄ちゃんを見かけたら、自分もその場所に行ってみる、というものです。この情報化社会の中においては気が遠くなるような話かもしれませんが、"鉄ちゃん道"に近道はないのです。