鉄道撮影や鉄道旅行と鉄ちゃん経験を積むにつれて、自分が体験した鉄道の話を誰かにしたくなるものです。せっかくなら、鉄道に興味のない人に話すより、共感し合える話し相手がほしいですよね。ここからは、仲間づくりに役立つ"鉄ちゃん用語"について解説します(鉄道名や駅名などの設定は架空です)。

前回、秘境駅で鉄ちゃんカップルと遭遇したテツヤくんは、なんだか彼らがとてもうらやましく思えました。テツヤくんが撮影に行くときは、いつも1人。鉄道の話ができる仲間もいません。「女の子じゃなくてもいいから、一緒に秘境駅に行って撮影したり、鉄道の話ができる友達が欲しいなー」。

そんな気持ちで今度は、鉄ちゃんがたくさん集まるお立ち台、御目出塔駅大俯瞰に行きました。人付き合いはまあまあ得意なテツヤくんですが、鉄ちゃんたちの会話に聞き耳をたてると、「○○系」というような専門用語が飛び交っています。まったく用語の意味がわからず、会話に参加するどころの話ではありません。

「○○系」という呼び方は「車両形式」といい、鉄道会社によっては「○○形(けい、がた)」を使うこともあります。この言葉、初心者鉄ちゃんにとっては高いハードルですよね。無理に覚える必要はありませんが、車両形式を使う理由がわかれば覚える気になるのではないでしょうか。

では、鉄ちゃんたちがなぜ列車を形式で呼ぶかを、犬に例えて説明してしましょう。ある犬の説明をするとき、「ポチです」とか「茶色です」というのと、「柴犬です」というのでは一言で伝えられる情報の明確さが違いますよね。列車を形式で呼ぶのは、犬を犬種で呼ぶようなもの。愛称や色による分類より、ずっとシンプルで的確なのです。

最近は、形式には興味を持たない"ライトな鉄ちゃん"が増えつつありますが、鉄道撮影をしている鉄ちゃんと話すには形式を覚えた方がよいでしょう。集中力が必要な撮影の現場で「○○系って何ですか?」と質問したり、「オレンジとクリーム色のちょっとレトロな列車」なんてまわりくどい呼び方をしていたら、撮影に集中できませんよね。

普通に撮影はできたものの、「友達をつくる」という目的は達成出来なかったテツヤくん。「形式を覚えないことには、鉄ちゃんの輪に入れないのかな……」と、帰宅してからWebサイトで情報探しをしてみました。すると、今まで気が付きませんでしたが、マイコミ鉄道のサイトには子ども向けに車両紹介のコンテンツがあったのです。様々な色の列車が走っているマイコミ鉄道ですが、旅客用車両の形式は、なんと2種類しかありませんでした(SLマイコミ号が引く客車を除く)。このように、中小私鉄なら数種類の形式の列車しか保有しないところがほとんどです。その気になれば、1日で車両博士になれますよ。

形式名を覚えるコツは、童心に返ること。まずは鉄道会社のWebサイトにある、万人向けの車両紹介のコンテンツを見てみましょう。そして、全国の主な列車の形式名を覚えるには、子ども向けの鉄道写真絵本が役立ちます。対象年齢が小学校高学年向けのものなら、内容も充実していて大人が読んでも楽しめます。

それでもまだ「形式に抵抗があるし、わからない! 」といった方には、子どもと遊びながら覚えることをおすすめします。小さい子が「ひゃくごじゅっけい」なんて屈託なくいうのを聞いていると、その言い方がかわいくて抵抗なくすんなりと覚えてしまうものです。なじみの深い路線の列車と、新幹線の全形式くらいは鉄ちゃんの一般常識として覚えておいても損はないですよ。列車を形式名で呼ぶというハードルを、この際越えてみませんか。

ミニ情報
「JRおでかけネットの車両案内」
JRおでかけネットの車両案内」は、JR西日本が運営する情報サイトで、保有する車両を丁寧に紹介しています。 「全列車一覧」のページでは、「のぞみ」などの愛称と「700系」などの形式が並記されていてわかりやすくなっています。車両が苦手な場合、こういったページを眺めて車両形式に慣れていくことが、今後の鉄ちゃんとの交流に役立っていきます。