SLマイコミ号の2007年の運転もあとわずか。年賀状に使えるような写真を撮りたいと意気込むテツヤくんですが、前回の御目出塔駅での撮影は不完全燃焼に終わりました。そこで、今回は御目出塔町のどこかで「おめでとう」の文字とSLを絡めた写真を撮ろうともうひと頑張り。今日のSLマイコミ号には鉄道の日記念ヘッドマークも付くので、やる気も出てきます(SLの名前・駅名・町名などの設定は架空です)。

まず狙ったのが、「スーパーおめでとう」というショッピングセンター裏側からの撮影。しかし、肝心の「スーパーおめでとう」の文字が木に隠れていています。あと少し、線路に近づけば店名全てを写すことができそうです。辺りを見回すと柵はなく、「せんろにはいるな」と看板が出ているものの、用地内に三脚を構えている慣れた様子のベテラン鉄ちゃんたちもいます。テツヤくんは「敷石の所までは入っていいんだ~」と解釈し、一歩踏み出した瞬間、なんとまぁ子供から注意されてしまいました。

一部のベテラン鉄ちゃんたちにある平気で線路内に立ち入るという感覚は、30年ほど前の鉄道ブームの頃のものです。当時の鉄道業界はそういった面に関して今よりも管理がおおらかで、それにつけこんだ無謀な撮影が横行していました。もちろん、昔も今もそのようなことが許されることは無く、賠償金や刑事罰を課せられることもあります。「あの人が入っているから自分も大丈夫」などと思わず、線路には絶対に立ち入らないようにしましょう。一般の方はテツヤくんのように「敷石までが線路」と思いがちですが、実はレールと枕木、敷石(道床といいます)、その周辺の鉄道用地も含めて「線路」と言うのです。下のイラストを参考にして、撮影時は注意してください。

子供に怒られてしまったテツヤくんが次なる撮影ポイントとして選んだのが「第一御目出塔踏切」。「御目出塔」の文字と線路がバランスよく入る構図を探して遮断機の周りをうろうろしていたところ、おばあさんに怒られてしまいました。「どうしてだろう」と思っていたテツヤくんですが、実は三脚をおばあさんの畑内に置いてしまっていたのです。テツヤくんは空き地だと思っていたようですが、このように、故意にではなくても作物を荒らしてしまうケースは非常に多く、沿線の人々にとっては悩みの種となっています。中には、それとなく鉄ちゃんを監視する地主の方もいるほどです。地元の方を見かけた時には、自分から「撮影させていただけませんか? 」と、しっかり挨拶したいものです。この連載でも何度か言っていますが、鉄道写真の場合、撮りたい構図を思い描いて撮影ポイント探しに熱中するが余り、危険な行為につながってしまうことも考えられます。

結局、今回も撮影を諦めたテツヤくん。鉄道の日記念ヘッドマークの撮影すらできず、かなりがっかりしているようです。でもこれは失敗ではないのですよ。鉄道写真をする人々にとって、「無理なものは無理と諦める」ということは非常に大切なことなのです。テツヤくんは今回それが経験できたのですから、この日の撮影も決して無駄ではなかったのです。

ミニ情報
10月14日開館の「鉄道博物館」をお得に楽しむ!!
いよいよ10月14日、「鉄道博物館」が埼玉県さいたま市にて開館します。開館に先駆けて公式webサイトでの募集が始まっている博物館独自の会員組織「Teppa倶楽部」。私は8月下旬に申し込み、9月下旬にはもうカードが届いていました。会費は大人3,000円。入会すると1年間何度でも博物館に入場できます。4回以上行きたい人にはおすすめですね。開館後は、郵送での受付も始まります。