前回、鉄道撮影において、"場所取り"の重要性を説明しました。でも、撮影現場で鉄ちゃんたちの口論が頻発しているというわけではありません。それは鉄ちゃんの多くが、譲り合いの精神を持っているからです。ベストポジションがいかに少ないか、シャッターチャンスは一瞬だということを知っているからこそ、互いに譲り合おうと思えるのですね。

しかし、現場には多少なりともピリピリとした雰囲気が漂っています。事情がわからないとは言え、割り込んでくるような人がいると、トラブルになりかねません。郷に入っては郷に従え。今回は、鉄ちゃん流の正しい場所取り法と列車の待ち方を学びましょう。

鉄ちゃん歴2日目のテツヤくんは、ローカル私鉄マイコミ鉄道のSLマイコミ号(架空です)の撮影当日、頑張って早起きをしました。そして、SL通過の3時間前には撮影ポイントに到着。まだひっそりとしている線路端ですが、すでに何人かの鉄ちゃんたちが活動を始めています。「先輩鉄ちゃんがいる……」と必要以上に緊張する必要はありませんが、次の3つの事柄は守るようにしましょう。

  • 先にいた人の前には入らない。
  • 三脚の周りに人がいなくても、置いてある三脚は動かさない。
  • 先に着いている人たちには「お疲れ様です」などと声をかけ、コミュニケーションを。

年齢やキャリアなどは関係なく、とにかく先着順というのが鉄ちゃんにとっての場所取りルールです。また、賛否両論ありますが、鉄ちゃんによっては三脚を場所取りの道具として使っている人もいます。ですから、三脚は勝手に動かしてはいけません。もし、自分より後に来た人が撮影の構図に入り込んでしまった場合は、おだやかな気持ちで交渉するよう心がけてください。これが、トラブル回避のポイントです。

撮影場所を確保するために、3時間も前に現場に到着したテツヤくん。今回の撮影場所は緑豊かな自然の中なので、「気持ちいい~」と大満足です。しかし、時間の経過と共に日差しが強くなり、バテてきました……。そうなのです、列車待ちは予想以上に過酷なのです。周囲には一休みする日陰もなく、お手洗いもない。喉が渇いて水を買おうとしても、近くにコンビニエンスストアも自動販売機もないという場所が多くなります。夏場ともなると、熱中症になる恐れもあるのです。ハードなアウトドアスポーツをする覚悟で、撮影現場に向かいましょう。

ミニ情報
都電荒川線に新型レトロ車両-納涼イベントも開催

東京都の早稲田~三ノ輪橋間を走る都電荒川線に、エンジ色とクリーム色に塗り分けられた新型レトロ車両の路面電車がデビューしました。あわせて、昭和50年代の塗色(黄色地に青帯)を復活させた車両にも注目です。どちらも1両しかないので、400円(子供は200円)の一日券を買い、途中下車をしつつ、お目当ての車両を待つのはいかがでしょうか(ただし、検査等で運行しない日や、貸切の場合もあります)。また、8月11日、12日には「都電おもいで広場」(都電荒川線「荒川車庫前」下車すぐ)にて「納涼夏まつり」も開催されます。こちらも注目です。