Macに戻りたいという気持ちは日増しに強くなり

異動によって、今まで愛用していたMacをやめてWindowsで仕事をすることになった。しかし、長年使い続けたMacへの想いは断ち難く、どんなに努力しても仕事の効率がアップしない。さらに、Windowsに切り替えたことだけが原因ではないが、精神的ストレスがたまり、胃は痛くなり、髪の毛も減った。「Macに戻りたい」という思いは、日に日に大きくなっていく……。

幸せだったよね。Macと仕事をする日々……

--ここだけの話ですが、個人的にはWindowsで仕事をすることを諦めました。Windowsが悪いわけじゃありません。私が対応できないからです。でも済みません、無理な物は無理です--

我がままだと言われるかもしれないが、仕事というのは、働く人の能力を最大限に引き出すことができる環境を整えることが大切なのではないか、と私は思う。だから、よほどの理由がないのであれば、道具は自分が使いやすい物を選択させてもらっても構わないのではないだろうか? ところが、なぜか会社というところはその意見が通りにくく不自由である。「Windowsマシン以外の導入は禁止」という"おふれ"を出している企業もよく見かけるし、教育現場でさえ地域によってはWindowsマシン以外の使用を認めない所もあった(最近はそうでもないらしいが)。

なぜ、Macはなぜダメなの?

では、なぜMacを使ってはいけないのだろうか? 会社などによくありがちな返答が「会社のWindowsネットワークに組み込めない」「システム課での管理が難しい」「Mac版のビジネス業務用アプリケーションを用意していない」「会社で構築しているイントラネットがMacをサポートしていない」「Macは高価」などであろう。このように言われてしまうと、こちらも反論がしにくいし、Macを使うのはやっぱりダメなのかなあ、と暗い気持ちになってしまう。さらに周囲の人々にも「Macじゃなくても仕事はできるでしょう? 」と責められたりすると、余計に落ち込んでしまう。そんなにMacを業務で使用することは罪なのだろうか?

このようなWindowsのネットワークにもMacは参加できるはずだが、Macだけ締め出されている場合が多い

だが、会社によっては一部の部署に限ってだが、Macの使用を認めているところもある。実は、私の会社もまったくの禁止というわけではなく、DTPの業務が発生する部署に限り、少しだけ導入が許されている。異動する前に所属していた部署などは、DTPの作業量が多かったため、私もMacを使用していた。しかし、新しい部署はDTPの業務がほとんどないため、「Macを使いたい」と訴えるには理由が乏しい。そうなると、なんとか「Macを導入してはいけない」という理由をひとつひとつ解決し、無理矢理にでもMacが使える環境を自分で作っていくしかなさそうだ。

とにかくMacを使うために

そこでまず「記事を書くためにMacがどうしても必要」だと主張して、とりあえず机に設置することに成功。マシンは、自宅で使用しているMacと同じモデルの「iBook G4」、iBook G4の買い替え候補と考えていた「MacBook Pro 15.4インチ」、いつかは使ってみたかった「Mac Pro」の3台である。もちろん、導入ではなく、あくまでも記事のための「検証」用だ。しかし、理由はどうであれ、これで第一歩を踏み出すことができたことは確かだ。

検証に使用するMacBook Pro 15.4インチ2.16GHz(1GBメモリ)とMac Pro 3GHzデュアルコア(4GBメモリ)。諸事情により、MacBook Proは前のモデルなのでご了承いただきたい。ちなみにiBook G4は、最終モデルの1.33GHz(1.5GBメモリに増設)である

インテルMacの実力も検証

また今回は、ずっと疑問だった「インテルMacって速いの?」「Xeonプロセッサって凄いの?」「新しいMacに変えて、今までの仕事に問題は発生しないの? 」などもいい機会なのでレポートしたいと思う。特に、クリエイティブ関係の仕事に就いているユーザは、インテルMacに完全対応になったAdobe Creative Suite 3が発売になったこともあり、Mac OS XやインテルMacへの本格的な乗り換えを考えている人も多いのではないだろうか。そうしたユーザに有用な情報を提供できれば幸いである。

クリエイター必須のAdobe Creative Suite 3。インテルMacを使ってみたいと考えていたユーザにとって待望の製品の登場である。特にPhotoshopは、かなり高速になったという話なので、環境を変えるにはいいきっかけといえよう

本格的なテストや検証は次回からの予定だが、インテルMacってどのぐらいの性能なの? という興味が抑えきれず、手元にあったRAW現像ソフト「SILKYPIX Developer Studio 3.0」を使って簡単なテストを行ってみた。このソフトは、ユニバーサルバイナリ化されていて、インテルMacでは8倍近く速くなるという噂を聞いたことがある。結果は、表のとおり。MacBook Proも速いが、Mac Proの速度は驚異的だ。Xeonの力、恐るべしである。最近はiBook G4しか使用していなかったこともあるが、初めて使うインテルMacの速度に度胆を抜かれた感じである。では次回より「とことん」がんばりたい。

SILKYPIX Developer Studio 3.0のRAWデータの書き出し時間
機種名 Mac Pro 3GHzデュアルコア(4GBメモリ) MacBook Pro 15.4インチ2.16GHz(1GBメモリ) iBook G4 1.33GHz(1.5GBメモリ)
JPEG書き出し時間(秒) 523 958 4440
(注) テストは、iBook G4 1.33GHz(1.5GBメモリ)、MacBook Pro 15.4インチ2.16GHz(1GBメモリ)、Mac Pro 3GHzデュアルコア(4GBメモリ)の3台で行った。キヤノンEOS 10DのRAWデータ100枚の書き出しを行い、3回計測した平均値を掲載している(数値が安定しない場合は、5回以上測定して安定した数値を3つ選び、その平均値を掲載)。今回は、ユーザが実際に使用した場合の速度に近づけるため、筆者が日常使用している環境で測定しており、数値はあくまでも参考値して考えてもらいたい。ただし、3台ともインストールされているソフトや設定はすべて近い環境にしている。使用しているOSは、Mac OS X 10.4.1である。