【連載】

なぜ日本人はFXで負けるのか?

1 日本円が主役ではないという現実

佐々木徹  [2016/02/10]
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世界で最初に近代的なトレードが確立された国……それは日本です。諸外国が占星術や易などの牧歌的な方法を使っていた時期、堂島の米相場ではチャート分析からアービットラージまで何でもありでした。では最先端を走っていた日本人の多くが、なぜ今になってFXで負けるのでしょうか?

本コラムでは欧米式トレードを1,400名超に教えるユーデミー人気講師が「日本人がFXで負ける理由」をバッサリ解説します。


あなたは買い物に行くのは好きですか? モールやスーパーに行って、好きなものを買うことができるのは楽しいですよね。ところが、この買い物と同じ感覚を外為FXの取引に持ち込んでしまうと、不利さ爆発になってしまうことがあるのです。

世界の値段は『米ドル』で決まる

1日で400兆円以上が取引される地球上で最大規模の相場が「外国為替市場」、つまりFXです。

通貨を売り買いするのがFXとも言えるわけですが、もともと何かの価値を測るために使われる「通貨」に値をつけること自体に無理があります。例えば「あなたの100円は私の99円です」……って、変な話ですよね。だから世界中の通貨同士を比較して、その強弱を数値に変え出来上がったのが外国為替相場なのです。

では、その市場で一番大量に取引されている通貨は何かといえば、これはもう圧倒的に「米ドル」です。BISの2013年統計を見ると、通貨別に取引された金額の割合は以下のようになっています。

通貨別取引額の割合

ここから何が見えるかといえば……「世界の値段は『米ドル』で決まっている!」と43%の確率で言い切れる事実です。

日本人=「ズレた桁の世界」の住人?

ところが私たち日本人は、どうしても世界の値段を「日本円」で捉えようとしてしまいます。よく英語で「英語は英語のまま理解するのが理想!」と言われますが、どうしても最初は英語を日本語に直してから頭に入れないと理解ができないのと同じですね。

では、そういう面倒なことを一切考えなくて良い国はどこかといえば、同じく買い物大好きな米国。当たり前ですが身の回りの買い物も全部米ドルです。りんごは100円でなく1ドル……そりゃそうですね。だからFXの取引を始めたとしても、当然のように米ドルでの値段が頭に入ってくるわけです。

じゃあユーロ、ポンド、豪ドルを使っている国の人はどうでしょう? たとえばフランスに住んでいる人に1ユーロで買える米ドルはどれだけ? と聞くと、「1.08ドル」というふうに出てきます。そう、瞬時に2つの通貨の比率だと理解できる数字です。1.08倍……ですね。

ところが日本で同じことをやるとどうなるか? 1円で買える米ドルは「0.008」ドルとかになってしまうのですが、すると比率という感覚ではもう捉えられない。日本円だけ小数点の位置が2桁ずれているんですね。本来は100円が1円、つまり120円で売っているリンゴが1円20銭とかだと、1.0 USD =1.18JPY とかになるので直感的に把握がしやすいわけです。

逆にいえば、私たちは「ズレた桁の世界」に住んでいることを理解することが必要になります。そこを押さえていないと、「海外の通貨を日本円でお買い物する」感覚になってしまうのです。

ユーロ円、ポンド円、豪ドル円は難易度が高い

それがFXでどう不利になるかというと、取引するペアを円建てのものから選んでしまいがちになるという点です。ユーロならユーロ円、ポンドならポンド円、豪ドルなら豪ドル円です。ところが、そうした円で表記をされるペアは合成されて出来上がっています(ドル円を除く)。

 【円表記ペアの中身】
 ユーロ円 = ユーロドル x ドル円
 ポンド円 = ポンドドル x ドル円

ビリヤードをする方ならお分かりだと思いますが、自分が打ち出す白い手玉を落としたいボールに直接ぶつけるのと、間に別のボールを挟んでコンビネーションでぶつけるのだと、落とせる確率が全然違います。

円建てのペアをFXで取引するということは、ビリヤードのコンビネーションを打つことに等しい。つまり、わざわざ難易度の高い取引を無意識に選んでいることになるのです。

試しにポンドドルのチャートを出してみました。リズム感を保ちながら下落の速度を上げていっていることがわかります。

ポンドドル日足(TradingViewスクリーンショット)

こういう一定方向の動きは利益を上げやすい。一方で合成ペアのポンド円だとどうなるか?

ポンド円日足(TradingViewスクリーンショット)

前半には上へ行くと見せかけ、途中から方向を変え下に大きく走っています。こんな風に途中で方向を不規則に変えられるとトレードしづらい。ビリヤードでいうコンビネーション打ちとなり、動きのリズムを掴みづらいのです。

こうした背景もあり、私自身が手がけている「FX為替チャート」の講義では、受講生に米ドル建てのペア(米ドル・ストレートと言います)で外為に慣れていくことを勧めています。

面倒なアプローチは他の人に任せる

私たちがトレードをする目的は、手元の資金を運用して増やすことが目的です。目的さえはっきりしておけば、わざわざ難しい道を選ぶ必要はありません。日本人なのに非国民! とか言われても、円は脇役なのですから仕方ありません。

「円思考」から脱出して、「米ドル」思考に切り替えていくことは、FXトレードをスムーズに始めるためにできる1つの近道でもあり、分かりやすい値動きのペアを選ぶ技術につながります。

かくいう私も米国で住み始めたころ、値段の桁が2つ小さくなっているので、何もかもが安く見えたものです。え、トマト一袋5ドル? (円のつもり)とかお得度満点な出だしでした。それが終わったのは米ドル建てで受け取った給料……「え、○千円って、エライコッチャ」と思ったときです(笑)

まずは「円建て」が不利であることを知ることから始めて、徐々に慣れていくようにしましょう!

ハッピー・トレーディング!!

執筆者プロフィール : 佐々木徹(ささきとおる)

株式会社ファム代表取締役、米国テクニカルアナリスト協会公認資格CMT検定1級保持者。ベネッセが提供する米オンライン教育サービス「Udemy」にて1,400名を超す受講生をもち、2014年には日本人初のトップ15講師入り。欧米式のトレード方法を紹介する「FX為替チャート」運営責任者であり、現役トレーダー、起業家、マーケティング・ストラテジスト。詳細プロフィールはこちらから。
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インデックス

連載目次
第3回 「鬼の言葉」を理解する
第2回 帰宅トレーダー vs. ご当地通貨
第1回 日本円が主役ではないという現実
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